講演者インタビュー
令和の新人育成で育むべき2つのオーナーシップ
~キャリア調査・事例から紐解く新人研修の見直しポイント~

Original Point株式会社 代表取締役/産学キャリア研究所 客員研究員
高橋 政成氏
多くの新人研修では、主体性を育むマインドセットやスキルセットが重視されていますが、就社意識が薄れる昨今、中長期の定着・活躍を見据えると、キャリア自律を扱うことも重要です。しかし、配属先を自分で選べない新卒が多い現状では、かえって配属後のギャップを助長しかねません。本講演では、弊社のキャリア開発の研究から、スキル開発とキャリア開発の2軸をどう新人研修に組み込むべきか、具体的な事例を交えて解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「早期離職」「主体性の欠如」「3~5年目のエース社員の退職」といった課題意識から、新卒社員の"人材開発・キャリア開発" や "エンゲージメントを高める施策"に悩まれている方にフィットする内容です。
昨今、一括採用という日本独自の文化の中で、転職へのハードルが下がり、就社意識が薄れている20代の方々の育成のハードルは年々、高まっています。
だからこそ、「キャリア」「エンゲージメント」「オンボーディング」というキーワードに注目が集まっているものと感じています。
とはいえ、複雑な人事課題に対して、流行の施策を取り入れれば解決する訳ではありません。本講演では、研究を基に構築した理論と実践をお伝えできればと考えています。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
新人育成・新人研修の設計においては、従来の組織社会化を目的とした、マインド・スキルセットに加えて、就社意識が薄い新卒社員の配属後の定着・活躍を見据えたキャリア自律も重要です。
配属選択権を持たない新卒社員が多い中、安易に扱うと配属ギャップにつながりかねません。新卒社員の主体性を高めていくためには「マインド・スキル開発」「キャリア開発」の両輪が噛み合うことが重要です。
当社ではこれまで中小〜大手企業向けに「リアリティギャップ調査」「ファーストキャリア意識調査」を実施してきました。「配属前にどのような情報を渡しておくべきなのか?」「配属後に、どのようなコミュニケーションが重要なのか?」。"調査・研究" と "これまでの実践事例" を基に、不本意な離職を防止し、定着・戦力化を促すヒントをお伝えできればと考えています。
昨今はAIというテーマも加わり、育成の複雑性が増しています。育成施策の価値が見直される中で「新人研修の設計」「新人研修期間におけるフォローの設計」「配属後の設計」を再定義する材料になれば幸いです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
Will-Can-Mustといったフレームに代表されるように、日本で広まっているキャリア理論は、ジョブ型の欧米から輸入された理論が多用されているのが現実です。
一括採用型の日本においてMust(求められること)は、配属前までわからない、配属後は組織主導で都度変化していくため、輸入されたこの理論が必ずしもフィットするとは限りません。
Original Pointでは、日本風土に合ったキャリア開発を提供するため、研究・調査や、中小〜大手企業での研修や制度設計に携わる中で、その最適解を模索しています。パートナーとして共に探究する関係を築けていければ幸いです。
- 高橋 政成氏(たかはし まさなり)
- Original Point株式会社 代表取締役/産学キャリア研究所 客員研究員
- 新卒で人事コンサルティング会社に入社。研修開発、コンサルティング営業として、100社以上の人材育成に携わる。その後、大学・採用・育成の領域から、新たな価値を創るためにOriginal Point(株)を設立。産学キャリア研究所では、新卒のキャリア観や日本型のキャリア開発の研究を推進している。

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