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2026/07/17

2025年ストレスチェック全業種データ分析レポートー業種別編―

高ストレス者率トップは「宿泊業・飲食サービス業」/「不動産業」は5年で最も改善

株式会社ドクタートラスト(本社:東京都渋谷区、代表取締役:高橋雅彦、以下「ドクタートラスト」)のストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者323万人超(9,467の企業・団体)のデータを活用し、さまざまな分析を行っています。

今回は2025年にストレスチェックを受検したおよそ60万人(およそ2,000の企業・団体)における集団分析データをもとに、業種別の高ストレス者率の推移や健康リスクなどを調査しました。

(注)2024年度までは年度単位(4月〜翌年3月)、2025年は年単位(1月〜12月)での集計となっており、集計期間が異なる点にご留意ください。

調査結果のポイント

<総合健康リスク>

  • 総合健康リスクが高い業種:
    「運輸業・郵便業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「医療・福祉」
  • 総合健康リスクが低い業種:
    「複合サービス事業」、「不動産業・物品賃貸業」、「公務」

<高ストレス者>

  • 高ストレス者が多い業種:
    「宿泊業・飲食サービス業」、「運輸業・郵便業」、「製造業」
  • 高ストレス者が少ない業種:
    「公務」、「不動産業・物品賃貸業」、「学術研究・専門技術サービス業」

<5年前と比べて高ストレス者率が大きく改善した業種>

  • 「不動産業・物品賃貸業」


詳細解説編

■はじめに

ストレスチェック制度は、2015年から、従業員50名以上の事業場に対して年1回の実施が義務づけられています。

ドクタートラストでは制度開始から企業・団体など各組織に応じたストレスチェックを提供してまいりました。現在では通常の57項目版とあわせて、より詳細な分析が可能な80項目版や独自の設問もご用意しています。職場や部署ごとのストレス傾向をまとめて分析する「集団分析」の結果フィードバックや受検後相談窓口などのアフターフォローも提供しており、国内トップクラスの受検者数を誇っています。

今回の調査では、2025年にドクタートラストのストレスチェックを受検した2,004団体、およそ60万人のデータをもとに、業種別の傾向を分析しました。

■総合健康リスク

ストレスチェックの結果を部署や、事業場ごとに分析した集団分析では、集団の「総合健康リスク」が示されます。

<総合健康リスクとは>

  • 企業や団体の中で仕事のストレス要因から起こり得る疾病休業などの健康問題のリスクを示す指標。標準集団の平均を「100」としており、健康リスクが「120」の集団は、その集団で健康問題が起きる可能性が、平均より「20%多い」ことを示す
  • 総合健康リスクは、「仕事の負担・コントロール」リスクおよび「上司・同僚からのサポート」リスクという2つの指標をかけ合わせた数値

総合健康リスクを業種別に算出、リスクの高いに並べたものが「業種別・総合健康リスクランキング」です。

総合健康リスクが高い業種は「運輸業・郵便業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「医療・福祉」でした。一方で総合健康リスクが低い業種は「複合サービス事業」、「不動産業・物品賃貸業」、「公務」でした。

■業種別・リスクランキング

前述のとおり、総合健康リスクは、「仕事の負担・コントロール」リスク、および「上司・同僚からのサポート」リスクという 2つの指標をかけ合わせた数値から算出されます。業種別に「仕事の負担・コントロール」リスク、「上司・同僚からのサポート」リスクを示したものです。

1. 「仕事の負担・コントロール」で健康リスクが最も高いのは「宿泊業・飲食サービス業」、次いで「医療・福祉」、「生活関連サービス業・娯楽業」

総合健康リスクを算出する1つ目の指標「仕事の負担・コントロール」リスクは、個人ごとの仕事量の負担と、仕事量をいかにコントロールできているか、そのバランスがストレスに及ぼす影響を示しています。

このうち「仕事の負担」リスクは、仕事の量・処理速度・熱量などを問う設問、「仕事のコントロール」リスクは、仕事をする際に自分の裁量で業務内容や進め方、時間配分などを調整できるか、その自由度を問う設問から構成されています。

