「自律型組織」は企業競争力につながるのか。企業ごとの自律の定義と人事の関わり方
守島 基博氏(学習院大学 経済学部 経営学科 教授 / 一橋大学 名誉教授)
伊藤 充彦氏(株式会社Schoo 法人事業企画部門第2ユニット ユニットマネージャー Head of B2B Alliance)
組織の目指すべき形として、「自律型組織」をイメージする人事パーソンは少なくないだろう。自律型組織とは、「それぞれの社員に裁量が与えられ、社員自らが主体的に行動できる組織形態」のことだ。
自律型組織を作っていくためには、何が必要なのか。そして、人事は何をすべきなのか。8月2日に開催された「HRカンファレンス2024-夏-」では、学習院大学教授の守島基博氏、オンライン学習サービスを提供する株式会社Schoo(以下、スクー)の伊藤充彦氏による問題提起・現状報告を受けて、日本を代表する企業の人事リーダーたちが「自律型組織」のテーマで語り合った。
- 守島 基博氏
- 学習院大学 経済学部 経営学科 教授 / 一橋大学 名誉教授
- 伊藤 充彦氏
- 株式会社Schoo 法人事業企画部門第2ユニット ユニットマネージャー Head of B2B Alliance
守島氏による問題提起1:組織をどうデザインし、作り込んでいくのか
冒頭で守島氏は、「自律型人材だけではなく自律型組織にフォーカスした場合、重要なのはどのような組織を目指し、どう作っていくかという視点だ」と語った。
「人事部は『新卒・中途の採用活動』や『採用した人材の育成・評価』には日夜取り組んでいます。では、組織デザインについてどのくらい考えているでしょうか。
組織作りはあくまでも戦略を実現するための手段です。階層型かトップダウン型か、ボトムアップやネットワーク型、あるいはまったく別の組織形態がよいのか。企業にとっては重要な意思決定です。だからこそ、人事は自律的組織をはじめとした各組織の形態について、ある程度の知識を持っていなければなりません」
自律型組織は一般的に「それぞれの社員に裁量が与えられ、社員自らが主体的に行動できる組織形態」と定義され、近年はティール組織などと言われることもある。守島氏はこのスタイルを「自律分散協働型」ともいい、「個が自律し、分散して働きながら、目標へ向けて協働でアウトプットをする形」と定義している。
自律型組織を目指すには、「現場で意思決定できる人材を確保していくこと」が大切であり、それが人事の業務となる。そのときに気を付けるべきは、その組織において求められている「自律」とは何なのか、「自律してほしい対象」が誰なのかを特定することだという。
「自律には複数の意味があります。よく言われる『キャリア自律』は複合的な概念であり、『仕事自律』と『学習自律』の2種類に分解できます。仕事自律は自ら目標を設定し、仕事のペースをコントロールして成果が出せる状態。学習自律は、自ら新しいことを学ぶための情報を獲得できる状態を指す言葉です。自律した人材をどう確保するのか考える際は、戦略的に自律を促したい部門・組織を割り出し、その組織が自律するために必要な人材とはどのような人なのか、またはどの職位の人なのかを考えなくてはなりません」
さらに守島氏は「余談である」と付け加えつつ、自律型組織内におけるマネジャーの役割にも言及した。
「階層型や命令型の組織であれば、マネジャーの主な業務は部下の監視でした。しかし自律型組織では一人ひとりが自ら意思決定を行える状態のため、監視は必要ありません。そうなったとき、マネジャーの役割をどう定義するのかを人事や経営が考えていかなければなりません」
そして、「これまで監視型で進めてきた組織運営から、本当に自律型に変えられますか」と再度、人事リーダーに問いかけた。
守島氏による問題提起2:自律型人材を確保するためには「人材育成」でいいのか
これまでトップダウン型や階層型の組織を作り、現場では監視型で業務を進めてきた企業が自律型の組織を目指す場合、変えなければならないことは数多くある。その中で守島氏は、人材育成に着目する。
「自律型組織の場合は、社員を個人単位で見なければなりません。日本はこれまで新卒一括採用を行い、入社3年目や6年目といった入社年次や昇進昇格での一斉研修を中心に人材を育成してきました。しかし、自律した人材を育てるには、一人ひとり異なる育成ニーズに応じたプランが必要です。
突き詰めると、個人が望む能力開発を自らが選択して学んでいくことになります。ゆくゆくはそれが、人材育成の主流になるでしょう。
人材マネジメントにおいて、最も変わらなければならないのは『人材育成』であり、今、最も改革が遅れているのも『人材育成』です。そもそも、人材育成という言葉自体が古くなっています。学びたい人をアシストし、その人に適した学ぶ環境を提供するのは『成長支援』であり、自律した人材を増やしていくうえでとても重要な考え方です」
