健康経営 powered by「日本の人事部」 人生100年時代の働き方を考える

睡眠だけではとれない疲労
「休み方」を知ることがパフォーマンスに直結する

一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)

片野 秀樹さん

睡眠だけではとれない疲労 「休み方」を知ることがパフォーマンスに直結する

コロナ禍や働き方改革により、私たちの暮らしと働き方は大きく変わりました。在宅勤務や長時間労働の見直しで、通勤や仕事の時間が減ったという人も多いでしょう。一方で、休んでいるのに疲労が取れないといった悩みを感じる人が増えています。日本では多くの人が「休む」=「睡眠」と考えがちですが、日本リカバリー協会の代表理事で、「休養学」の第一人者である片野秀樹さんによると、それは国際的な常識ではありません。休んでいるはずなのに疲れが取れないのはなぜなのか。正しい休み方とはなにか。仕事の生産性を上げ、組織と個人が幸せになるためには、まず「休養」についてのリテラシーを高める必要があると訴える片野さんに、話を伺いました。

プロフィール
片野 秀樹さん
一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)

かたの・ひでき/東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所研究員を経て、現在、一般社団法人博慈会老人病研究所客員研究員や一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、一般社団法人リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員を務める。医学博士。著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、2021年、メディカ出版)、『あなたを疲れから救う 休養学』(2024年、東洋経済新報社)。

  • facebook
  • X
  • note
  • LINE
  • メール
  • 印刷

日本人の8割が必要としているのに教育が進んでいない

なぜ休養学の提唱を始めたのでしょうか。

20年前はヘルスケアに関わる仕事をしていたのですが、当時から「働く人のほとんどが疲れている」と感じていたんです。現代人の多くは、医学的に病気が原因とされている“倦怠感”ではなく、日常的な「疲れ」と呼ばれるものを抱えている。実際に、1999年の厚生省(現・厚労省)の調査では、日本人の6割が疲れを感じているというデータがあります。最近の日本リカバリー協会の調査では、日本人の8割が疲れているという結果が出ていますから、疲れている人は明らかに増えています。

国が掲げる健康の3本柱は「運動」「栄養」「休養」の三つです。しかし、運動と栄養に関しては学問が確立しているのに、休養は体系的な学術が存在しません。これまで私は医学部で研究員をしたり、休養や回復について知識を深めるために日本体育大学に所属したり、神戸の理化学研究所にも所属してきました。しかしいずれも、医師やアスリート向けであったり、脳科学が中心だったりして、一般人の日常的な生活の疲労や回復とは少し距離のあるものでした。一般的な生活の疲労と休養を取り扱う研究は、どこにも見つからなかったのです。

片野秀樹さん(一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員、博士(医学))インタビューの様子

健康の三要素が「運動、栄養、休養」であるなら、休養の学問もあってしかるべきです。現在の国の義務教育課程には、運動について学ぶ「体育」と、栄養について学ぶ「家庭科」の授業はあるのに、休養を学ぶ機会がありません。そういった問題意識がきっかけで、休養学を提唱し、研究を続けてきました。

現代人こそ24時間働いている

なぜ現代人は疲れているのでしょうか。

一つは産業構造、社会の変化が考えられます。第一次産業革命以前の労働は肉体労働が中心でした。朝起きて、体を動かし仕事をして、夜は疲れてぐっすりと眠る。それから蒸気機関ができて、肉体労働が少なくなった代わりに、頭脳労働が増えました。さらに電気が使えるようになると、人は24時間いつでも活動できるように。そうすると人間の体に備わった約24時間の周期であるサーカディアンリズムが狂ってきます。

さらに現代は、情報通信機器が発達しています。昭和時代の「24時間働けますか」というキャッチコピーは有名ですよね。しかし実際には、当時の人は24時間働いてはいません。例えば取引先に行くとき、移動時間にはほとんど仕事をできませんでした。好きな本を読むことで気分転換ができたし、移動時間があるので1日で行ける取引先の数にも限りがありました。仕事をしている日中に、バランスよく休養をとれていたんです。

しかし通信機器やデジタルデバイスが登場したことで、現代ではオンラインでミーティングや商談が行われるようになりました。一つの商談を終えた直後に別の商談をいれることも可能です。さらに、人間は基本的にシングルタスクしかできないのですが、デジタルデバイスの利用にはマルチタスクを求められます。私たちはそれについていかなければならない。仕事が終わったオフの時間でも、スマホやパソコンでメールのチェックができてしまいます。

