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【ヨミ】ラポール

ラポール

「ラポール」とは関係性の状態を表す心理学用語で、互いを信頼し合い、無意識に感情の交流が自由にできるほど心理的安全性がある状態のことを指します。フランス語の「rapport」が語源で「架け橋」などの意味を持ちます。もとはセラピストとクライアントの関係性を表す言葉でしたが、現在はさらに広く人間関係を表す用語として使われています。また、深いラポールを目指し信頼関係を築こうとすることを「ラポール形成」や「ラポール・マネジメント」といいます。

ケーススタディ

表情、視線、仕草、声のトーン
ラポール形成の鍵を握るのは「非言語」

誰かに好感を抱くとき、その理由を説明できますか。例えば、「コミュニケーションが心地いい」といったところでしょうか。それでは、「コミュニケーション」と聞いて、どのような行為をイメージしますか。その人との会話で「何を話したか」でしょうか。

情報の交換や意思疎通を図るとき、言葉はとても重要です。しかし、「目は口ほどに物を言う」ということわざにもあるように、ラポール形成においては、言葉以外の要素も大きく作用します。コミュニケーションは「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」に分けられますが、表情や視線、話すペース、ジェスチャーといった非言語情報がラポール形成には深く関わっており、「何を話したか」と同様に「どう話したか」もまた、重要なのです。

ラポール形成を意識的に行うためにさまざまな手法がありますが、代表的なものは「ペーシング」と呼ばれる、相手の言語・非言語に合わせる手法です。なかでも有名なのが「ミラーリング」。相手の動作と自分の動作を、意図的に合わせることです。

人が話す様子を見ていると、表情はもちろん、仕草の癖や呼吸の仕方、脚の組み方など、いろいろな特徴があることに気付きます。似たような動きをすることで、自分と似た存在であることを相手の無意識に働きかけることができるのです。それ以外にも、相づちの有無がラポール形成に大きく関与することもわかっています。

例えば、採用面接。採用したい優秀な人材に出会ったとき、採用担当者は非常に限られた時間のうちにその人との信頼関係を築かなければなりません。そのようなシーンでは「何を話したか」に加えて、無意識のうちに心地よさを感じてもらうために「どう話したか」という非言語的なふるまいにも注意を向けるとよいでしょう。

企画・編集:『日本の人事部』編集部