自律型組織を構築するには自律した人材が不可欠だが、不安の声もしばしば耳にする。それは、「自律した人材から辞めてしまうのではないか」という懸念だ。「自律した人材は、企業の言うことを聞かなくなる」という声もある。だからこそ企業は、企業による成長支援を通じて、どういうキャリアを歩んでいくことが望まれるのか、そして何のための研修や学びなのかを丁寧に伝えていく必要があるだろう。
守島氏と伊藤氏によるパネルディスカッション
続いてスクーの伊藤氏が登壇し、守島氏とのパネルディスカッションが行われた。
伊藤氏:組織のあり方は企業によって千差万別ですが、組織を変えていくにあたって「変わりたいけれど変われない人」「変わりたくない人」など社員もさまざまです。どのような組織・集団でも「2・6・2の法則」があると言われていますし、いきなり「キャリア自律」「学習自律」「仕事自律」などと言われても何をすればいいかわからない人も多いでしょう。組織における「2・6・2の法則」の「6」の方々に対して、人事がとり得るアプローチにはどのようなものがあるのでしょうか。
守島氏:企業としてできることはいろいろありますが、一つは企業の方向性やパーパス、ビジョンなどをきちんと示すことです。そこがないと「何のために学んでいるのか」がわからなくなり、学ぶことが目的になってしまいます。研修機会や学習ツールを与えるだけではなく、そこで得た学びが企業の戦略実現にどうつながっていくのかを示す。そこがわかれば、「6」の層も動きやすいのではないでしょうか。
伊藤氏:スクーはオンラインで「学びの場」を提供していますが、「6」の人々もこうした場に来ることで、熱意がありよりビジョンの浸透度が高いと想定される「2」の人々から影響を受けて学び出すこともありそうですね。
私たちは、学びを個人のスキルアップだけでなく、キャリア開発やチーム力向上、エンゲージメント向上などにつなげ、自律型組織に近づくツールの一つにしたいと思っています。過去に飲み会や喫煙室など非公式な場で行われていた雑談を、「学びの場(真面目な雑談)」で補うイメージです。
ただ学ぶのではなく、学びの場において生まれた横や斜めのつながりを生かして、組織力を上げていきます。学んだ内容を雑談のようにして「うちの部署だったらこんな風に応用できる」「以前にこんなことをやった」などと社員同士で共有することで、自身の経験や知識が他の社員に波及していく。共有された知識や経験は集合知性となり、大きなチーム力を生み出します。そういう仕組みが、スクーの考える学びの場です。
守島氏:「学び」というと学校の授業などを思い浮かべるかもしれませんが、組織で対話を生みだす学びには少し異なる側面があります。対話から学ぶということは、その場にいる全員が教師になり、同時に全員が生徒になることを意味します。そして、他者の経験に学ぶことは、社内の人が持つ知識を移転し融合させていく行為に他なりません。
また、人事担当者にとって、「ここの部署や階層は自律して学んでほしい」というところが必ずあるはずです。企業全体を自律させようとするのではなく、優先順位を踏まえてフォーカスする部分を見極めていくことも、人事の重要な役割だと思います。
参加者との質疑応答
次に、参加者との質疑応答が行われた。
SCSK 河辺氏:自律型組織を構成する「自律した個」が多くいることが、どう企業の成果につながっていくのでしょうか。そこをつなぐことが組織マネジメントなのでしょうか。
守島氏:「自律した個が数多くいる状態」と「組織として自律している状態」は少し異なります。自律した人が大勢いる場合も、組織として自律している状態を目指すなら、社員に対して企業の方向性や戦略、個々の役割を提示してあげなければなりません。自社が何を目指しているのか、自社でどのようなキャリアを実現できるのかについて対話し、「自律した個」が考えたり学んだりする内容を、組織の成長したい方向性とシンクロさせていくことが重要です。自律人材は自分で考えて意思決定ができるので、企業との関係性や役割が曖昧なままだと外に目が向き、転職につながる可能性もあります。
大日本印刷 佐々木氏:日本ではキャリア自律が叫ばれていますが、守島先生からご覧になった日本の組織開発の進展度をお聞かせください。
守島氏:これからの組織開発は、自律した人たちを自律したまま融合するものになっていきます。しかし、「そのために何をしなければならないか」という答えは欧米にはありません。なぜなら、欧米にはもともと自律している人が多く、自分と企業の関わりを自身で見つけられるからです。
