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【ヨミ】インフォーマル グループ

インフォーマル・グループ

「インフォーマル・グループ」とは、組織や役職といった枠組みにとらわれず、好意的感情や関心などによって自然発生的に結びついた集団のことをいいます。一方、共通の目標を持ち、それぞれの役割や責任が明確化された公式な集団は「フォーマル・グループ」といいます。最近では経営学やリーダーシップ論にも応用され、組織において生産性やエンゲージメントの向上のためにインフォーマル・グループを有効活用しようという動きもあります。

ケーススタディ

テレワークによる雑談の減少は
インフォーマル・グループにも影響を与えるか

生産性の向上にもっとも寄与する労働条件は何でしょうか。「ホーソン効果」と呼ばれる、アメリカのある企業で1924年から1932年にかけて行われた実験的研究で明らかになったのは、物理的な労働環境ではなく、仕事を他者から見られている意識や作業から生まれる仲間との連帯意識。職場の人間関係、上司や同僚への感情が生産性に強く影響することがわかりました。

新型コロナウイルス感染症の影響で世界的にテレワークの導入が進む中、インフォーマル・グループの重要性が高まっています。テレワークにより、働き方は大きく変化しました。初めて導入して「思っていたよりも仕事が成立する」と感じた人も多いでしょう。無期限でテレワークを継続することを決めた企業も現れ始めています。

一方、テレワークを働き方の基本にするかどうかに慎重な企業もあります。出社が減ったことで社員同士の雑談や交流の機会も減るなど、コミュニケーション不足になっていることが問題の一つ。そういう状況が続くことで、会社に対する帰属意識が低くなり、社員が仕事へのやる気を見いだせなってしまうことを懸念しているのです。この問題を解決する上で重要なのが、インフォーマル・グループといえます。

例えば、オンライン上で何気ないコミュニケーションをうながすために、Zoomなどのビデオ会議システムを使った雑談の時間を設けている企業もあります。同僚とのオンライン飲み会を開催した人も多いでしょう。しかし、決められた時間に決められたメンバーが集うやり方は、体裁的には会議に近く、自然発生的な雑談や偶然のアイデアは生まれにくいかもしれません。テレワークを取り入れた働き方が当たり前になるなかで、コミュニケーションやインフォーマル・グループの活性化は、組織にとっても今後も注視すべきテーマといえるでしょう。

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ホーソン効果

 

企画・編集:『日本の人事部』編集部