講演者インタビュー
ハラスメントを恐れる管理職を救え!
部下との関係性構築のための3つの視点
ピースマインド株式会社 EAPコンサルタント/公認心理師/臨床心理士
武田 英彦氏
職場のハラスメント対策が強化される中、管理職が部下社員とのコミュニケーションに回避的になっている状況があります。本講演はハラスメントのNGに焦点を当てるのではなく、適切に部下を育成するために必要な信頼関係の構築に役立つ3つの視点「コントロール感」、「感情のマネジメント」、「相手の心情の理解」を解説します。そしてこれらを踏まえ、弊社に寄せられた相談事例を交えて職場で実践できるアプローチを紹介します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
パワハラ防止法の施行により、多くの企業が自社におけるハラスメント防止のための体制づくりを強化してきました。パワハラ窓口の設置など、ハラスメント事案に関して相談しやすい環境が作られた一方で、窓口には「ハラスメントに該当するのか?」と判断に迷う相談も多く寄せられています。
管理職は部下とのコミュニケーションの中で、常に「指導」か「ハラスメント」かに葛藤しています。ハラスメントを恐れるあまり部下に言いたいことも言えず、関わろうとしない回避的な行動をとる管理職も少なくありません。
本講演は、そうした管理職や人事担当者に対し、「ハラスメント」文脈で考えない信頼関係構築のために必要な要素についてお話しいたします。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
多くの企業がハラスメント対策を行う中で、ハラスメントに対する従業員の意識は高まっています。一方で「どこまでが指導で、どこからがハラスメントなのか」といった、ハラスメントをめぐる「境界」が議論されるようになり、「ハラスメントのグレーゾーン」という言葉を耳にする機会が増えました。企業でハラスメント調査が行われても、ハラスメントと認定されない事案も多いと聞きます。
しかしそれは企業にとって「セーフ」と言えるでしょうか? ハラスメント認定されなかった事案の訴えた側と訴えられた側は、同じ職場で問題なく仕事ができるでしょうか? 重要な点は「ハラスメント認定されなければ良い」のではなく、「ハラスメント事案になること自体問題」だということです。
今回の講演は、ハラスメント問題が起きない信頼関係の構築に焦点を当てた内容です。信頼関係構築につながる「3つの視点」、(1)コントロール感、(2)感情のマネジメント、(3)相手の心情を汲み取るという点について解説します。これらはいずれも、「こうしなければならない」という断定的な方法論を語るものではなく、「こうするとより良くなる」というポジティブなメッセージに基づくものです。この「3つの視点」は部下との信頼構築に役立つだけではなく、管理職にかかる余計なストレスを軽減し、組織全体の生産性向上に寄与するものです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
多くの人事担当の皆さまから、「ハラスメントNGという意識は多くの社員が持っている。しかし、社員同士の関係性が良くなったという実感がない」という声を聞きます。上司は常に自身の言動がハラスメントではないかどうかに気を配り、部下は上司の指導に対し、それがハラスメントに当たらないかを考える。このコミュニケーションスタイルは健全と言えるでしょうか?
ハラスメント自体は忌むべき行為で、あってはなりません。その上で、「ハラスメント」という言葉に縛られ過ぎず、職場のコミュニケーションの原則である「信頼関係の構築」の重要性について認識し、職場で実践できるアプローチを紹介します。ぜひご参加ください。
- 武田 英彦氏(たけだ ひでひこ)
- ピースマインド株式会社 EAPコンサルタント/公認心理師/臨床心理士
- 国立精神・神経医療研究センターでの臨床検査、東京都知事部局において、職員のメンタルヘルスケアに従事。その後、ピースマインド株式会社に入社。現在、EAPコンサルタントとして社員と企業向けのコンサルティング業務を担当。
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