オフをしっかりとることがオンの生産性を高めるのに、オンが中心になりオフをどんどん追いやっている。“タイパ“という言葉も出てきて、オフの時間の余白すら埋めることが良いという考えも浸透しつつあります。しかし、その状態ではしっかりと「休む」ことができません。今こそ現代人は「休む」ことへのリテラシーをあげていくべきなのです。

重要なのはオフの時間のマネジメント

日本人は働きすぎというイメージが昔からありますね。

今の国の施策では、労働時間を減らして睡眠時間を増やすことを目指しています。しかし実際は、OECD加盟国の中で日本人の労働時間は平均以下です。それにもかかわらず、睡眠時間は世界で一番短い。ワースト1が日本で、ワースト2は韓国です。ちなみに労働時間は韓国の方が長い。

労働時間が長いので、韓国人は日本人よりも疲れているはずです。しかし、韓国人に休日にやりたいことを聞くと、一番多い解答は「スポーツ」。一方、日本人に休日にやりたいことを聞くと、一番多い解答は「睡眠」です。

では、睡眠時間を延ばすだけで、疲労は解消されるのでしょうか。一番参考になるのは、ドイツです。ドイツは基幹産業が日本と同じ自動車で、GDPも同じくらい。しかし、ドイツ人の方が日本人より労働時間は短い。これは単純に考えると、日本よりドイツの方が一人あたりの生産性が高いということです。

ちなみにドイツ人に、休日にやりたいことを聞くと「睡眠」も多いのですが、「家族と過ごしたい」が同じくらいの順位に上がってきます。日本では、休日にやりたいことが圧倒的に寝ることで、それが休養であるという考え方が浸透しています。なぜ日本人はそんなに寝たいのでしょうか。

EUでは勤務間インターバルが法律で定められていて、仕事と仕事の間に11時間の休憩を取ることが義務付けられています。日本では義務化はされていませんが、実際に9割の労働者は11時間の勤務間インターバルがとれています。それにもかかわらず、日本人の大半が疲れている。休む時間はあるのに、休めていない感覚をほとんどの人が持っているのです。働き方改革が推進され、労働時間は減っていて、勤務間インターバルの11時間と休日をマネジメントできていない。それが大きな課題です。

オンを優先してしまい、オフの時間を追いやっている典型として、海外の人に「日本って1日何時間なの?」と聞かれることがあります。当然24時間ですが、そう答えると「28時があるじゃないか」と。電車の時刻表にもあるし、テレビ欄も29時で5時になる。それは一日の概念がオンに支配されてしまっているということです。オンが終わったら次の日のオンにつながっている。それが私たちの生活のデフォルトになってはいないでしょうか。

社会の認識が変わる必要があるんですね。

そのとおりです。「疲労」と「疲労感」の違いを知っていますか。体をずっと動かしていると、だんだん動きが緩慢になるように、頭も集中を続けたり、ずっと暗算をしていればスピードが落ちます。疲労とはこの活動能力が減退した状態のことです。そして疲労感は、疲労の時に出る不快感を指します。つまり、疲労感が出ているとき、活動能力は実際に低い状態なのです。

片野秀樹さん(一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員、博士(医学))インタビューの様子

動物はそれを感じて活動を止めることができます。しかし人間は、使命感や褒賞、ときにはドリンク剤などを使って、疲労感だけをマスキングできてしまいます。その状態で仕事をすれば活動能力は下がっているため、長時間労働になり、期待値に見合う仕事はできません。

本来もっている活動能力を100%発揮できることが、本人にとっても周りにとっても良いはずなのに、それが理解されていないのが今の日本社会です。疲れた状態では、本来持っている力は出せません。その状態で仕事をすること自体が間違っている。その理解を社会全体で進めるべきなのです。

休むだけが休養ではない。七つのタイプを組み合わせ活力の充電を

なぜ日本人は「休む」リテラシーが低いのでしょうか。

先にも述べた通り、休養についての教育を受けていないからだと思います。誰もが子どもの頃は、遊んで、疲れて、寝る。元気になったらまた遊ぶ、という経験をしています。しかし大人になったら、子どもの頃とは体も生活も変わります。それなのに、考え方がアップデートされず、「活動、疲労、休息」のサイクルしか考えられていません。

それで疲れを感じずに過ごせればいいのですが、8割の人は間に合っていない。そして対策も知らないまま、たくさん寝れば良いとか、寝具を変えたら良いとか、対症療法的な解決策に飛びついてしまいます。

今の休養サイクル

【図表】今の休養サイクル

「活動」の対義語は活動しないこと、つまり「休息」です。では「疲労」の対義語はなんでしょうか。多くの人は疲労の対義語も休息だと考えますが、それは間違っています。辞書で調べると、疲労の対義語は「活力」とあります。疲れている状態の反対は、元気な状態ということです。

