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【ヨミ】エイセイカンリシャ

衛生管理者

「衛生管理者」とは、労働者の衛生に関わる具体的・技術的な事項全般を管理する担当者のことです。労働安全衛生法によって、常時50人以上の労働者を使用する事業場(企業、法人単位ではなく、本社、支社支店、工場、営業所などの単位のこと)では、規模に応じて1〜6人の衛生管理者を選任することが義務付けられています。

ケーススタディ

重要性を増す労働衛生管理のエキスパート
不在の場合は速やかに代理者の選任を

労働者の安全と健康を守り、快適に働ける環境をつくるために、職場の災害防止基準や責任体制を明確にし、企業の自主的活動を促進することを目的としているのが「労働安全衛生法」です。事業場の規模や従業員の人数に応じて適用される安全衛生管理体制を定め、事業者が、衛生管理者を選任することなど、さまざまな義務を課しています。

衛生管理業務は専門性が高いため、相応の知識や経験がないと業務の遂行に支障を来しかねません。そのため衛生管理者は、第一種・第二種衛生管理者免許、もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者、あるいは医師や労働衛生コンサルタントなどの資格を持つ者から選任しなければならないと定められています。

衛生管理者の重要な業務の一つに、週1回以上の定期巡視があります。作業場などを巡視し、設備・作業方法または衛生状態に有害の恐れがある場合や、健康に異常のある労働者を発見した場合は、直ちに必要な措置を講じなければなりません。また事業者は、労働者の健康障害を防止するために、そうした措置を行う権限を衛生管理者に与えることが義務付けられています。

近年、過重労働に対する事業者の管理責任が強化されるなか、衛生管理者に求められる役割はますます重みを増しています。日常業務においても、メンタルヘルス不調者や長時間労働者に対する産業医面談の実施、就業制限が必要な従業員と現場との調整業務など、メンタルヘルス対策の強化に重点が置かれるようになってきました。そうした重責を担う衛生管理者が、病気や事故などやむを得ない事由で不在になってしまったら、どう対応すればいいのでしょうか。たとえば昨冬の新型インフルエンザ騒動はまだ記憶に新しいところですが、衛生管理が一層問われるこれからの季節、衛生管理者本人が長期間病欠してしまう可能性も想定しておかなければなりません。その場合、事業者は代理者を選定することになります。代理者は必ずしも衛生管理者の資格を有している必要はなく、過去に保健衛生の業務に従事した経験があれば足ります。

病欠に限らず、衛生管理者が急に退職する事態も考えられますので、事業場ごとにあらかじめ複数の従業員に資格を持たせておいたり、法的に必要とされる人数を超えて担当者を選任したりするなど、不測の事態に対応できる体制を整えておくことが重要です。なお、衛生管理者の不在にもかかわらず、何ら措置を講じない場合は、事業者に安衛法にもとづく罰則規定が適用されますので、注意しましょう。

企画・編集:『日本の人事部』編集部