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【ヨミ】ジココウテイカン

自己肯定感

「自己肯定感」とは、自分自身を受け入れ、尊重し、ポジティブに捉えることができる感情のことをいいます。他者と比較して何ができるか、何を持っているかなどで優劣を決めるのではなく、評価や成果の有無にかかわらず自分軸を持ち、そのままの自分を受け入れます。自己肯定感は、恐れや不安といったネガティブなモチベーションではなく、信頼や安心感をベースに前進する力を与えます。

ケーススタディ

自己肯定感と自己効力感の違いは
「条件付き」の自己肯定かどうか

仕事や人間関係に悩むことなく、幸福度の高い日々を送るためには自己肯定感が大切だと言われています。しかし、自己肯定感が高ければ良い、低ければ悪い、ということではありません。自己肯定感の有無で人の優劣は決まりませんが、自己肯定感の有無がその人の人生に与える影響は少なくないでしょう。

類似の考え方に「自己効力感」がありますが、自己効力感と自己肯定感は似て非なるものです。自己効力感は「私はこの目標を達成することができる」と条件付きで自己肯定をすること。つまり、「結果を出している自分は大丈夫」という状態です。結果の良し悪しにかかわらず、自分を肯定する力が自己肯定感です。

内閣府の「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」において、日本を含めた7ヵ国の満13~29歳の若者に「自分自身に満足しているか」を聞いたところ、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合の合計はアメリカで86.0%、イギリスで83.1%。日本以外の6ヵ国はいずれも70%以上となる中、日本は45.8%にとどまりました。一方、「つまらない、やる気が出ないと感じた」という設問に対して「あった」「どちらかと言えばあった」と回答した割合の合計は、日本は76.9%で他国(アメリカ:49.0%、イギリス:55.2%)を大きく上回りました。

自己肯定感の高い人には次のような傾向があります。

  • 物事を肯定的に受け止められる
  • 自分を尊重するように他者を尊重できるため人との違いを受け入れられる
  • 人の評価に振り回されない
  • 自分の意見を伝えられる

ポイントは「人は失敗する」ということです。自己肯定感の有無にかかわらず、その事実は変わりません。その失敗をどう捉えるか。成長につながりラッキーだと思うのか、誰かに嫌われるのではないかとビクビクするのか。自己肯定感とは“ポジティブなものの見方”なのです。

自己肯定感は、人生の長い年月をかけて複雑な要素が絡み合い形成されるもの。一朝一夕で変えることは難しいと言われています。しかし、ものの見方は訓練次第で変えることもできます。例えば仕事でネガティブなことが起きたとき、ポジティブな側面を二つ考える。習慣を積み重ねることで、思考の癖も徐々に変化していきます。

・参考
特集 今を生きる若者の意識~国際比較からみえてくるもの~(平成26年版 子ども・若者白書(概要版)、内閣府)

平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(内閣府)

企画・編集:『日本の人事部』編集部