講演者インタビュー
異なる働き方・仕事観の社員が協力しあうには
~ダイバーシティを活かす職場文化~
株式会社エンパブリック 代表取締役 ソーシャル・プロジェクト・プロデューサー
広石 拓司氏
希望する働き方、仕事で大切にしたいこと、仕事とプライベートのバランスなど、仕事観は多様化しています。しかし、多くの職場では依然として「同じ」であることが重宝され、「違う」存在は扱いづらいと考えられがちです。女性活躍や働き方の多様化を進めるために、多様な働き方・仕事観の社員が協力し助け合える、ダイバーシティを活かす職場文化を根付かせるにはどうしたらいいか。コミュニティ構築のプロの視点から解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
企業経営と人事部にとって「ダイバーシティ」は必須のテーマです。
しかし、ダイバーシティ施策を充実させ、意識啓発や研修、1on1などを推進しても、職場が従来の均質的な組織文化のままでは、異なる背景や価値観を持つ従業員間のコミュニケーションは難しくなり、実質的な成果につながらない「見せかけ」の取り組みに終始してしまいます。
私たちは育休後支援に協力する中で、人事が仕事と子育ての両立を熱心に推進しても「子持ち様」といった陰口や「女性は子ども優先で」という上司の一言により、「制度はあるが働きづらいまま」「キャリアアップを目指すのはごく一部の意欲的な人のみ」になっている状況を多数見てきました。
女性活躍や多様な働き方、多様な人材の活用で成果を生み出し、従業員エンゲージメントを高めたいが、現場への浸透が難しいと感じている方に聞いていただけたらと思います。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
「同じ」から生まれる一体感を強みとする均質型の組織文化を、「違い」から生まれる価値を力とするダイバーシティ型の組織文化に転換するには、「違いに配慮する」という表面的な対応だけでなく、個々の行動の根幹にある「価値観」の違いを理解し合う関係づくりが必要です。
特に現代ではライフスタイルが多様化し、プレイベートを大切にする傾向や社外活動・副業への関心が高まるなど、仕事観も多様化しています。しかし、コロナ禍以降、テレワークの増加や飲み会の減少などにより、職場以外でお互いのことを知り合うコミュニケーションの機会が減っています。
仕事観の多様化が進みながらコミュニケーション機会が減る中で、相互理解をどのように深め、ダイバーシティ型の組織文化を醸成するかについて、三つのポイントをお話しします。
① ダイバーシティが根付く職場をつくるためには、どのような仕事観を相互理解することが大切なのか
②仕事観の共有に向けて、一人ひとりが自分の仕事観を認識し、言語化するためのセルフコーチングをどう進めればいいのか
③違いを認め合うコミュニケーションを活性化し、職場を心理的安全性のあるダイバーシティ・コミュニティーとしていくには何が大切で、どう進めればいいか
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
エンパブリックではさまざまな社会課題の現場で、多様な人が協働して課題解決に取り組むコミュニティーづくりを専門に取り組んできました。
そこで難しいのは、前提が違う人の間で関係を構築することです。
しかし、さらに難しいのは、同じ組織など「相手も自分と同じはず」と思いがちな関係性を問い直すことです。
多様性とは、一人ひとりが違うということ。一人ひとりが自分に向き合い、近くの人に向き合うコミュニケーションができてこそ、「違いを組織の力にする」というダイバーシティの本質的な価値を生み出せます。
変化を生み、加速させる取り組みを、一緒に広げていきましょう!
- 広石 拓司氏(ひろいし たくじ)
- 株式会社エンパブリック 代表取締役 ソーシャル・プロジェクト・プロデューサー
- 2008年株式会社エンパブリックを創業。「思いのある誰もが動き出せ、新しい仕事を生み出せる社会」を目指し、地域・企業・行政など多様な主体の協働による社会課題解決型事業の企画・立ち上げ・担い手育成・実行支援に多数携わる。慶應義塾大学総合政策学部、立教大学大学院などの非常勤講師も務める。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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