第10回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす日本生産性本部のメンタル・ヘルス研究所は12月2日、「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を取りまとめました。本調査は、2002年から概ね隔年で実施しており、今回は2019年に続き10回目となります。今回の調査結果では、コロナ禍により働く場所や働き方が見直される中、企業の人事担当による従業員のメンタルヘルスの現状とコロナ禍による影響を把握すると同時に、生産性向上や職場活性化などストレスチェック制度のポジティブな活用についても確認しました。当本部では、メンタルヘルスは働く基盤であり、この実態を調査し結果を周知することで、各事業者がさらなる積極的な取り組みを進める一助としたいと考えています。なお、今回の調査は、7月15日から9月17日に郵送およびwebで実施し、上場企業144社の人事担当から回答を得ました。
主な結果は以下の通りです。
■「心の病」の年代別割合:30代が再び増加、前後の年代を10ポイント超上回り最多に。
前回調査(2019年)では10-20代が増加(30.6%)、30代(33.3%)、40代(29.6%)と世代間の差が見られない状況となった。今回は30代(39.9%)が再び増加し、10-20代(29.0%)、40代(27.5%)を10ポイント超上回り、前回に続き最も「心の病」の多い年代となった。
■最近3年間の「心の病」の増減は、「増加傾向」22.9%、「横ばい」59.7%、「減少傾向」11.1%。「増加傾向」は2019年調査で増加に転じたが再び減少、過去最低に。
「最近3年間における『心の病』」が「増加傾向」と回答した企業は22.9%と、減少傾向から増加に転じた前回調査(2019年)の32.0%から、従来の減少トレンドに戻り過去最低となった。増加傾向に歯止めがかかったからといって心の病が減ったわけではなく、「横ばい」が59.7%、「減少傾向」が11.1%と「減少傾向」は大きなトレンドとはなっていない。
■コロナ禍で従業員のメンタルヘルスが“悪化した”企業は約4割。悪化の要因は「コミュニケーションの変化」が約9割と大半に。
コロナ禍のメンタルヘルスへの影響は、“悪化した”(「悪くなった」(1.4%)「やや悪くなった」(39.9%)の計)企業が約4割となった。一方、“悪化していない”(「変化なし」(53.1%)「やや良くなった」(5.6%)「良くなった」(0%)の計)企業は約6割。“悪化した”企業の要因として、「コミュニケーションの変化」が約9割(86.2%)の企業で認識されている。併せて、「在宅勤務の増加」「職場の対人関係の変化」は、メンタルヘルスが悪化している/悪化していない両方の要因となっている。
■「健康経営」「ハラスメント」「場所に縛られない働き方改革」の取り組みで効果が上がっている企業は大幅増。「心の病」減少傾向の企業では「取り組みに効果」の割合が高い。
働き方・働く場の改善への企業の取り組みは、「健康経営に効果」(49.7%:2019年比+8.9ポイント)「ハラスメント対策に効果」(67.6%:同+12.5ポイント)「働き方改革に効果」(57.4%:同+39.1ポイント)と、大きな成果を上げている。特に「働き方改革」で効果が上がった企業の増加は顕著。また心の病が「減少傾向」とした企業では、同様に「健康経営に効果」(68.8%)「ハラスメント対策に効果」(75.0%)「働き方改革に効果」(75.0%)と取り組みに効果との回答割合が高い。
■ストレスチェック制度の実施目的:「法制義務化対応」とした企業が9割超と最多。一方、「生産性向上」「職場の活性化」とした企業も前回より10ポイント以上増加。
ストレスチェック制度の実施目的は、前回(2019年)と同様「法制義務化対応」(91.4%)との回答が最多であるが、「企業・組織の生産性向上のため」(43.2%:2019年比+11.8ポイント)「職場の活性化を図るため」(38.8%:同+11.4ポイント)とポジティブな活用との回答も増加。
◆本調査の詳細は、こちらをご覧ください。
(公益財団法人 日本生産性本部/12月2日発表・同法人プレスリリースより転載)
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