講演者インタビュー
「パラドキシカル・リーダーシップ」の最新理論と事例から考える
これからの経営とリーダー育成のあり方
京都大学経営管理大学院 客員准教授 / アルー株式会社 エグゼクティブコンサルタント
中村 俊介氏
今多くの企業で、既存事業と新規事業、短期業績と環境貢献といった一見相反する要素に対し、「どうしたら両立できるか」という問いを立てて同時追求する「パラドキシカル・リーダーシップ」の発揮が求められています。本講演では昨年100周年を迎え、変革を推進するリーダー育成に取り組む東急様の事例を通して、昨今経営学において注目を浴びる本理論の最新知見をいかにリーダー育成の実践に落とし込んでいくかを探求します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
次世代リーダーの育成を検討する際、「どんなリーダー要件を、どのような育成手法で盛り込めばいいのか」と頭を抱えている担当者は多いでしょう。将来の事業環境を予測することは極めて難しく、その時代におけるリーダー要件を正確に言い当てることも不可能に近いからです。そんな悩みを抱えている方にこそ、今回の講演を聞いていただきたいと考えています。
今回のテーマは「パラドキシカル・リーダーシップ」です。変化が激しく、さまざまな目的を同時に追求することが求められるこれからの時代においては、普遍的なリーダーのあり方だと考えているからです。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
今回ご紹介する「パラドキシカル・リーダーシップ」という概念は、「パラドックス研究」という、ここ10年で研究が本格化した経営学の潮流に根差した考え方です。
今回の講演は京都大学の関口教授による「パラドキシカル・リーダーシップ」の理論パートと、東急株式会社様の次世代リーダー育成の事例紹介パートの2部構成となっています。
理論パートでは、短期と中長期、統制と自律といった一見相反する要素を同時追求し、変化適応やイノベーションを実現する経営のあり方である「パラドキシカル・マネジメント」とはどんなモデルなのか、それを実現するためのポイントである「ABCDシステム」とは何かにご注目ください。
事例紹介パートでは、2022年に100周年を迎えた長寿企業であり、電車やバスといった安心・安全を第一とした都市のインフラを提供しながら、渋谷を中心に新たな文化の発信や新規事業も手掛ける東急株式会社の長田様をゲストにお迎えします。半年にわたる次世代リーダー育成プログラムがどのように実施されているのか、そこで「パラドキシカル・リーダーシップ」の考え方がどう活用されているのかについて、実際に同社の講師も務めている私が深掘りしていきます。
育成企画を担当される皆さまにとって、大きなヒントとなる情報をお伝えできると思います。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
パラドックス研究が本格化したのは近年のことですが、実はその理論的背景には東洋思想が深く関わっており、日本企業、日本のリーダーにはなじみやすい概念だと考えています。自社の「らしさ」を活かしながらグローバルに通用する経営を実現するための「パラドキシカル・リーダーシップ」について、皆さんと共有できることを楽しみにしております。
- 中村 俊介氏(なかむら しゅんすけ)
- 京都大学経営管理大学院 客員准教授 / アルー株式会社 エグゼクティブコンサルタント
- 東京大学文学部社会心理学専修課程卒。損害保険会社を経て、創業初期のアルー株式会社に入社。納品責任者、インド法人代表などを歴任し東証マザーズ(現グロース)上場に貢献。現在はリーダー育成に携わるほか、京都大学経営管理大学院の客員准教授を務める。『両立思考 「二者択一」の思考を手放し、多様な価値を実現するパラドキシカルリーダーシップ』監訳者。
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