【ヨミ】リモートワーク リモートワーク
「リモートワーク」(remote work)とは、勤務先のオフィスに出社せず、離れた場所で仕事をする働き方を指します。時間や場所の制約を受けずに働けるため、育児や介護と仕事を両立できることなどから、労働者の支持を集めている勤務形態です。フレキシブルな働き方を可能にするリモートワークは、企業にとっても人材確保の施策になることから導入が進んでいます。
「リモートワーク」(remote work)とは、勤務先のオフィスに出社せず、離れた場所で仕事をする働き方を指します。時間や場所の制約を受けずに働けるため、育児や介護と仕事を両立できることなどから、労働者の支持を集めている勤務形態です。フレキシブルな働き方を可能にするリモートワークは、企業にとっても人材確保の施策になることから導入が進んでいます。
リモートワークと似た用語に「テレワーク」があります。
テレワークは「tele(遠い)」と「work(仕事・働く)」を組み合わせた造語で、ICTを活用して時間と場所の制約を受けずに働く勤務形態と定義されています。リモートワークもこれとほぼ同じ意味合いで使われ、テレワークとの大きな差異はありません。
ただし、テレワークは「雇用型」と「自営型」に分けられ、雇用型は働く場所によって次の三つに分類されています。
一方のリモートワークには、こうした分類がありません。IT業界などを中心に使われることが多く、テレワークよりも「遠隔(=リモート)で働くこと」のニュアンスが強い傾向があります。
リモートワークを導入することで、企業・従業員それぞれにメリットが生まれます。
オフィスへの通勤の必要性がないリモートワークは、育児や介護などを理由とする従業員の離職を防止する上で効果的です。また、柔軟性の高い働き方を実現することは、優秀な人材の獲得にもつながります。
リモートワークの導入は、既存の業務プロセスや評価制度を見直すよい機会となります。
職場スペースの節約や、家賃・光熱費・交通費など、事業の運営コスト削減が期待できます。
従業員のワーク・ライフ・バランスを尊重する企業として、イメージアップ効果が期待されます。
災害などにより従業員が出社できない状況でも、リモートワークによって事業を継続させることが可能です。
通勤にかかる時間や心身への負荷が軽減されるため、ワーク・ライフ・バランスや生産性の向上につながります。
時間や場所を選ばずに働けるため、育児や介護などを理由にキャリアを中断することなく、仕事を続けることができます。
生産性の向上やストレスが軽減されることによって、職場に対するエンゲージメントが高まり、労働意欲が向上します。
このようにメリットの多いリモートワークですが、導入においてはいくつかの問題点もあり、対策が必要です。
ここでは、総務省が公表している「テレワークの最新動向と総務省の政策展開」で問題点として挙げられている、以下の三つを順に解説していきます。
総務省「テレワークセキュリティガイドライン」によると、リモートワークにおいて次の四つの脅威が存在するとしています。
これらの脅威が生み出すリスクは、以下のように整理できます。
脅威への対策方法の前に、まずセキュリティー対策における前提を確認しておきましょう。
セキュリティー対策において、経営者・システム管理者・従業員がそれぞれ担う役割は次のように異なります。
▼経営者
導入・運用におけるルールを策定。必要な人材やコストを確保する
▼システム管理者
各脅威に対して、管理者として実施すべきことを把握する
▼従業員
自らが管理を行う必要性を自覚して、対策方法を理解する
それぞれの立場に求められる役割を果たすことが、組織全体でのセキュリティー対策実現に不可欠です。
端末からのアクセス、アプリケーションのインストール、バージョンを管理するほか、マルウェア感染時のバックアップについても対策をしておくことが重要です。
台帳などによる端末管理と、紛失・盗難に備えたデータのバックアップへの対策がポイントです。
基本的に情報を送受信する際には通信の暗号化が必須です。リモートワークでは、カフェなど公共の場を利用することもありますが、公共のアクセスポイントは利用しないように徹底しましょう。
不正アクセス対策では、利用者認証情報やパスワードの適切な管理が必要です。特に、従業員によるパスワードの使い回しは禁止したほうがよいでしょう。
セキュリティーにおいては、これら四つの脅威のほかにも、SNSの利用にも配慮する必要があります。システム管理者はSNSやファイル共有サービスの利用ルールを整備し、従業員はルール順守を徹底することが必要です。
次に、二つ目の問題点である「コミュニケーション」について解説します。
総務省「平成30年版情報通信白書」によると、リモートワーク希望者に対して利用時の課題を調査したところ、15.5%が「他の従業員から孤立している感じがする」と回答しています。
リモートワークを行う従業員は、メールやチャットなどを使って報告や連絡は行えますが、雑談などの対面コミュニケーションが少なくなります。そのため、孤立感を抱いたり、リモートワークをしていない従業員との情報格差が生じたり、といった問題が起きやすい傾向があります。
前述の調査によると、従業員の孤立や情報格差といった問題点に対する企業側の対策として、次のものが挙げられています。
コミュニケーションにおける対策では、ビジネスICTツールなどを活用し、上司・同僚との情報共有を通常の勤務形態と同程度に行えるような環境の整備が求められます。
三つ目の問題点である「勤怠管理・評価」について解説します。
総務省「地方創生と企業におけるICT利活用に関する調査研究」によると、リモートワークの導入を検討している企業へのアンケートでは、勤怠管理・評価において次の課題が挙げられました。
ただし、厚生労働省「平成27年度テレワークモデル実証事業テレワーク活用の好事例集」によると、実際にリモートワークを実施した後では、「勤怠管理」「情報セキュリティー」「スケジュール管理」を課題と考える企業数は減っているという結果もあります。
前述の総務省調査によると、勤怠管理・評価における課題に対して企業がとっている対策には、次のものが挙げられています。
具体的な対策案として紹介したいのは、リモートワークの段階的な実施です。例えば、最初は週1日程度の実施とし、その間に成果ベースの評価制度を実施しながら定着を目指すものです。
評価制度が運用に乗った後は、週2日以上のリモートワークを可能とし、評価制度をさらにブラッシュアップしていきます。こうした段階的な導入は、一気に制度を改定するよりもハードルを低く抑えることが可能です。