「仕事の負担・コントロール」で健康リスクが最も高かったのは、「宿泊業・飲食サービス業」、次いで「医療・福祉」、「生活関連サービス業・娯楽業」でした。慢性的な人手不足や繁閑差の大きさに加え、不規則な勤務形態などにより生活リズムが乱れやすく、業務負荷も高まりやすいと考えられます。また、現場 of 状況に応じて臨機応変な対応が求められる場面が多く、自分の裁量で仕事量やスケジュールを調整しにくい点も、ストレス要因となっている可能性があります。

2. 「上司・同僚からのサポート」で健康リスクが最も高いのは「運輸業・郵便業」、次いで「製造業」、「サービス業」

総合健康リスクを算出する2つ目の指標「上司・同僚からのサポート」リスクとは、職場の上司や同僚とのコミュニケーションがストレスに及ぼす影響を示しています。

<「上司・同僚からのサポートリスク」の特徴>

  • 仕事量が多く、裁量権が少ない職場であっても上司や同僚からのサポートが得やすい職場はリスク数値が良好傾向になる
  • 逆に仕事量が少なく、自分のやり方で仕事を進められても、上司や同僚からのサポートが得られにくい職場はリスク数値が不良傾向になる

上司・同僚からのサポートが不十分な職場は、従業員のメンタルヘルス悪化や生産性の低下、離職率の上昇にもつながる可能性があるため注意が必要です。

「上司・同僚からのサポート」で健康リスクが最も高かったのは「運輸業・郵便業」、次いで「製造業」、「サービス業」でした。個人作業が多いことや勤務時間帯が違うこと、拠点が複数あり物理的な距離があることなどの業種特性から、職場内コミュニケーションが不足しやすい可能性があります。

特に「運輸業・郵便業」は、「仕事の負担・コントロール」「上司・同僚からのサポート」の両者で健康リスクが高い結果となりました。業務量の高負荷と周囲からの支援不足が重なりやすい構造にあり、心身への負担が蓄積しやすい状況といえます。2024年の結果でも同様の傾向がみられており、一時的な問題ではなく、業種に共通する働き方の課題が背景にあると考えられます。

一方、「仕事の負担・コントロール」で健康リスクが最も高かった「宿泊業・飲食サービス業」では、「上司・同僚からのサポート」が比較的良好でした。サポート体制が一定のリスク軽減に機能していることがわかります。

業務負荷とサポート体制の両輪を整えることが、職場環境改善の鍵といえるでしょう。

■高ストレス者率ランキング

1. 高ストレス者率が高いのは、「宿泊業・飲食サービス業」、「運輸業・郵便業」、「製造業」

高ストレス者率とは、実際に受検をした人のなかで、高ストレス者と判定された人がどれくらいいるかを示した割合です。2025年にドクタートラストでストレスチェックを受検した企業・団体の高ストレス者率の平均は13.4%(受検者数609,757人より算出)でした。

<高ストレス者とは>

  • ストレスの自覚症状が強い人
  • ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人

高ストレス者率を業種ごとに算出し、高ストレス者率が高い順に示したものです。高ストレス者率が最も高かったのは「宿泊業・飲食サービス業」で2年連続19%台でした。以下、「運輸業・郵便業」、「製造業」と続きます。

一方、高ストレス者率が低かったのは「公務」、「不動産業・物品賃貸業」、「学術研究・専門技術サービス業」でした。

2. 高ストレス者率は約6割の業種で前年よりも改善している

業種別の高ストレス者率を2025年と2024年で比較したものです。全体として大きな変化はありませんでしたが、「運輸業・郵便業」が0.5ポイント、「分類不能の産業」が0.4ポイント、「複合サービス事業」が0.3ポイントとそれぞれ悪化しました。

一方、最も改善幅が大きかったのは「不動産業・物品賃貸業」で前年比3.3ポイント改善。「金融業・保険業」も1.2ポイント改善するなど、一部の業種では明るい兆しもみえています。

