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【ヨミ】ケンコウニジヒガイ

健康二次被害

「健康二次被害」とは、コロナ禍における自粛生活によって、日々の運動量や人との関わりが大幅に減少した結果、筋肉量の低下や基礎疾患の悪化、免疫力の低下といった影響が生じること。社会人はこれまで通勤という身体活動を行なってきましたが、出社制限でテレワークが増えたことで運動不足になり、身体的・精神的な健康被害が懸念されています。スポーツ庁でも健康二次被害を防ぐため、さまざまな年代の人を対象にリーフレット・ガイドラインを公開しています。

ケーススタディ

1,500歩多く歩くことで、3.5万円の医療費抑制に
ウォーキングが健康二次被害を防ぐ

ウォーキングアプリ「SPOBY」を運営する株式会社CUVEYESの調査によると、コロナ以前と比べて、人々の1日あたりの平均歩数は702歩減少していることがわかりました。特に2020年の緊急事態宣言下において、テレワークが推奨された会社員の歩行量は顕著に下がり、2019年と比べて1,396歩少ない結果になりました。

活動制限によって運動不足が長期化することで、体重増加、生活習慣病の発症・悪化、体力の低下、腰痛・肩こりといった身体的な不調の恐れが高まります。また、コミュニケーションが希薄になることで、不安やストレスの蓄積、精神疾患の発症といった精神的な健康被害も引き起こす可能性もあります。

適度な運動は、気分転換やストレス解消などのリラックス効果のほか、脳や免疫機能の活性化、体重コントロールや体力の維持・向上によるメタボ予防効果もあります。

また、医療費の抑制効果も期待できます。国土交通省の「まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドライン」によると、今までより1日あたり1,500歩多く歩くことで、一人当たり年間約35,000円相当の医療費抑制につながるそうです。

デスクワークが多く、通勤という運動機会が無くなった社会人はどうすればよいのでしょうか。まずは、見える化をすること。スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスを活用し、現状の運動量を知ることから始めます。健康経営の観点から、会社単位の取り組みも増えています。経済産業省が認定する「健康経営優良法人」の「ホワイト500」に認定されている企業の多くがウォーキングアプリを導入しています。

「歩く」という一見シンプルな行動が、心身にさまざまな好影響を及ぼします。感染症予防対策も重要ですが、コロナ禍においては、健康増進への取り組みがますます重要になるでしょう。

・参考
新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について(スポーツ庁)
コロナ禍で人々の1日あたり平均歩数が702歩低下(株式会社CUVEYES)
まちづくりにおける健康増進効果を把握するための歩行量(歩数)調査のガイドライン(国土交通省)

企画・編集:『日本の人事部』編集部