講演者インタビュー
競争力のある人事・報酬制度を目指して –
最新の報酬トレンドにおいて優秀な人材をいかに処遇すべきか

エーオンソリューションズジャパン株式会社 アソシエイトパートナー
宋 燃氏
物価高騰や人材確保競争の激化を背景に、企業の報酬水準引き上げが加速しています。当該環境下において、優秀な人材を引き付けリテンションするためには魅力的な人事・報酬制度が不可欠です。本講演では、他社事例や当社が実施した報酬調査分析から近年における報酬変化のトレンドを示し、戦略的な報酬配分の考え方と実務対応に加え、等級制度や評価制度を報酬制度にいかに連動させるのかについても、様々な考え方を紹介します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
人事において、組織文化、エンゲージメント、キャリア開発など重視すべきポイントはたくさんありますが、中でも人事・報酬制度は採用競争力や人材の定着に直結します。一律の報酬引き上げでは、必ずしも会社に必要で優秀な人材が満足する処遇にはつながりません。投資効率の高い報酬制度、納得感のある評価制度が求められます。
基本給と賞与のどちらを引き上げるべきか、若手とシニア社員のどちらを優先すべきか、既存社員と中途入社社員との報酬格差の是非、専門性の高い社員を総合職と異なる報酬制度で処遇すべきか――。各社の経営戦略、組織文化に即して適切な報酬戦略を決定する必要があります。また報酬制度と等級制度、評価制度を適切に連動させることも重要です。
本講演では、報酬におけるマーケットのトレンドをさまざまな角度から分析し、人事・報酬制度における選択肢のメリット・デメリットなどを含め、人事・経営企画の皆さまに向けて具体的な指針を提示します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
帝国データバンクによれば、2025年度に日本企業の約6割が賃上げを予定し、ベースアップ実施率は過去最高の56.1%に達しました。物価高や人材確保の必要性が背景にあり、当該トレンドは今後も継続することが予想されます。Aonの報酬調査への参加企業も近年急増しており、各社の報酬への関心の高さがうかがえます。
本講演では、「人事・報酬制度はどうあるべきか」について、さまざまな観点から考え方を提示します。
例えば、メンバーシップ型からジョブ型への移行を検討している企業は、まずジョブ別に職務記述書を作成して職務を明確化し、近年では次の段階として各ジョブにふさわしい報酬水準の検討を始めている企業も多くなっています。
本講演の前半では、「他社の人事・報酬制度の見直しに関する事例」を示し、「参加企業1000社を超えるAonの最新の報酬調査の結果から直近の報酬変化のトレンド」を紹介することで、マーケットにおける人事・報酬制度、報酬水準の実態を解説します。
一方、各社の経営戦略、企業文化および財務状況は異なっており、必要となる人材も異なります。全社に当てはまる報酬制度の正解は存在しません。そこで、後半では報酬制度・水準をどのように決定すべきか、等級制度と評価制度をどう連動させるべきかについて、さまざまな選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
近年、メディアでは初任給引き上げやベースアップのニュースをよく目にします。しかし報酬水準の単なる引き上げは人件費の増大につながり、売上が増大しなければ株主利益を圧迫する要因となります。報酬水準の引き上げは、ただのコスト増加ではなく人的資本への投資そのものです。戦略的な報酬制度は人件費の投資効率を高めます。
参加される皆さまは、マーケットトレンドを理解し、自社に合った報酬戦略を議論することが求められます。また、報酬の納得感を高めるためには、等級制度と評価制度との連動も重要です。本講演がそれらを議論する上での一つの出発点、または転換点となることを望んでいます。
- 宋 燃氏(そう ねん)
- エーオンソリューションズジャパン株式会社 アソシエイトパートナー
- 国内外大手企業を中心に、人事・報酬・財務・組織に関する数多くのコンサルティング・サービスおよび報酬調査サービス等を指揮。Aon入社前はみずほ証券およびMizuho Securities Asiaの投資銀行部門のヴァイスプレジデントとして数多くのM&Aや資金調達案件に従事。東京大学農学部卒業。

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