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退職金制度の廃止

弊社は外資系企業でして、海外に本社があり、数ヵ国にいくつも支社がある中の日本支社という立場です。日本支社では、会社発足時から会社規程に退職金制度が設けられております。これまで、何事もなく、その会社規程に従って、退職者に退職金を支給して参りました。退職金支給対象者は、勤続2年以上経過した社員から60歳で定年を迎える社員までです。この規程は、日本の企業であれば平均的なレベルかと存じます。ところが、この度、海外の本社から、本社でも、その他の国の支社でも、日本支社のような退職金制度が無いので、日本支社だけ、会社が社員へ退職金を支給することは認められないと指摘されました。海外では、定年退職時に国から支給される退職金(年金)はあっても、会社から支給される退職金に相当するものは無い為、理解しがたいことのようです。日本の事情を説明し、60歳の定年まで勤めあげた社員に退職金を支給することについては、何とか理解させることができましたが、勤続年数2年や5年程度で、尚且つ、自己都合退職するような社員へ、会社が退職金の負担を負うのはおかしい、退職金を支払う必要は無いという話しになってしまいました。そこで、話は振り出しに戻り、60歳の定年退職か否かは問題ではなく、そもそも、日本支社に認められた会社規程に退職金制度が記載されている以上、退職金を支給しないということは不可能だと伝えました。すると、本社の指示に従い、日本支社の会社規程を改定すれば良いということになりました。現時点では、本社からの具体的な指示は受けておりませんが、「60歳の定年退職者以外には、退職金を支給しない」あるいは「退職金制度そのものを廃止する」という指示がくだされる可能性がございます。不利益変更であることは、間違いないと存じます。そこで、次の4点について、お教えください。1)退職金制度を改定あるいは廃止するには、労使間とどのような手続きが必要になりますか。2)労働者側が退職金制度の改定あるいは廃止を認めなくても、会社規程の変更は可能でしょうか。3)万一、退職金制度を廃止した場合、一切、退職金を支給しなくて良いのでしょうか。それとも、退職金制度廃止時点における退職金額を計算し、会社規程で支給対象者と定められた社員全員へ退職金を支給する必要がございますか。このような理由で退職金を支給する場合は、会社都合退職の扱いとなるでしょうか。4)前述の3)で、退職金制度廃止時点の退職金を一旦、支払った場合でも、将来的には、退職金制度廃止時点からその社員が実際に退職する迄の退職金の補償を求められる可能性があるのではないでしょうか。その支払を拒否することは、可能でしょうか。それとも違法になるでしょうか。まとまりのない説明で申し訳ございませんが、専門的なご意見を伺えましたら、大変心強く、助かります。宜しくお願い致します。

投稿日:2017/03/08 10:12 ID:QA-0069595

悩む人事担当者さん
大阪府/化学(企業規模 51~100人)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答2

プロフェッショナルからの回答

服部 康一
服部 康一
服部賃金労務サポートオフィス代表

お答えいたします

ご利用頂き有難うございます。

ご質問に各々回答させて頂きますと‥

1)労働条件の不利益変更に該当しますので、労使間で真摯に協議の上、労働者側の代表者のみならず各労働者からも個別同意を得る事が求められます。

2)労働者側の同意がなくとも手続き上では可能ですが、不利益となる場合には同意なき変更ですと無効と判断される可能性が高いでしょう。

3)同意が得られますと支給しなくても差し支えはございません。但し、無条件の廃止で同意が得られる可能性は低いでしょうから、調整措置としまして、文面のような方法を取られる事も視野に入れて労使交渉に臨まれるべきです。また、会社都合・自己都合退職についてですが、退職金を清算したからといって在職している限り退職扱いとはなりませんし、制度の変更とは直接関係ございませんので、通常通り実際に退職された場合において個別の退職理由で判断することになります。

4)当然ながらそうした事も含めて個別同意を得る事が必要になります。将来再度の支給義務が残れば制度廃止の実効性は無いのと同じですので、退職金の債務が完全に無くなることも明確に示された上で同意を得る必要がございます。

投稿日:2017/03/08 11:27 ID:QA-0069597

相談者より

ご回答をいただきまして、ありがとうございました。もう一度、経営陣とよく話しあった上で、万一、退職金制度廃止の方針で進む場合は、各労働者との話し合いを徹底して行い、個別同意を得られるよう努めたいと存じます。

投稿日:2017/03/21 12:41 ID:QA-0069793大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

川勝 民雄
川勝 民雄
川勝研究所 代表者

「前面の虎、後門の狼」の難しい課題

▼ 日本の退職金制度に就いては、「功労対価」と「後払賃金」と意見が2分したままで、所得課税面でも、根拠不明瞭のまま、大幅な勤続期間控除と対象額軽減控除が、適用されています。
▼ そして、その多くは、「勤続期間」と「退職時賃金額」という、直接、業績貢献度に結びつけ難い算定方式に従っており、且つ、暫々、多額に及ぶことから、海外企業にとっては理解し難い存在であることは間違いありません。
▼ 外資系企業の一拠点としての日本法人は、日本在住の我々でさえ、的確な存在理由を明確に説明し難い退職金制度は、廃止の運命にあるような気がします。以上の客観的状況を踏まえつつ、ご質問の結論だけを記します。
(Q1) 労使間の合意、就業規則の変更、労基署への届出、全社員への周知
(Q2) 合意はなくても、変更は可能
(Q3) 廃止時点において、会社都合事由とする退職金の支払が必要
(Q4) 廃止時点以降の勤続に就いての支払は不要
まあ、簡単に(と言うより、アッサリ過ぎる)回答を列挙しましたが、この巨大な不利益変更を実現するには、幾多の茨の道(修羅場というべきか)を通らなければなりません。前面に、不利益変更を受ける社員、後門に海外本社の挟撃をどう凌ぐのか、専門家の手助けが必要かも知れませんね。

投稿日:2017/03/08 21:57 ID:QA-0069613

相談者より

ご回答ありがとうございました。海外と日本における退職金制度の考え方の違いについて理解を同じするよう、再度、海外本社と話し合いたいと存じます。その上で、最終的に退職金制度廃止の方向で進むことになれば、各労働者からの同意を得られるよう努めます。ご指摘の通り、容易なことではございませんので、専門家の手助けを求めることになるかと存じます。

投稿日:2017/03/21 12:49 ID:QA-0069794大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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