人生100年時代の働き方を考える

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必要なのは周囲のフォローと信頼構築
環境ギャップを克服する新入社員の「五月病」対策

立教大学 現代心理学部 心理学科 准教授

松永 美希さん

行動パターンを観察し、異変を察知する

新入社員たちの様子に、目を配ることが大事ですね。

その通りです。異変を見逃さないことですね。注意散漫でミスが増える、ボーっとしていて作業が進まない、話を聞いていない、離席やトイレに行く回数が増える、席に戻ってくるまでの時間が長い、居眠りをするなどの行動があれば、注意しなければいけません。

本人と話してみて、4月の様子と比べてちょっとおかしいと思ったら、産業医や自社の健康管理センターなどへの相談、医療機関への受診を勧めるようにしましょう。

観察するうえでのポイントはありますか。

私がカウンセリングをする際は顔色や表情、声のトーンなども見ますが、どちらかというと行動パターンを重視していますね。例えば今日のインタビューでも、「ノートにメモがある。下調べをしているんだな」「私が話すことをたくさんメモしているな」と、「行っていること」から相手の状況を把握しています。

先ほど申し上げた適切な声かけも、相手の行動が判断材料の一つになります。本人の性格や置かれている状況を加味しながら、言葉を選ぶことが大事です。

やる気が感じられない、ボーっとしているといった態度は、“怠け”との区別が難しいですね。

完全にさぼっている場合もありますが、五月病の兆候として怠けの態度が見られることもあります。社会人としてのルールやマナーが守れないのは問題なので、叱ることも必要でしょう。ただ、そこに「心配している」というメッセージも添えて二つの側面でケアすることがポイントです。

例えば仕事の期限が守れなかったとき、期限を厳守する姿勢や事前相談の必要性などは冷静に説く一方で、「何があったの?」と仕事でつまずいた部分やそのときの心境を聞いてあげる。そして「頑張り過ぎて疲れていない?」など、いたわりの言葉もかける。本人の逃げ場を確保するのを忘れないことです。

五月病を防ぐ仕事の与え方があれば、教えてください。

最初から負荷や責任の重い仕事に新入社員をアサインすることはないと思いますが、仕事の進捗に影響が出るようなら何かしらの対応が必要になってきます。慣れるまでは業務を小出しにして任せるなど、量にも配慮しましょう。

また新任教諭のカウンセリングでは、「自分の仕事のことで、先輩たちの時間を奪うことがはばかられる」といった声がよく挙がります。周囲が忙しく働いている様子を見て、質問するのをためらうのです。そういう状態にあると感じたときは「分からないことがあれば、いつでも相談してね」と伝えたり、締め切りの数日前に分からないことを確認する時間を設けたりすると効果的でしょう。特に最初のうちは、新人に相談のタイミングを任せきりにせず、こちらからできるだけ具体的に指示を与え、仕事の感覚をつかんでもらうようにするとよいと思います。