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特別講演[1]

「モチベーションUPとメンタルヘルス対策を一気に解決する方法」

真田 茂人氏
株式会社レアリゼ 代表取締役社長
真田 茂人氏(さなだ しげと)
プロフィール:早稲田大学卒業後、(株)リクルート、外資系金融機関、教育研修会社設立を経て、(株)レアリゼ設立。選択理論心理学やシステム思考をベースにした人材開発・組織開発のコンサルティングを展開。個人の意識変革を起点にした組織開発を得意とする。人を成長させ、社会に貢献しながら健全に発展する「健康で強い組織づくり」を支援している。

モチベーションを高める「基本的欲求」

真田 茂人氏 Photo私は、心理学を使って企業が社員をやる気にさせたり、メンタルヘルスの問題を解決したりするお手伝いをしています。本日は、少し欲張りなタイトルですが、「モチベーションUPとメンタルヘルス対策を一気に解決する方法」というテーマでお話します。

仕事において、例えば「良い仲間に恵まれている」「認められて嬉しい」という状況になったら、おそらく多くの方はモチベーションが上がると感じるでしょう。逆に、「うまくいかない」「誰も気にかけてくれない、寂しい」という状況が続いたとしたら、ウツなど、メンタルヘルス上の問題が生じることもあるでしょう。

図:基本的欲求実は、この2つの状態には共通点があります。選択理論心理学によると、それは全ての人にある「基本的欲求」という、人が生きていくために必要な「欲しくなる」機能です。例えば、人はお腹が空くと食べ物を「欲しく」なりますが、心理的にも同じ仕組みがあるのです。

人のモチベーションは、これらの基本的欲求が満たされた時に高まり、逆に阻害された時に下がります。実は、モチベーションの仕組みというのは非常にシンプルなのです。

例えば、人には「物事を自分で決定したい」という自由の欲求があります。だから「こんな風にやれ」と命令された場合、たとえその内容が正しくても、押し付けられたこと自体が面白くないので、反発したり、自分の方法でやりたがります。人にはこうした欲求があるからマネジメントが難しいのです。

部下のためを思って指導しても、部下が素直に動いてくれない時、皆さんは「人は理屈通りには動かない」と思うでしょう。しかし、私は逆に「人は本当に理屈通りに動いている」と思います。確かに人は「合理的な理屈」では動きませんが、「欲求充足という理屈」で動くのです。言われた通りにやらないのは、「それが間違いだ」と思っている訳ではなく、それをしても自分の欲求を満たせない、または押し付けられたことが嫌だと感じ、自分の欲求充足を守ろうとする防衛反応なのです。モチベーションの問題を本当に解決するには、「欲求」という視点が不可欠です。

現在のメンタルヘルス対策の問題点

人はいつでもどこでも欲求を満たしたいのです。だから、職場で欲求充足できるイメージが持てれば、誰でも自然と一生懸命仕事に取り組むようになります。それができないのは、今の仕事、立場、職場では、欲求をどのように満たせるのか、イメージが描けていないからです。

ある企業の例を紹介しましょう。その企業では、50代になった社員は、早期退職・再雇用で子会社に転籍させられ、給料は約30%ダウン。人によっては未経験の仕事に配置転換されます。当然、モチベーションは大幅に下がります。しかし彼らは、一定のトレーニングを受けた後、別人のように積極的に仕事に取り組むようになりました。彼らの上司に行った調査によると、87%の人の行動が明らかに大きく変化しました。環境に関わらず、仕事を通じて欲求を満たす方法は幾通りもあり、その方法がイメージできるようになれば、誰だって一生懸命仕事に取り組めるのです。物事に対する「考え方」や、「行動」パターンを変える方法を学ぶことで欲求充足は可能になります。

真田 茂人氏 Photoところで、欲求充足には難しい問題があります。人は欲求を「健全」に満たせないと、何としても満たそうとし、「不健全」に満たしてしまいます。例えば、普段なら決して飲まない水溜りの水であっても、山で遭難して飲み水が手に入らない状況であれば、喜んで飲むでしょう。こうして「不健全な満たし方」を選択してしまうことはよくあります。

職場では「良い仕事をして評価される」ことが最も健全な満たし方です。しかし、なかなか実績が上がらず、評価されない状態が続けば、当然欲求は満たせません。何としても満たそうとして、「自分より立場の弱い人に高圧的に振舞う」「上司に反抗する」「仕事での欲求充足をあきらめて仕事は適当にして、プライベートで満たそうとする」といった「不健全な満たし方」を選択してしまうのです。

また、欲求が健全に満たせない状況がより深刻になると、うつなどのメンタル不全が起きます。メンタルヘルス対策とは、健全な欲求充足が全くできていない状態から、ある程度満たされる状態にまで移行していくことなのです。そこからさらに満たされる状態にまで移行するとモチベーションが高まります。つまり、メンタルヘルス対策もモチベーション対策も、その根っこは同じなのです。

現在のメンタルヘルス対策は、症状が出てから薬で対処する医療的なアプローチが中心です。これでは症状を麻痺させることはできても、メンタル不全を減らすことはできません。多くの場合、問題の根っこは職場で健全に欲求が満たされていないことにあり、それを解決しなければなりません。基本的欲求を健全に満たせる職場をつくることが、メンタルヘルス対策とモチベーションUPに繋がります。

自分の行動を選ぶのは自分自身

ある企業のIT部門の事例を紹介します。人材育成・強化の一環で、モチベーションを高めるための「自分で基本的欲求を健全に満たす方法」「リーダーが部下の欲求を満たすための方法」を学び、さらにそのフレームワークを使って実務課題を解決するアクションラーニングを行いました。この結果、モチベーションとメンタルヘルスの問題が同時に解決しました。

一例を挙げると、部下8人のうち3人がうつ症状というマネージャーです。部下は一様にやる気が低く、受身の姿勢でした。その方は、部下に結果ばかりを求め、彼らの努力を認めたり、気持ちや考えを聴いたりせず、部下の欲求に配慮しない「ボスマネジメント」を行っていたのです。そこで、部下の話をしっかり聴いて支援するなど、部下の欲求に配慮する「リードマネジメント」を実践したところ、3ヶ月も経たないうちに、部下の仕事ぶりが大きく変わり、自ら考え積極的に行動するようになったのです。うつ症状の人たちまでが、すっかり症状が回復し、中にはチームの大黒柱となって大活躍する人も出てきました。

図:外的コントロール⇔内的コントロール世の中には、変えられるものと変えられないものがあります。他人や環境は直接変えることはできません。しかし、自分の「考え方」や「行為」は変えることができます。自分の行動は全て自分自身が選んでいて、落ち込んでいる時は、自分が「落ち込むこと」を選択しているのです。それが理解できれば、違う選択もできるようになります。

「上司が悪い。会社が悪い」と言っていても何も解決しません。それが事実であっても、自分がとる行動は自分で選べるのです。状況を変えるには、まず自分が変わることです。それによって周囲への良い影響を与えることが、解決への唯一の道です。そして自分の行動を変えれば、どんな状況であっても、欲求を満たすことはできます。このことをマネジメントする側もされる側も学び、実践していくことで、「モチベーションUPとメンタルヘルス対策」を一気に解決することができるのです。

株式会社レアリゼロゴ

株式会社レアリゼ

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