講演者インタビュー
本当の意味で若手社員の自律を促すには?
~キャリア自律とエンプロイアビリティ~
株式会社NEWONE HRパートナー
庄司 幸平氏
人材流動化の加速に伴い、自社に惹きつける施策としてキャリア支援が注目されています。しかし、キャリアは環境次第という受け身の意識も高まりつつあり、選ぶ自分という視点だけでなく、選ばれる自分という視点からキャリアを考えることが個人と組織の双方にとって重要になってきています。本講演では、この選ばれる自分という視点である「エンプロイアビリティ」を高めるキャリア支援について考えます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
“キャリア自律”という言葉が一般的に使われ始めて、しばらく経ちます。社会の変化、価値観の変化とともに「キャリア自律=ポジション論」ではなく、個の自己実現を求めるようになりました。企業もジョブ型に移行し、個が自ら専門性を高めるようになるといった「個の時代」に突入しつつあります。
一方で、企業側はキャリア自律という方針は示しつつも、具体的に何をすれば良いのかを明示することが難しい状況です。社員側も成長が「環境依存」になることが多く、安易に環境を変えることでキャリア自律しようという動きが生まれてしまっています。
「キャリア研修で考えても、現業とつなげられない」「手挙げ研修やe-learningを拡充しても、参加しない」「研修が離職を加速させているように感じる」などといった課題もある中で、本講演ではキャリア自律における自律型エンプロイアビリティという成長マインドと、研修設計のポイントをご紹介します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
講演の前半では、昨今の「キャリア自律」という言葉が使われはじめた背景や定義について考えます。キャリア自律に明確な定義はなく、組織視点で個人に自律を求める「キャリア自律」と個人視点で変化の激しい時代を生き抜く「キャリア自律」の二つの文脈から語られている現状をご説明します。そのうえで、「個の時代」と言われ、「人的資本の情報開示」が求められる現代において、企業が社員のキャリア開発を行う意味を、「エンゲージメント向上」と「キャリア自律」のつながりからご説明します。
後半は、「個の時代」と言われる中での能力開発の難しさを掘り下げて考えていきます。成長も個人の裁量にゆだねられるような状況は、自由度が高い一方で自律が難しく、意識の差や努力の方向性によって、社員間の能力差が開く一方であるというシビアな現実があります。
「安定した企業に入ったのに何となく不安だ」「周囲は転職しているけど、自分はしなくていいのか」「自分で成長しろというが、結局何をやればいいのか」といった若手の声にある通り、現在は「不満」ではなく「不安」が若手・中堅層を中心にまん延しています。そんな中で、人材開発の観点でキーとなる「環境に左右されることなく自律型でエンプロイアビリティを高める」ことについて掘り下げ、エンゲージメントを高めつつ成長加速させるプログラム設計のポイントを考えます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
人材流動化時代であり、組織と個人の関係性がより対等に、より多様に変わり続ける中、あらためて鍵となるのはエンゲージメントだとNEWONEは考えています。
エンゲージメントとキャリアの関係性は深く、また昨今は「キャリア自律」というテーマが多くの人事・人材開発担当の皆さまの注目を集めている中で、より今の時代に即したキャリア開発に向き合っていきたいと思っています。本テーマにご興味・ご関心のある皆さまは、どうぞ奮ってご参加ください。
- 庄司 幸平氏(しょうじ こうへい)
- 株式会社NEWONE HRパートナー
- 大学卒業後、大手国内メーカーに入社。主に人事制度の運用・改訂に従事。2016年、(株)シェイクに入社。コンサルタントとして、ソリューション企画・提案に携わる。2018年、(株)NEWONEに参画。大手企業から中小企業まで、人事・組織戦略コンサルティングに従事。キャリア系のセミナー、講演に数多く登壇。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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