講演者インタビュー
男性育休、手取り10割保証の法改正にどう対応する?
~育休を取得しやすい職場作りへ課題別アプローチ~
セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
一之瀬 幸生氏
法改正や若手の意識の変化により、男性育休は定着しつつあります。一方で、上司や周囲への負担増、キャリアへの不安、期間が短く育児支援として機能していないなど課題もあります。2025年4月の法改正により手取り10割保証(条件付)となることから、更に育休希望者の増加が予測されます。男性育休は採用活動や定着率などに影響する中、企業の成長戦略としてどう進めていけばよいか事例を交えながらご紹介します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演は、男性育休について次のような困りごとをお持ちの方にお勧めします。
(1)部署や上司により男性育休の取得のしやすさが異なる
(2)育休取得率は上がっているが、短期間の取得が多い
(3)仕事と育児を両立しながらキャリアアップしづらい
上記の背景として次のような課題があります。
(4)男性育休に関する理解が浸透していない
(5)業務の属人化やギリギリの人員のため周囲に負担がある
(6)育休対応について社内でノウハウ共有されていない
(7)育休は特別という意識がある(不公平感)
男性育休を取得したい若手~中堅は現在増加しており、2025年4月の法改正によりますます増加するでしょう。今後は対応が後手にまわると企業価値を下げ、採用・定着にマイナスの影響を与える可能性があります。上記のようなお困りごとを感じている企業の皆さまへ、法改正に対応し、さらに成長戦略として男性育休を推進していくために(1)~(7)の課題解決に向けてどのような施策が有効か、事例を交えながら解説します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
法改正や社会の空気の変化に伴い、男性育休を推進しないという道はもはやないでしょう。そして男性育休推進に積極的に取り組むことは、人事が抱えるさまざまな課題を解決する重要な人材戦略となり得ると考えています。例えば、ダイバーシティ推進、エンゲージメント向上、業務の見直しや属人化の廃止、そして自律型社員や次世代リーダー育成など。その結果、企業価値向上、採用や定着率の向上、生産性向上などのメリットが得られます。
これらのメリットを享受するためには、安心して男性育休を取得できる職場風土の醸成が必要です。しかし、各社が取り組みを進める中で、「上司や周囲に負担感がある」「育休取得者にキャリアへの不安がある」「短期間の取得で本来の役割を果たしていない」などさまざまなお悩みが聞こえます。これらをどのように解決していけばよいのでしょうか。
一つは男性育休の理解を深める施策です。実は私も二度、育休を取得しましたが、1回目は理解不足により苦い思い出となっています。もう一つは、育休対応に関する施策です。今まで、私が企業担当者の課題をうかがいながら男性育休の支援をする中で、この両方を踏まえつつ各職場に適した施策を進める必要性を感じています。
男性育休を企業の成長戦略につなげていくために、男性育休を安心して取得できる職場づくり、そして職場と本人の双方がメリットを享受できる育休支援について事例を交えながらお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
男性育休が定着する中、取得率だけでなく、中長期の育休を取得しやすい職場づくり、育児と仕事を両立できる職場づくりが次の課題となっていきます。
男性育休の推進は、エンゲージメント、採用活動、生産性など、さまざまな人事課題にプラスに影響します。一方で取得しづらい職場では、従業員のモチベーション低下、場合によってはハラスメント、男性育休離職、採用活動への悪影響などが発生することが考えられます。
今後を見据えて貴社はどちらに向かっていきますか? 企業の持続的な成長に向けて、重要な人材戦略として捉えていくことが大切です。
- 一之瀬 幸生氏(いちのせ さちお)
- セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
- 長時間労働を前提にした働き方に疑問を持ち、ワーク・ライフバランスを普及するため2013年セントワークス入社。残業削減と生産性向上を進める組織作りや両立支援に向けて、企業、自治体等で研修やコンサルティングを行っている。育休2回取得。株式会社ワーク・ライフバランス認定上級コンサルタント。
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