講演者インタビュー
「働き方」の本当の変革を実現する人的資本経営と、今後の開示の必須事項
社労士・組織コンサルタント/コンサル事務所代表/情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
松井 勇策氏
人的資本の開示情報を見ると、一部の優れた取組がある一方で、リスキリングやジョブ型などの「よくあるワード」にとにかく言及するような傾向も見られます。働き方を本当に変革する人的資本経営のためには、まずは「働き方」の実態を検討するところが全ての解となります。あらゆる企業のお役に立てるような、人的資本経営1000社以上の分析と、チームスピリットの「ワークログ」の活用の事例とともに具体的にお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
2023年3月決算期より、人的資本の情報開示が義務化されました。独自性の高い優れた人的資本経営の取り組みや開示項目がある一方で、全体の傾向としてはリスキリングやジョブ型など、「いわゆる人的資本経営」の典型的なイメージが強すぎるのではないかと思います。
人的資本経営とは、各企業での経営戦略や状態に違いがあり、独自の人材戦略が必要だからこそ行われるものであるはずです。そして、グローバルな経済環境への対応と共に、現在待ったなしで進む国内の雇用課題と直結した「働き方」をどう変革するかをしっかりと見据えてこそ、今後の方向性が見えてくるものだと思います。
人的資本経営を本質論で捉えたい方、「働き方」を捉えて本当に変革したい企業の方にお聞きいただければと思います。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
人的資本経営の情報開示で、次のような記載がよく見られます。
・人財を大切にしています
・リスキリングを図り、研修体系を見直しました
・人事制度にジョブ型の要素を加えました
・女性管理職比率と育休取得率は〇%を目指します
・エンゲージメントスコアの向上を目指します
これらは、本当に「人的資本経営」なのでしょうか? これこそが「いわゆる人的資本経営」の問題です。また、次のような課題は多くの企業が持つ雇用課題ですが、人的資本経営の開示情報の中にほとんど見られません。しかしながら、2024年やそれ以降の人的資本経営の中心主題になってくると思われるものです。
・「働き方」を分析することでダイバーシティや育成課題の実態を捉えて対応していく、働き方改革」の次段階での継続的・質的な工夫
・社会的な人口減少への対応、高齢者の増大や退職への施策、AIによる働き方の質的変革
・建設業や運送業の2024年問題対応、サービス業やエッセンシャルワーカーの雇用の多様化、全産業におけるキャリアアップ課題への対応
人的資本経営の取り組みや開示と上記課題の解決を統合し、「働き方」の真の変革をもたらすには、どうしたらいいのでしょうか。「働き方」の実態を検討するところが全ての解となります。こうした具体的な方法論や人材戦略、そして考慮すべき開示の在り方を、チームスピリットの「ワークログ」の活用とともにお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
2023年の1,000社以上の人的資本開示情報の分析に基づいた、経営戦略とつながる「働き方」の変革をもたらす人材戦略についての実務的な講演です。
人的資本経営における「働き方」の真の変革や、定量的に取り組みづらいが最も重要な課題である、ダイバーシティや育成の実態を捉えた変革、働き方の多様化への対応、高齢者施策やキャリアアップ課題などへの対応と開示の方法論について、実務面を重視してお伝えしたいと思います。
開示義務がない企業でもすぐに使える、実務的なノウハウや工夫を多くお伝えできればと思います。
- 松井 勇策氏(まつい ゆうさく)
- 社労士・組織コンサルタント/コンサル事務所代表/情報経営イノベーション専門職大学 客員教授
- フォレストコンサルティング経営人事フォーラム代表、先進的な雇用のあり方、人的資本経営・IPOやM&A対応の整備等中心に、企業向けのコンサルや情報発信を多数行う。関連著書多数、日本テレビ「スッキリ」雇用コメンテーター出演経験、東京都社労士会 先進人事経営検討会議 議長、人的資本経営検定 総監修。
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