多くの人は疲れたら休む、そしてまた働くというサイクルで考えていますが、休むだけでは足りません。活力がたまってから活動する必要があるのです。携帯を充電しないと使えないのと同じことで、人間も活力を充電してから活動する必要があるのです。

理想の休養サイクル

【図表】理想の休養サイクル

睡眠も一定時間を過ぎると、体に悪影響を及ぼします。ずっと寝ていれば体を動かすための骨格筋が減ってしまうのです。私たちはただ休むだけでなく、「攻めの休養」、能動的な休養を取る必要があります。

具体的にはどうしたらいいのでしょうか。

休養学では、一般の方にとって分かりやすい「7つの休養モデル」を提唱しています。

休養の7タイプ

【図表】休養の7タイプ

まず、休養を「生理的」「心理的」「社会的」の三つに分けます。

生理的休養の中に休息タイプがあります。まさに皆さんがイメージするような、安静にする休養です。その他には、運動タイプと栄養タイプがあります。

運動タイプとは、体の血液を軽く循環させる行為です。激しい動きの後に軽く体を動かしたり、ストレッチしたりしますよね。軽い運動は細胞への酸素の供給が活発化し、体の回復につながります。ごろごろしているだけだと血液の循環が促進されません。軽く体を動かすことが疲労解消行動になります。

栄養タイプでは、バランスの良い食事ももちろんですが、「食べすぎないこと」も同時に重要です。油たっぷりの食事は胃腸に負担がかかるので、胃腸に優しいものを食べたり、食事の量自体を減らしたり、白湯で体をあたためたりすることも栄養タイプに含まれます。

心理的休養は、親交タイプと造形・想像タイプ、娯楽タイプに分かれます。親交タイプは、人と話す、自然に触れる、動物と触れ合うといったことで、家族やペットと過ごすのは親交タイプの休養です。造形・想像タイプは編み物を作ったり絵を描いたりする創作活動と、目をつぶって好きな人や行きたい場所、楽しかった思い出を浮かべたりすることが含まれます。娯楽タイプは想像しやすいと思いますが、ゲームでも映画でもいいので、自分が好きなことをやることを勧めています。ただし、これはやりすぎないことが大切です。

社会的休養には転換タイプがあります。外部環境を変える行為の多くがこれにあたります。例えば旅行に行くことや、部屋を片付けること、服を着替えることが転換タイプに属しています。

この七つのタイプ分けは、皆さんがイメージして行動しやすくするためのモデルです。これらを上手にバランスよく組み合わせて、活力を充電するように意識してみてください。

組み合わせることの一例として、スープを作ることを考えてみましょう。スープを飲んで「栄養」を取る時に、通常はインスタント食品で済ませることも可能です。しかし、あえて冷蔵庫に残っている食材を組み合わせてオリジナルスープを作る。そんな難しいことではないと思いますが、それは「造形・想像」になり、人によっては「娯楽」になるかもしれません。誰かと一緒に作れば「親交」にもなります。

それを近くの公園で飲めば「転換」。そこまで歩くのが「運動」。そしてスープを飲みながら一休みして「休息」です。スープを作るだけで、たくさんの休養タイプを盛り込んで、活力を充電できます。

頭の中にこの七つイメージを持って生活すれば、日常の何気ない行為に一工夫を加えて、攻めの休養が上手にとれるようになります。

職場で実践できる具体的な行動はありますか。

体を動かす仕事の人は、生理的休養を積極的に取り入れると良いでしょう。現代はデスクワークの方が多いので、そういった職場では心理的休養の割合を増やすとバランスが取れると思います。

ちょっと立ちあがって近くの人と話したり、机周りを掃除したりするのもおすすめです。心理的休養で大切なのは“デタッチメント”。仕事でストレスを感じることが多いのであれば、仕事を切り離すこと、仕事から離れることを意識しましょう。心理的休養にあたる行為のすべてが、自然と仕事からデタッチメントできるので、職場で推奨してみてはいかがでしょうか。

休養のリテラシーを高めるにはどうしたら良いでしょうか。

先にも述べた通り、通信機器の発達により、いまは誰もが本当に24時間戦えてしまう時代です。意識してオフの時間を確保しなければ、いずれ疲れ果てて心や体を壊すことにつながります。しっかりと休養を取り、活力を持って仕事に取り組めることは、個人はもちろん、企業にとってもメリットのあることのはずです。疲労を抱えたまま働くことは、ミスや事故につながるリスクがあります。

