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【ヨミ】スイミンケンシュウ

睡眠研修

「睡眠研修」とは、健康経営の一環として、組織が従業員の睡眠の量や質を向上するために導入する研修のこと。従業員が十分な眠りを確保できなければ、就業中に睡魔に襲われたり、メンタル不調につながったりと、さまざまな面で悪影響を及ぼします。起こりうるリスクの回避とコスト削減、そして生産性向上につなげるため、研修を行って睡眠の改善を行う企業が増えています。

ケーススタディ

生産性への影響も
企業が考えるべき従業員の「睡眠」

寝つきが悪い、睡眠時間が短い、昼夜逆転――ビジネスパーソンにとって睡眠に関する悩みは、労働と密接に関わっています。なぜなら、睡眠の量や質は、仕事の生産性に大きな影響を与えるからです。

睡眠の悩みは、大きく二つに分けられます。一つは、不眠や過眠といった睡眠障害によるもの。もう一つは、睡眠の習慣によるものです。前者は専門家による診断のもとで治療が必要ですが、後者は個人の意識によって改善することが可能です。企業が実施する睡眠研修は、主に後者の「習慣」の改善を目的として行われます。

スリープテック事業を展開する株式会社ニューロスペースが2019年1月に発表した調査によると、ビジネスパーソンのうち、自分の睡眠に「全く満足していない」「あまり満足していない」と回答した人の合計は74%にのぼりました。また、「毎日」仕事中に眠気を感じることがあると答えた人は15%で、「週に1~2回」以上眠気を感じる人の割合は76%。企業成長の観点においても、睡眠課題が大きな影響を及ぼすことがわかります。

では、どのような企業が実際に睡眠研修を導入しているのでしょうか。例えば、吉野家ホールディングス。24時間営業の飲食店の場合、従業員は不規則なシフトで勤務しなければなりません。昼に働くこともあれば、深夜に働くことも。こうした従業員に向けて、同社では睡眠データを分析し、生活習慣の改善方法などを指導しました。また、従業員を対象にした窓口「吉野家専用・睡眠相談窓口」を設け、睡眠の質向上を継続的に取り組める仕組みをつくっています。

また、2016年に睡眠研修を導入した株式会社ディー・エヌ・エーでは、研修を受講した人の66%が「睡眠が改善した」と回答しました。同社は睡眠だけでなく、食事や運動の観点からも健康経営を行っていますが、その中でも睡眠に関するセミナーは人気が高いといいます。睡眠の質を向上させ、個人にとっても組織にとっても良い状態をつくる睡眠研修は、今後さらに注目を集めそうです。

企画・編集:『日本の人事部』編集部