講演者インタビュー
理念"浸透"の幻想 ~押し付け型から共鳴型に変えるには~
株式会社エイチ・ティー 代表取締役
照井 直哉氏
多くの企業が求心力となる理念の浸透に力を入れていますが、その施策が形骸化し、社員に響いていない企業も多いのではないでしょうか。個々の色を持つ社員を一律に会社の色に染めることは無理があります。本講演では、従来の理念浸透施策が形骸化している理由を明らかにし、社員が会社の理念を理解し、共鳴することで、今の会社で働く意義を明確にする「理念共鳴型」アプローチについて具体的にお話しします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
人的資本経営の重要性が増す中で、採用活動や従業員のリテンション、組織力強化の観点から理念の見直しや浸透に力を入れる企業が増えています。しかし、研修や評価との連動、朝礼での読み合わせ、社内報などの施策が形骸化し、社員に響かない現状に疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。以下のような声をよく耳にします。
「今のやり方で本当に良いのか、手応えがない」
「社員に伝えても響かない」
「理念がただのきれいごとと思われている」
「理念と業務を紐付けられず、モチベーションに繋がらない」
こうした疑問や悩みをお持ちの方に、本講演を通じて理念浸透施策を見直すきっかけを提供します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
理念浸透施策が形骸化するのは、「浸透」という言葉自体が一方的に押し付けるイメージを含んでいるためです。そもそも「浸透」という考え方で施策を行うと、社員に対する押し付け感が生じ、抵抗を招きやすくなります。人は自らの意思で変化することには開かれています が、外部からの強制には抵抗を感じるものです。異なるバックグラウンドや価値観、目標を持つ社員に対し、一律に会社の理念を押し付けるのではなく、社員の価値観や目標と会社の理念を共鳴させることが重要です。
社員の価値観や目標と会社の理念を共鳴させるためには、社員一人ひとりが自分の価値観と会社の理念の繋がりを考え、その中で果たすべき役割を理解することが大切です。このプロセスを通じて、社員は自らが会社の一員として果たすべき役割やその背景にある意味を理解し、自発的に行動する動機付けを得ることができます。こうした自主性が働くことで、エンゲージメントやモチベーションが高まり、組織全体の成果にも繋がります。
本講演では、「浸透」ではなく「共鳴」の観点から、社員一人ひとりが理念の持つ意味をそれぞれに解釈し、人生における「今いる会社」の位置づけを明確にするための具体的なアプローチ方法をお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
当社は「人生100年時代の働き方変革」を支援するために、組織のエンゲージメントを高める「クロスキャリア・マネジメント」メソッドをベースにした人事コンサルティングサービスを提供しています。また、自身のキャリアを見据え、今の会社で働く意義を明確にするプログラム「じぶん戦略」も実施しています。
エンゲージメント向上やキャリア自律促進に取り組む企業が増える中、多くの企業が苦戦しています。理念の重要性を再認識し、今回のテーマでお話させていただくこととなりました。自社の課題と照らし合わせ、解決へのヒントをお持ち帰りください。
- 照井 直哉氏(てるい なおや)
- 株式会社エイチ・ティー 代表取締役
- 事業会社で人事キャリアを積んだ後、外資コンサルファームで人事組織改革PJを多数手がけ、ベンチャー企業コンサルティング事業担当役員など、経営・人事領域で、実務とコンサルティング両面の経験を蓄積。その後、人と企業の働き方変革支援を目的としたエイチ・ティーを創設し現在に至る。
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