これはテクニックですが、週の始まりを月曜ではなく土曜ととらえるようにすることをおすすめします。労働者の多くが、平日5日をなんとか乗り切り、疲れ果てて土日に突入している。「週末」「ウィークエンド」という言葉がそれを象徴しています。そうではなく、土日を前に持ってきて、平日のタスクをこなすためにどう土日を過ごすか、と考えましょう。生産性向上と、本人の満足感にもつながりますから、オフをとることを積極的に考えてほしい。それが「攻めの休養」です。

読者である人事部の皆さんへメッセージをお願いします。

繰り返し述べてきましたが、オフを重視し、その結果オンで良い結果を出してもらうのが理想です。人事部の皆さんにはぜひ、社内全体でオフの過ごし方のリテラシーを高めてほしいと思います。

「5時で定時退社させることが良いこと」と単純に考えるだけでは不十分です。働き方改革により残業は減って、退勤時間は早くなっていると思います。しかし社員を早く帰らせても、疲労を回復して活力を高められなければ、会社にとってはメリットがありません。

オフの時間こそ、社員の幸せのためにマネジメントする必要があると自覚してもらう必要があります。プライベートの領域に会社が踏み込むのはハードルが高いと思いますが、社員に気づきを与えることはできるのではないでしょうか。

社員が「オフの過ごし方をマネジメントしなくてはいけない」と考えてオフファーストになれば、疲労から開放されて生産性が上がります。生産性が上がれば、さらに仕事を早く切り上げられるようになるでしょう。オフの時間がさらに充実して、攻めの休養を取れるようになれば、皆さんのハッピーにつながると思います。

片野秀樹さん(一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、株式会社ベネクス執行役員、博士(医学))

(取材日:2024年10月30日)

企画・編集:『日本の人事部』編集部

Webサイト『日本の人事部』の「インタビューコラム」「人事辞典「HRペディア」」「調査レポート」などの記事の企画・編集を手がけるほか、「HRカンファレンス」「HRアカデミー」「HRコンソーシアム」などの講演の企画を担当し、HRのオピニオンリーダーとのネットワークを構築している。


  • facebook
  • X
  • note
  • LINE
  • メール
  • 印刷

あわせて読みたい

記事

社員40名の中小企業が100を超える健康施策を展開
「人が辞めない組織」を目指した、浅野製版所の健康経営

浅野製版所は社員40名の中小企業ですが、100以上の健康施策を実施。中小企業の健康経営のモデルケースとして、政府や行政からも一目置かれる存在です。取り組みの中心を担う、新佐絵吏さん、川瀬和子さん、鈴木...

2024/04/23 関連キーワード:健康経営 働き方改革 健康経営エキスパートアドバイザー ブライト500 浅野製版所

記事

三菱ケミカルが推進する「KAITEKI健康経営」
健康支援と働き方改革の実現に向けた30の宣言とは

健康経営を推進するにあたって、従業員の理解浸透は重要なプロセスのひとつ。健康状態やパフォーマンスの改善には、働く一人ひとりの行動変容が欠かせないからです。総合化学メーカーの三菱ケミカルでは、2016年...

2020/06/26 関連キーワード:健康経営 サーベイ エンゲージメント ウェルビーイング 働き方改革 三菱ケミカル

記事

怒り・悲しみ・落ち込み・不安……「感情」とうまく付き合うことでイキイキとした働き方を実現する

職場でのストレス過多により、多くの人がメンタルヘルス不調や仕事のパフォーマンス低下などの問題を抱えながら仕事をしています。ストレスから自分を守るためには、「怒り」「悲しみ」「落ち込み」「不安」といった...

2019/09/04 関連キーワード:アンガーマネジメント 感情労働 健康経営 メンタルヘルス ストレス ポジティブ心理学 心理的安全性 インナーコミュニケーション 働き方改革

記事

「上司が怖い」「成長が実感できない」「やりたい仕事がわからない」
 産業医・大室正志さんに聞く、働く“不安”への処方箋

「上司が怖い」「成長が実感できない」「やりたい仕事がわからない」。企業で働く人たちは、さまざまな不安を抱えています。大手からベンチャー企業まで、約30社の産業医として活躍する大室正志さんに、こうした“...

2019/01/25 関連キーワード:働き方 働き方改革 キャリア キャリア自律 心理的安全性 メンタルヘルス 産業医 ストレスチェック

記事

病気を予防するだけでなく、従業員のやりがい・働きがいを追及
日本初のCHO(Chief Health Officer)が語る、ロート製薬の「健康経営」とは

「健康経営」という言葉が世に広まる前から、従業員の健康増進にコミットメントし続けてきたロート製薬。そんな同社でCHO(Chief Health Officer)を務めるジュネジャ氏は、「健康こそがロー...

2018/03/07 関連キーワード:ロート製薬 健康経営 やりがい 働きがい向上 働き方改革