講演者インタビュー
「意見の多様性」がつくる成果が出る組織~データから見る職場の心理的安全性とその向上のポイント~
サイコム・ブレインズ株式会社 取締役専務執行役員
太田 由紀氏
「イノベーションが生まれない」と悩む多くの企業において、その現場には「心理的安全性の低さ」が存在します。従業員の自由な発想や試行錯誤を阻む心理的状態はどのように生まれるのでしょうか。本講演では、ストレスチェックで測定した約17万人のデータから、職場の心理的安全性における傾向を明らかにし、オピニオン・ダイバーシティの観点から、組織の心理的安全性を向上するメリットと方法をお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「モノを言いやすい職場」では、誰の意見であっても、自分と異なる意見であっても、まずは耳を傾けて検討してみる、という意見の多様性(オピニオン・ダイバーシティ)が実現しています。そして、その前提条件となるのが、心理的安全性の高さです。
今回の講演では、前半は職場における属性別(性別・年代別)の心理的安全性の傾向と、その背景にある要因について、データを通して読み解きます。後半は、企業が自社の心理的安全性を向上する意義・目的について、「経営に資するダイバーシティ」の視点から解説し、さらに、前半のデータ、考察も踏まえながら、企業の経営者・現場の管理職それぞれが、自社の心理的安全性を向上し、オピニオン・ダイバーシティを実現するための具体策を検討します。
自社の心理的安全性の状態に課題を感じ、原因や打ち手を探している方、新しいアイデアが活発に生み出される職場づくりに関心のある方にお勧めの内容です。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
講演前半は、当社と共にMBK Wellness Holdingsグループに所属する保健同人フロンティアの宮尾亮子氏が登壇します。
同社が提供する「HoPEサーベイ」は、回答者の所属する職場について「心理的に安全な職場」「成長できる職場」「認められる職場」という三つの観点で、その状況を可視化するストレスチェックシステムです。このHoPEサーベイを2021年度に実施した際の17万人のデータを基に、臨床心理士である宮尾氏が、企業における心理的安全性の特徴を分析します。
後半では、企業のダイバーシティ推進を長年支援してきた、サイコム・ブレインズの太田由紀が、組織の心理的安全性向上のポイントとその目的について、オピニオン・ダイバーシティの観点からお伝えします。
心理的安全性の向上については「職場の管理職が中心となり、どう取り組むか」「企業全体としてどう取り組むか」という二つの視点があります。
職場の管理職が中心となって取り組む場合、多忙な管理職がなるべく負担を感じず、普段の業務の中で取り組める内容に的を絞ることが重要です。また、企業全体で心理的安全性の向上に取り組む場合は、目的をオピニオン・ダイバーシティの推進、つまり「イノベーションを生み、市場において競争優位に立つ」ための組織文化の醸成策と位置付けると、その意義が社内で認識されやすくなります。これらの視点については、施策事例もご紹介します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
「心理的安全性の高い職場」は、非管理職である従業員の間では往々にして、働きやすく幸福度の高い職場という文脈で、あこがれをもって語られます。
一方、管理職層からは「心理的安全性が高いに越したことはないが、高めたらチーム目標を達成できるのか」といった声が上がりがちです。また、経営層の喫緊の関心は、いかに市場で競争優位を保ち続けるかに集中しがちです。
三様の想いをつなげて実現することはたやすくありませんが、自社における心理的安全性向上の意義を共有した上で、現況を把握して打ち手を明確化し、迅速にアクションすることで可能になります。今回の講演がそのヒントになることを願っております。
- 太田 由紀氏(おおた ゆき)
- サイコム・ブレインズ株式会社 取締役専務執行役員
- 一橋大学社会学部卒業。株式会社リクルートを経て、1986年ブレインズ株式会社を設立。2008年にサイコム・インターナショナルと合併し、専務取締役に就任。人事統括と共に、ダイバーシティ&インクルージョン推進及びヒューマンスキル系研修プログラムの開発を統括する。講師として年間百数十日の研修に登壇。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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