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【ヨミ】アクティブレスト

アクティブレスト

「アクティブレスト」とは、直訳すると「積極的な休養」。つまり、より効果的に、効率的に休養することをいいます。横になるなどして完全に休むのではなく、むしろ体を動かすことで疲れの軽減を目指すものです。アクティブレストはもともと、アスリートの世界で普及した方法で、スポーツ選手が試合後に疲労を早く取り除き、次の試合や練習に備えるための効果的な疲労回復法として編み出されました。適度な運動は全身の血液循環を良くするため、疲労の原因とされる物質が血中から素早く処理されやすく、運動によって交感神経が刺激されてストレス解消につながる、という精神面でのプラスもあります。そのため、最近ではアスリートに限らず、フィットネスクラブやビジネスパーソンへと裾野が広がっています。
(2018/1/24掲載)

ケーススタディ

「疲れたら休養」から「疲れたら運動」へ
アクティブレストを健康経営に活用するサービスも

生産性の向上やウェルビーイング。昨今、従業員が心身ともに健やかな状態で働くことを目指す健康経営は、多くの企業が取り組まなければならない経営課題の一つです。従業員にも、残業時間の抑制など、決められた時間内に効率よく仕事を終わらせることが求められています。そのような状況下、短期間でパフォーマンスをあげるために、前日の疲れを翌日に持ち込まないよう、「賢く休む」方法が注目されています。

アクティブレストは「疲れたときこそ運動を」という考え方。しかし、体を動かした方がいいとはいえ、過度な運動はかえって疲労感を高めてしまいます。ウォーキングやサイクリング、スイミングといった有酸素運動が好ましいとされ、強度も隣の人と会話できるくらいの「八分目」にとどめておくことが効率的休養のコツ。有酸素運動で体が温まった後は、ストレッチで筋肉を伸ばすとアクティブレストの効果はさらに高まるといいます。

アクティブレストをビジネスシーンに取り入れる動きもあります。福岡県を拠点に活動する10分ランチフィットネス協会は、「『アクティブレスト』で企業に活力を」を理念に、その名の通りランチ休憩中の10分間でできる運動プログラムを提案しています。着替える必要がなく、運動が苦手な人でもできるという気軽さが好評で、「気分が良くなり、午後の就業にも元気に臨めた」という参加者の声もあがっています。また副次的な効果として、従業員同士のコミュニケーションの場となり、メンタルヘルス対策としての効果も期待されます。

疲労感は体を守るサイン。疲れを感じたら対処が必要です。「疲れたら帰って寝る」ではなく、「疲れたときこそ軽い運動」という新しい休養のスタイル。生産性が求められているいま、アクティブレストは今後ますます注目を浴びそうです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部