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【ヨミ】リフレーミング

リフレーミング

「リフレーミング」とは、理想的な状態に向かうために、ものごとを認知する枠組みを別の枠組みで捉え直すことをいいます。枠組みは英語で「Frame(フレーム)」、そのフレームを改めることから「Reframing(リフレーミング)」と呼ばれます。もともとは心理学用語として家族療法などで用いられていましたが、現在はビジネスシーンなど幅広い分野で用いられている技法です。

ケーススタディ

上から見るか、下から見るか
別の視点から捉え直すリフレーミング

何かに行き詰ったり悩んだりしているとき、見ている物事に過集中してしまっているかもしれません。そんなとき、視点を変えて引いてみることで、それまでの視点とは異なる側面が見えてくることもあります。

例えば、病院で医師から「この病気では5年以内に10%の方が亡くなります」と説明を受けたらどう感じるでしょうか。10%という確率を決して低くない数値だと感じ、不安な気持ちが増す人もいるかもしれません。一方、「この病気では5年生存率は90%です」という説明であれば、きっと自分も大丈夫だろうと前向きな気持ちを持てるのではないでしょうか。10%の死亡率も90%の生存率も、どちらも同じファクト。そのファクトにどのような意味付けをするかが、一人ひとりが持つフレームで、その後の感情や思考や行動につながります。

リフレーミングは、いくつかの種類に分けられます。視点のリフレーミングは最も一般的な方法で、コインの裏表のように、視点がネガティブな面からポジティブな面に近づくよう角度を変えるもの。文脈のリフレーミングは、現在の環境では役に立たないことも、環境が変われば有益になるかもしれないというもの。意味づけのリフレーミングは、ある事柄の意味合いを変えるもの。例えば、かつては所有することが豊かさの象徴として捉えられていましたが、現在ではミニマリストという概念ができ、所有しないことに対してポジティブな印象形成に成功しています。

ただし、リフレーミングは表面的にポジティブな言葉を使えばいいというものでもありません。思い悩んでいる人に上辺だけのポジティブな言葉をかけると、かえって停滞を生んでしまうかもしれません。リフレーミングは、物事の枠組みを捉え直し、理想的な方向を向くためのもの。誰にでも効果を発揮する万能薬ではないため、現在のフレームや言葉を尊重しながら変容をうながす姿勢が重要です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部