日本ではこの点を、きちんと説明してあげることが大切です。例えば、ある企業では面談で上司と部下がキャリアについてとても丁寧に話し合っています。日本では自身のキャリア像を強く持っていない人が多く、継続した対話を通してわかってもらわなければなりません。
日本M&Aセンター 有賀氏:今、私たちは経営あるいは会社目線で若い人たちの自律を語っていますが、逆かもしれないと感じました。我が社に来る若手は非常に自立度が高くて「3年でこのスキルを身に付けたい」「5年後に独立したい」など、明確なビジョンを持ってキャリアを歩んでいます。自らのキャリアが見えていないのは、若手社員の上司にあたるミドル層、シニア層なのかもしれません。
守島氏:私も今の学生を見ていて、同様に感じています。一方で、キャリア自律を「いまより良い会社があったら転職していくこと」だと考えている若者も多く、そこは心配ですね。キャリア自律とは何か。人事、ミドル層、シニア層も、それぞれ考える時期に差しかかっているのかもしれません。
IHI 岡田氏:キャリア自律が「バズワード」になってしまっていると感じています。会社の経営戦略や人事戦略には高確率で入っている言葉ですが、「何のためにキャリア自律をするのか」「自社が求めるキャリア自律がどういうものか」を定義している企業は少ないのではないでしょうか。そこがないと、若手だけでなくシニア層も「隣の芝生が青く見える」のではないかと思います。当社でもキャリア自律という言葉が一人歩きしているところがあり、あらためて社員と対話を続けなければと感じました。
守島氏:今、キャリア自律という言葉の誤解は大きくなっています。今、日本の学校教育で行っているキャリア教育は、キャリア目標を考え、そこに基づいて学ばせようとするものです。しかし、これが日本人には難しい。「この会社は本当に自分のキャリア目標に合っているのか」と迷ってしまうのです。
日本におけるキャリア教育の基本は、「キャリアを作る力を持たせてあげること」だと思います。それは、企業が求めるキャリアや技術を伝えることにも通じます。
グループディスカッション1:自社にとっての自律型組織とは
一つ目のディスカッションでは自己紹介を兼ねて、自社にとっての目指すべき自律型組織のあり方について情報交換が行われた。
Aグループ
- 株式会社IHI 岡田 浩治氏
- 株式会社アイシン 大澤 昭彦氏
- CCCMKホールディングス株式会社 山本 真澄氏
- 株式会社三井住友銀行 川田 將人氏
Bグループ
- 大日本印刷株式会社 佐々木 新志氏
- SCSK株式会社 河辺 恵理氏
- 株式会社日清製粉グループ本社 村田 充宏氏
- 株式会社ベイシア 笠木 智映子氏
Cグループ
- 株式会社学研ホールディングス 小林 徹氏
- 株式会社Finatextホールディングス 岩本 恵子氏
- エム・シー・ヘルスケアホールディングス株式会社 末富 盛司氏
Dグループ
- 株式会社日本M&Aセンター 有賀 誠氏
- 株式会社NTTデータフロンティア 遠座 理人氏
- ヤマシンフィルタ株式会社 三藤 達哉氏
Aグループ
Aグループでは、「何のために自律するのか」の観点で意見交換がスタート。「トップダウンでは現代の変化に対応しきれないことから現場の社員が自律的に動く必要がある」といった意見や、「従来のキャリア自律では個人に特化し過ぎて企業の価値向上につながっていない」といった課題も示された。
また、部課長を人事が決めるのではなく現場の意見を吸い上げる企業もあるという話題から、「人事主導で行った施策から果たして社員主導の変化が起きるのか」といった疑問なども飛び出した。
Bグループ
Bグループでは、すでに自律型組織に向けてさまざまな施策を打っている企業が多く集まった。アクションを実行する中で生まれた課題が中心となって話が進んだ。
事業内容や企業風土から、自律型組織とは遠い環境にあるとする企業もあったが、「違和感を抱く若手が増えていく中で自社の環境を変えていきたい」という声が出るなど、それぞれの現状を語り合った。
Cグループ
Cグループにはグループ経営をする持ち株会社が集結したが、事業会社には人事部がなくホールディングスが主導するケース、人事制度が事業ごとに異なり統一性がないケースなど、環境は大きく異なっていた。
課題はおおむね共通しており、「どのように自律を促すか」という話題が出た。現時点で、階層のないティール型組織を実現している企業もあったが、将来的に維持できるのかという悩みも提示された。
Dグループ
Dグループには風土、文化、事業環境が異なる企業の人事リーダーが同席した。一つはすでに自律型の人材が集まり、自律型組織と言える企業。一つはオーナー企業であるため完全なトップダウン型の企業。もう一つは事業の特性で確実性が優先されてイノベーションなどが生まれにくいという企業だった。
