講演者インタビュー
人事担当者が取り組むべきメンタル不調予防
~日立システムズの事例から考えるこころのセーフティネット~
株式会社日立システムズ 健康経営推進プロジェクト
中川 英世氏
当社の健康経営ではメンタル不調の早期発見・早期対応に注力しています。PCやアプリを活用した「こころのセーフティネット」を構築し、従業員のメンタルケアの充実を図るだけでなく、組織の健康状態もタイムリーに把握するパルスサーベイとして職場環境改善に役立てています。当社が従業員の『こころ』のケアにどのように向き合っているか、試行錯誤して歩んできた失敗や成果について、元人事担当ならではの視点でお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「メンタル不調者を減らしたい」と、従業員のメンタルケアを課題と感じている企業は多いのではないでしょうか。当社では、メンタル不調者の急増が経営課題の一つとなり、2021年に社長直属組織として健康経営推進プロジェクトを立ち上げました。
また、経済産業省の健康経営調査票においても「メンタルヘルス不調等の発生予防等」を課題テーマとして実施される企業が最も多く、メンタル不調者を支援する「ストレスチェック後の面談」「相談窓口の設置」などの対策を講じる企業は多いかと思います。
従業員のこころの状態は日々変化します。一度メンタル不調になり、さらには休職すると、そのケア・治療・復帰には時間を要します。当社が力を入れたのは、メンタル不調になる前の段階で気づき、手を差し伸べられるような環境を作ること。本講演では取り組みの背景から施策の内容などをご紹介します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
当社は「従業員に対しておせっかいな会社になる」をモットーに、メンタル・フィジカル両面の対策を強化しています。
本講演のメインテーマであるメンタル面の対策として、日々の気分を入力するパルスサーベイの仕組みを導入し、「メンタル不調の予兆検知」「早期対応・支援」の他、入力された気分を活用した「職場環境改善につながる情報提供」を推進しています。従業員がスマホやPCで気軽に利用できる仕組みを目指してスタートしましたが、社内に施策が浸透しない、思うように利用率が伸びないなどさまざまな課題に直面しました。先手を打てたり後手に回ったり、失敗と成功を繰り返しながら、「こころのセーフティネット」を完成させるべく努力しています。
本取り組みの中で、従業員の気分の情報を組織ごとに集計したデータと、年1回実施するストレスチェックや従業員サーベイ調査結果に高い相関があることが判明し、パルスサーベイとしての有効性を確認することができました。
本講演では施策の紹介だけでなく、これまでの課題や社内の声に直面し、試行錯誤し進めてきた経緯などを含めてお話しします。パルスサーベイとしての有効性や今後の当社の展望などについてもお伝えします。元人事担当者ならではの発想や失敗が、皆さまの取り組みへのヒントとなれば幸いです。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
当社で実施している「メンタル不調の予兆検知」「早期対応・支援」「職場環境改善につながる情報提供」の取り組みは、2023年から開始したばかりです。まだまだ課題の多い取り組みではありますが、一定の効果が見えてきました。
本講演の内容が、同じ悩みを抱える企業にとってのヒントとなれば幸いです。攻めのメンタルヘルス対策を検討する機会としてご参加ください。
「HRカンファレンス2024-春-」でも講演させていただき、みなさまから多くの反響をいただきました。今回の講演では、さらにアップデートした情報をお届けします。
- 中川 英世氏(なかがわ ひでよ)
- 株式会社日立システムズ 健康経営推進プロジェクト
- 入社以来ずっと人事労務担当だったが、2016年日立システムズ安全衛生担当への転身以降は日立システムズグループの健康経営確立、ホワイト500取得に貢献。現在は同社健康経営推進プロジェクトで従業員の健康増進活動に従事。健康維持のモットーは「青い空、青い海、白い雲の下で動き回る」。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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