講演者インタビュー
男性育休の推進はまず「風土づくり」から
~テルモの事例から学ぶ組織を巻き込む3つのアプローチ~

セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
一之瀬 幸生氏
法改正で男性育休の取得率向上に向け、企業は施策により力をいれることが必要です。一方、周囲の負担増・当事者のキャリア不安などで、長期間の育休が取りづらいということが起こっています。施策前進の鍵を握るのは「風土づくり」です。本講演は優先的に取り組む課題を整理し、テルモでDE&I推進室室長を務める唯野氏から、経営層・現場両方の納得感を得ながら風土づくりを進めた取り組みを3つの観点に分けてご紹介します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演は、男性育休について次のような困りごとをお持ちの方にお勧めします。
(1)部署や上司によって男性育休の取得しやすさが異なる
(2)育休取得率は上がっているが、伸び悩みを感じる
(3)短期間の取得が多く、本来の育休の役割を果たしていない
(4)育休による周囲への業務対応に課題がある
上記の背景には、以下の事象があると考えられます。
(5)男性育休に関する理解が浸透していない
(6)業務の属人化やギリギリの人員など、体制に課題がある
(7)育休対応について、社内でノウハウ共有されていない
(8)育休は特別という意識がある(不公平感)
男性育休が当たり前の社会になりつつある中、対応が後手にまわると企業価値を下げ、エンゲージメントや採用活動にマイナス影響を与える可能性があります。上記のようなお困りごとを感じている企業の皆さまへ、男性育休を重要な人材戦略として推進していくためにどのような取り組みが有効か、テルモ株式会社の事例を交えながらご案内します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
テルモ株式会社のDE&I推進室長をお招きして、どのように男性育休を推進してきたか、リアルな声をお届けします。
法改正や社会の空気の変化に伴い、男性育休を推進しないという道はもはやありません。男性育休推進に積極的に取り組むことは、人事が抱えるさまざまな課題を解決していく重要な人材戦略にもなり得ると考えています。例えば、エンゲージメント向上、業務の見直しや属人化の廃止、自律型社員や次世代リーダー育成など。その結果、企業価値の向上、採用や定着率の向上、生産性向上などにつながります。
これらのメリットを享受するためには、職場の納得感を得ながら男性育休を取得できる風土をつくる必要があります。また、管理職、育休対象者、周囲の社員、事業部ごとに総務人事などがある場合はその担当者など、さまざまなステークホルダーへどうアプローチするか考える必要もあります。テルモ株式会社では、DE&I推進室が中心となり、一方通行の情報発信ではなく、リアルな対話を大切にしながら男性育休を取得しやすい風土づくりを進めてきました。結果、職種を問わず男性育休取得率が向上しています。
男性育休を企業の成長戦略につなげていくために、男性育休を安心して取得できる職場づくり、職場と本人の双方がメリットを享受できる育休支援について事例を交えながらお話しします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
男性育休が定着する中、取得率だけでなく、中長期の育休を取得しやすい職場づくり、育児と仕事を両立できる職場づくりが次の課題となっていきます。
男性育休を推進していく職場はエンゲージメント向上、採用活動への好影響、生産性向上など、さまざまな人事課題についてプラスに影響します。一方、取得しづらい職場は、従業員のモチベーション低下やハラスメントの発生、男性育休離職、採用活動への悪影響などが起こる可能性があります。
今後を見据えて。あなたの会社はどちらに向かっていきますか?企業の持続的な成長に向けて、重要な人材戦略として捉えていくことが大切です。
- 一之瀬 幸生氏(いちのせ さちお)
- セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
- 長時間労働を前提にした働き方に疑問を持ち、ワーク・ライフバランスを普及するため2013年セントワークス入社。残業削減と生産性向上を進める組織作りや両立支援に向けて、企業、自治体等で研修やコンサルティングを行っている。育休2回取得。株式会社ワーク・ライフバランス認定上級コンサルタント。

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