「さまざまな業界のケーススタディを知りたい」という参加者に対し、オーナー企業ながらも一部の組織の改革に着手している事例が紹介され、自社であればどのような打ち手があるかなどをアドバイスし合う様子が見られた。
グループディスカッション2:自律のターゲットはどこか、そしてHRの役割は何か
二つ目のディスカッションでは、これまでに提示された自律型組織を作っていく上で必要なことを踏まえ、「自社に置き換えた場合」について議論が行われた。
Aグループ
Aグループでは、自律にはマネジメント自律とキャリア自律があり、会社視点の自律だけでは社員個人に響かないことから、双方のバランスを見て融合させていくことも人事の役割であるといった意見が出た。そして、そのためには人事が「自律が必要な理由」を明確なメッセージとして発信する必要性がある、といった指摘もあった。一方で、その中間点となるマネジャーの重要性などについても言及がなされていた。
三井住友銀行 川田氏:社員個人の学びやキャリアの自律は、個々に対してビジネス価値への道筋をつけていくことであり、特に幹部層、役員層にはより一層の意識を持ってもらいたいといった意見が出ました。
ターゲット自体は「全社員」で一致しました。当社の事例ですが、ジェネラリスト型からプロフェッショナル型のキャリアへとニーズが変わってきていることから、人事制度の改革を検討しており、全社員がプロとしてどのような価値提供をする人材になりたいか、深い考察を促す必要があると感じています。人事のすべきことは非常に多いのですが、逆説的に考えれば「人事の役割が小さくなったときは自律的な組織になっている」と言えそうです。
Bグループ
Bグループでは、難易度は高いが「全社員」の自律を目指すべきだという共通認識が醸成された。そのうえで、まず労力を注ぐターゲットとしてミドル層とシニア層が挙がり、実際の施策なども紹介された。
また、経営層の自律も議題に上った。途中からは守島氏も参加し、あらためて「自律型組織とは仕事自律した人が多い組織であるが、日本企業は組織マネジメントが不得手な企業が多い」といった点が指摘された。
日清製粉グループ本社 村田氏:個人的に思うターゲットは「全社員」です。しかし、全員に一気に自律してもらうのは現実的ではなく、最初にどの部門やどこの誰から始めるのかについて話し合いました。Bグループには古くからある企業が多く、「自律しなくとも職位が上がってきたミドル層、シニア層に変わってほしい」という意見があり、それに対して副業の推奨や転職時の支援金といった具体的な施策の紹介などがあったりました。
人事部の役割については、経営層に対して今の世の中の変化を伝え、問題を指摘したり意識変革を求めたりすることが役割の一つではないかと意見がまとまりました。
Cグループ
Cグループは、ホールディングスならではの課題として「経営者が複数いる点」がポイントとなった。ターゲットは「グループ各企業のトップ(経営層)」に加え、次世代の「経営幹部候補者」、「全社員」と3階層に分けての議論となった。
人事部の役割としては、経営と現場の声を橋渡しし、目的を伝えて共感を得るような推進役であるべきだという声もあった。
エム・シー・ヘルスケアホールディングス 末富氏:最たるターゲットは「経営層」です。子会社を含めた経営者層の自律を促す施策として、定期的な異動(別会社トップへの就任)などの案が挙がりました。
また、人材や組織に関してグループ会社の経営層は「自社の個別最適」を最優先にしがちなことから、「グループ視点でグループ経営の意義ミッション、パーパスを語る場を設けたり、プロジェクトを与えたりして、学びを実践してもらう必要があるのではないか」といった議論になりました。特に、自律的な人材や組織に対して後ろ向きな経営層にどのような説得を重ねていくべきかという話も出ました。
Dグループ
それぞれ異なる組織風土、業界事情を持つ企業が集まったDグループでは最初に、自律的な個を育てるステージ、一つの方向性を共有していくステージなど、企業によってステージが異なる点が指摘された。自社のステージを語る参加者に対して、共感とともに質問や具体的なアドバイスなどが提示され、自律型組織を実現していくにあたり人事が主導しなければならない場面や、実績を積んで経営層に働きかけていく必要性なども挙げられた。
NTTデータフロンティア 遠座氏:個々の社員の自律を促すのか、自律した社員のいる組織を会社の方向性に合わせた運営へと促すのかは、企業のステージによって異なることが前提にあります。そのうえで、どのターゲットを自律的な人材へと育成するのか、また、自律的な社員をどのように会社組織として導くのかについて意見を交わしました。
