人生100年時代の働き方を考える

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【ヨミ】カジョウテキオウ

過剰適応

「過剰適応」とは、ある環境に合うように、自身の行動や考え方を変える程度が度を超えている状態を指します。その結果、うつ病やパニック障害といった二次障害を引き起こすこともあり、精神疾患者に陥りやすい人が持ち合わせている傾向ともいえます。人から良く思われたい、認められたいという「承認欲求」は社会生活を営んでいる限り誰もが抱くものです。その欲求が強くなるあまり、自己の本質よりも他者に認められるための行動を優先してしまい、心身を消耗してしまう。またそれを習慣的かつ反射的に行ってしまうのが過剰適応の特徴です。(2019/8/30掲載)

ケーススタディ

自分も他人もOK
部下を過剰適応にさせないために

相手の機嫌をそこねないよう、相手に合わせることを優先してきた。親の期待に応えるべく行動し、いつも「いい子」だと言われてきた。悪いことが起こると、周囲ではなく自分を責める。自分の欲望や主張より、相手の意向を尊重する――。程度に差こそあれ、ほとんどの人が「周囲を気にする」行為を経験しているのではないでしょうか。他者を尊重するのはパーソナリティの一つでもあり、どこからが過剰なのか明確に線引きをするのは難しいものです。

「適応」と呼ばれるものには、二種類あります。一つは、社会や現実の要求に応じて、自分を変化させていく「外的適応」。もう一つは、内面的に幸福感や満足感を経験し、心的状態が安定していることを指す「内的適応」。何をもって過剰と判断するかの目安となるのが、これらのバランスです。外的適応が重視されすぎており、内的適応が軽視されている場合に、過剰適応傾向にあると判断することができます。

過剰適応には、「アサーション」と呼ばれる自他尊重の考え方の訓練が有効です。一般にコミュニケーションにおける表現は、攻撃的な自己表現、非主導的な自己表現(過剰適応)、相手と対等な自己表現(アサーティブ)の三つがあります。アサーションでは三つ目のアサーティブな状態を目指すトレーニングで、「相手を傷つけず自分も傷つけない」自他尊重のマインドを持つことで、自己犠牲的な承認を軽減させていきます。

場合によっては、精神疾患にもつながりかねない過剰適応。自分の感情を抑える「感情労働」を求められる職場では、過剰適応状態に陥りやすい環境といえます。上司は部下を過剰適応状態にさせないよう、自分や同僚の顔色をうかがってストレスをため込んでいる因子が見られたら、彼らが自尊感情を取り戻せる環境を整えるためのサポートが必要です。