3. 5年前と比べて最も改善幅が大きかったのは「不動産業・物品賃貸業」

業種別の高ストレス者率について、2025年と5年前(2020年)を比較したものです。5年前と比べると、最も悪化幅が大きかったのは「金融業・保険業」で2.6ポイント、次いで「宿泊業・飲食サービス業」が2.5ポイント、「運輸業・郵便業」が2.2ポイント悪化しました。
一方で、最も改善幅が大きかったのは「不動産業・物品賃貸業」で、4.4ポイント改善しました。次いで「複合サービス事業」が3.4ポイント、「情報通信業」が1.6ポイント改善しました。

全体としては、業種によって改善・悪化の差がみられ、特に「宿泊業・飲食サービス業」は、5年前から継続して高いストレス状態にあることがわかりました。


■さいごに

「宿泊業・飲食サービス業」「運輸業・郵便業」「医療・福祉」では、業務負荷の高さに加え、周囲からのサポート不足も重なりやすく、総合健康リスク・高ストレス者率ともに高い水準が続いていました。厚生労働省公表「令和7年度テレワークの労務管理等に関する総合実態調査」※によると「宿泊業・飲食サービス業」「運輸業・郵便業」において、7割以上が「人員が不足している、またはやや不足している」と回答しています。これらの業種は、慢性的な人手不足や不規則な勤務形態、顧客や患者への臨機応変な対応が求められるなど業界特有の課題がストレスの蓄積につながっている可能性があります。特に、人手不足に関する課題については、業務負荷の偏りや長時間労働を招きやすいため、個々の企業だけでなく、業界全体で継続的な改善に取り組むことが求められます。

一方で、「公務」「不動産業・物品賃貸業」「複合サービス事業」などは、比較的ストレスリスクが低い傾向がみられました。これらの業種では業務分担や支援体制が比較的整備されており、働き方の安定性がストレスリスクの低減につながっていると考えられます。特に「不動産業・物品賃貸業」では、5年間で高ストレス者率が大きく改善していました。
不動産業界では、コロナ禍をきっかけにオンライン内見、電子契約、IT重説(オンライン重要事項説明)などのデジタル化が急速に普及しました。従来は対面や紙中心だった業務が効率化されたことで、移動負担や事務負荷が軽減され、働き方改善につながった可能性があります。さらに、他業種と比べてテレワーク導入が進みやすい職種も多く、営業や事務業務の柔軟化が進んだことも、ストレス軽減に影響した可能性があります。

ストレスは「高い・低い」を比較するだけでなく、「業務負荷」と「サポート体制」の両面から職場環境を捉えることが重要です。仕事量や裁量度に課題がある場合だけでなく、上司や同僚から十分な支援が得られない場合にも、ストレスは高まりやすくなります。どちらか一方だけを改善しても十分とはいえず、両面をバランスよく整備していくことが、従業員の健康維持や生産性向上につながると考えられます。今回の分析結果が、より健全で活力ある職場づくりに向けた取り組みの一助となれば幸いです。

※厚生労働省「令和7年度 テレワーク・ワンストップ・サポート事業 テレワークの労務管理等に関する総合実態調査 報告書」(一般社団法人日本テレワーク協会受託)
文責:押切愛里(ストレスチェック研究所 アナリスト)


【調査概要】
調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス 2019年~2025年受検者
対象受検者数:
・2025年:609,757人(2,004の企業・団体)
・2024年度:555,956人(1,777の企業・団体)
・2023年度:479,612人(1,390の企業・団体)
・2022年度:410,352人(1,162の企業・団体)
・2021年度:324,642人(940の企業・団体)
・2020年度:240,275人(685の企業・団体)
・2019年度:199,290人(575の企業・団体)
※本件の業種分類は「日本標準産業分類」に準拠しています。受検法人数が一定数に満たない業種は評価していません
※複合サービス事業は2019年度の実施企業が⼀定数を満たないため、表示していません
【集計期間について】2024年度までは年度単位(4月〜翌年3月)、2025年以降は年単位(1月〜12月)での集計となっています

◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(株式会社ドクタートラスト /2026年6月30日発表・同社プレスリリースより転載)


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