企業によって育成のハードルもターゲットも大きく異なるものの、ミドル層に関しては課題解決の「How」ではなく、課題発見の「What」へと視点を変えていく必要があり、そこを意識した打ち手を人事として考えていくことはできるだろうという意見が出ました。
全体総括
グループディスカッションの発表を受け、守島氏は「さまざまなタイプの企業で自律が求められていることを感じた」と述べつつ、あらためて組織の自律と個人の自律はイコールではないと伝えた。
守島氏:個人の学習自律と同じような組織の学習自律はあり得るかもしれませんが、その企業が求めるのは学習自律ができている組織でしょうか。それとも、自分の判断でクライアントを訪問し意思決定してくるような自律型組織でしょうか。
個人にも組織にも、多様な自律が存在します。皆さんが自律を求めるとき、その自律が本当に企業競争力につながるのかを考えてほしい。どのような自律を求めるのかがハッキリしていないと、周りの勝手なイメージや声の大きい人の意見などによって現場は混乱してしまいます。企業競争力につながる自律はどういったもので、誰に対して、どういう組織にしたいのか。人事としてどこに関わるのか。「企業に必要な自律はこれです」と言えれば、戦略的な人事にもつながっていくでしょう。
伊藤氏:組織として自律することは、変化の中でも存在し続けられる企業であることだと理解しています。組織の改革はそのための手段の一つでしかありません。自律の定義は会社によって異なり、あるいは部門・部署によっても異なります。企業が求めるレベルも異なり、マネジャーやメンバー、非正規社員でも定義は変わります。「言葉の意味」や「主語は誰なのか」といったことを、対話しながら明確化していくことが大切です。同時に、対話しやすい企業風土や環境を築くことも大切にして行く必要があると思います。
「自律型組織」についてさらに学ぶ
個々が活躍する「自律型組織」だからこそ、組織としての一体感が強く求められる
本セッションのまとめ
守島氏による問題提起 |
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伊藤氏と守島氏のパネルディスカッション |
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ディスカッション |
自社にとっての自律型組織とは
自律のターゲットはどこか。そしてHRの役割は何か
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当日知見をご共有くださった皆さま
※所属や役職は「HRカンファレンス2024-夏-」開催時のものです。
有識者・プロフェッショナル
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守島 基博氏
学習院大学 経済学部 経営学科 教授 / 一橋大学 名誉教授 -
伊藤 充彦氏
株式会社Schoo 法人事業企画部門第2ユニット ユニットマネージャー Head of B2B Alliance
大手・優良企業の人事リーダー (社名50音順)
- 岡田 浩治氏
株式会社IHI 人事部 人財開発グループ 部長 - 大澤 昭彦氏
株式会社アイシン グループ人事本部 人材組織開発部 部長 - 河辺 恵理氏
SCSK株式会社 執行役員 人事分掌役員補佐(DEIB・Well-Being推進担当) - 遠座 理人氏
株式会社NTTデータフロンティア 人事総務本部 人事総務部 人事担当 (兼)総務担当 担当部長 - 末富 盛司氏
エム・シー・ヘルスケアホールディングス株式会社 執行役員 人事部長 - 小林 徹氏
株式会社学研ホールディングス 上席執行役員 人事戦略室長 - 山本 真澄氏
CCCMKホールディングス株式会社 経営企画・人事本部 人事部 部長 - 佐々木 新志氏
大日本印刷株式会社 人事本部 労務部 部長 - 村田 充宏氏
株式会社日清製粉グループ本社 人事・労務本部 人事部 部長 - 有賀 誠氏
株式会社日本M&Aセンター 取締役 常務執行役員 人材本部長 - 岩本 恵子氏
株式会社Finatextホールディングス CHRO - 笠木 智映子氏
株式会社ベイシア 人事・管理事業部 人事企画部 部長 - 川田 將人氏
株式会社三井住友銀行 人事部 副部長 - 三藤 達哉氏
ヤマシンフィルタ株式会社 管理本部 総務部 部長
Schoo for Businessは、8,500本以上の授業を提供する法人向けオンライン学習サービスです。普遍的なビジネススキルからDX・AIまで幅広く網羅し、人材開発・組織開発・キャリア開発などを目的に、スタートアップ・中小企業から大企業まで累計4,000社以上にご導入いただいております。