講演者インタビュー
組織を変える上司の働き。1ON1、その限界と可能性の中心。
-大規模データが教える1ON1の姿-
株式会社Consulente HYAKUNEN/株式会社Maxwell's HOIKORO CEO
前山 匡右氏
1ON1は、部下の成長やキャリア意識の向上、円滑な組織運営などに効果があるとされ、導入が進んでいます。しかし、本当に私たちが思うほど、効果がある施策なのでしょうか。組織がその役割を果たし、そこで挑戦が生まれるには、上司にはどんな働きが求められるのか。その中で、1ON1にはどのような意味があるのか。大規模独自データに基づき、1ON1の効果の有無、そこにある可能性と限界について解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
1on1は、部下の成長やキャリア意識の向上、円滑な組織運営に効果があるとされています。VUCA時代に一人ひとりの個性や主体性を生かすうえで、上司と部下のコミュニケーションの重要性が高まっていると感じられていることから、多くの企業で導入が進んでいます。一方で、マネジメント上の問題があれば、「とりあえず1on1」と言ったように、組織におけるさまざまな問題を1on1で解決・解消できると思われているきらいもあります。それは、ある意味で「コミュニケーションがあれば組織の問題は解決する」と言っているに過ぎません。
本講演では、1on1に本当に効果があるのか、という大きなテーマに大規模独自データの解析から接近します。組織が求められる役割を果たし、挑戦が生まれるには、上司にはどんな働きが求められるのか。その中で1on1にはどのような意味や効果、そして限界があるのか。かなり貴重な講演内容となっています。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
上司と部下がフラットな対話を行う1on1は、上司と部下のコミュニケーションの質や量を高めることで、部下の成長やキャリア意識の向上、円滑な組織運営を実現しようとする施策です。変化の激しい時代に一人ひとりの個性や主体性を引き出すことの重要性は疑いありません。その意味で人事施策として1on1の導入が進むことは十分に理解できます。一方で、1on1は、上司・部下の双方にとって、非常にコストや負担のかかる施策です。よって、実施するのであれば「経営に効果があるのか」という観点が欠かせません。マネジメント上の問題があるから「なんとなく1on1を導入する」というのでは、現場への負担が増すだけで、逆効果です。
まずは、組織が求められる役割を果たし、挑戦が生まれるには、上司にはどんな働きが求められるのかを整理し、その働きの中で1on1がどのような効果を持ちうるのか、を解明する必要があります。例えば、心理的安全性を高めるために1on1を導入するというケースも多く聞きますが、定量的に深く解析すると、この考えにもかなり注意が必要なことが分かりました。普通の1on1では、組織の心理的安全性の向上にはつながらないのです。
今、実際に1on1の効果の有無を明らかにし、1on1が実際の組織の中で果たしうる機能を解明した情報は皆無ではないかと思います。その意味で、今回の講演内容は非常に貴重なものとなっています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
当社は、企業変革を多数行ってきたコンサルタント、数学者や経営学者等が参画しているコンサルティングファームです。大小さまざまな企業・組織に変化を生み出す仕事をしています。また、「介入の科学」というテーマの下で、データサイエンス技術を用いたHRテクノロジー分野のスタートアップMaxwell's HOIKOROを経営し、TSUISEEというアプリケーションを運営しています。
皆さまには、自社の人材の現状と課題や、1on1施策に対する疑問、現場に向き合う際のスタンスなどを振り返りながらご参加いただき、現場支援の観点から効果的な1on1がどのようなものなのかを考えていただければと思います。
- 前山 匡右氏(まえやま きょうすけ)
- 株式会社Consulente HYAKUNEN/株式会社Maxwell's HOIKORO CEO
- 電機メーカー、シンクタンクを経て創業。様々な分野の知見とコンサルタント、経営者として培った実践知を統合し、大企業の全社変革、新規事業創造、経営トップの育成など、難度の高い分野のコンサルティングを数多く実施。HRテック分野のスタートアップ株式会社Maxwell's HOIKOROのCEOを務める。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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