健康経営 powered by「日本の人事部」 人生100年時代の働き方を考える

印刷する印刷する 

【ヨミ】リカバリーケイケン

リカバリー経験

「リカバリー経験」とは、就業中に消費された心理社会的資源(個人的な資質と人間関係や他者からのサポートなどの総称)を元の水準に回復するために行う、就業時間外の活動のこと。「休み方」とも呼ばれます。日本においても、余暇にリカバリー経験ができていると回答した人ほどメンタルヘルスが良好で、ワーク・エンゲージメントが高いと感じているという研究結果が出ています。

ケーススタディ

休日に仕事のことばかり考えるのはNG
労働生産性を上げる正しい休み方

メンタルヘルスという言葉はすっかり身近になり、メンタル状態を良好に保つことの重要性が広く知られるようになりました。どんなにやりがいを感じていても、働くことは、心身に疲労感やストレスをもたらします。

コロナ禍で、メンタルヘルスを自己管理することの必要性はさらに高まっています。オフィス出社が働き方の基本だったころは、管理監督者が率先して社員の健康状態に気を遣う必要がありました。しかし、リモートワークにおいては、一人ひとりが自律してメンタルヘルス対策を講じていかなければなりません。日常と仕事の境界線が緩やかになった今こそ、休み方に目を向ける必要があります。

Sonnentag & Fritzが2007年に発表した研究によると、リカバリー経験は「心理的距離」「リラックス」「熟達」「コントロール」の四つの種類に分けられます。「心理的距離」は、身体的にも精神的にも仕事から離れており、仕事のことを忘れている状態のこと。「リラックス」は、心身の活動量が低く、くつろいでいる状態のこと。「熟達」は、余暇時間に自分の好きなことを学ぶなど、自己啓発を行うことで、気持ちが明るくなる効果があります。「コントロール」は、余暇時間の過ごし方を自分で決められる状態を指します。

厚生労働省の『令和元年版 労働経済の分析』によると、労働強度の高い(肉体を使った)人手不足企業において、リカバリー経験は労働者のエンゲージメントや労働生産性を向上させることがわかっています。

生産年齢人口の減少によって、今後も人材不足の流れは止められません。企業や人事担当者は、働き手の心身への負担を最小限にし、サステナブルに働き続けられるよう、働き方のみならず休み方にも目を向ける必要があるでしょう。

・関連記事
セルフケアの枠を超えて――ワーク・エンゲージメントに着目した「これからの」個人向けストレス対策

・参考
リカバリー経験(休み方)と「働きがい」との好循環の実現に向けて(厚生労働省 『令和元年版 労働経済の分析』)

企画・編集:『日本の人事部』編集部