講演者インタビュー
国内売上9割超の企業が取り組む“グローバルで活躍する”人財育成事例~社員意識・組織風土改革への挑戦~
森永乳業株式会社 コーポレート戦略本部人財部 マネージャー
浦川 香奈子氏
2019年4月に当社は「今後10年間で海外売上比率を3倍に拡大する」という経営目標を掲げました。目標の達成に向けて、人事は「グローバルに活躍できる人財」の育成を強化することになります。社員の多くは実務で英語を使用する機会が限られている中で、いかに積極的な学びを促進し、相手の文化を理解・尊重しながら協働して価値を生み出す人財を育成できるか。トライアル&エラーを重ねながら取り組んだ事例をご紹介します。(協賛/株式会社EdulinX)
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
グローバル事業を支える母集団形成に課題感をお持ちの方や、将来的なグローバル事業拡大に向けて幅広い部門および階層の社員のマインドにアプローチされたい方に共感いただける講演だと思います。
当社がグローバル人財育成の取り組みを本格的に始めた当初は、言わば「総論賛成、各論反対」とも言える状態でした。会社の経営戦略として海外事業は推進・拡大をするべき、ただし、会社の基盤を支えているのは国内事業が圧倒的なメイン。人員の面でも、直接的にはもちろん、間接的に海外事業へ従事するスタッフは圧倒的にマイノリティでした。また社員の英語への苦手意識が根強く、将来的に従事することを希望する人も少ない状況でした。
5年が経過した現在では、今回ご紹介する育成・研修の工夫や社内関係各部との連携が鍵となり、また海外事業の比較的順調な展開も相まって、少しずつ空気が変わってきたことを実感しています。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
上記とも重複しますが、グローバル事業を支える母集団形成に向けて、育成の面からどのようにアプローチし、意識と空気の変化を試みてきたかをご紹介します。
これから先、当社の海外事業展開は進んでいくにしても、そう簡単に国内事業がメインでなくなるとは考えにくく、マジョリティの社員はこのまま国内事業へ従事していくと思います。しかしビジネスのグローバル化の波が止まることはなく、国内事業の推進においても異文化理解や英語の需要は高まっています。
また全社を挙げて海外事業を応援する姿勢も重要です。海外事業およびグローバル化への興味喚起を継続的に行いながら、通常業務では英語を使用する機会が圧倒的に少なく、かつ英語への苦手意識が根強い多くの社員にとっても学びのメリットを感じてもらえるよう心掛け、打ち出しているつもりです。
日本国内はもちろん、世界のどこの国を舞台にしても活躍できる強靭なビジネスパーソンの育成を目指しています。またこれまで形成してきた母集団(研修卒業生や、若手を中心に少しずつ増えてきた海外事業に従事することを希望する社員)のリテンションにもトライしています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
当社の取り組みもまだまだ道半ばであり、日々試行錯誤を繰り返しながら進めている状態です。「正解」をお示しすることはできませんが、その分リアルな取り組みを知っていただけるのではと思います。グローバル人財の育成について、同様の課題を感じている育成担当の方へのヒントに少しでもなれたら幸いです。
- 浦川 香奈子氏(うらかわ かなこ)
- 森永乳業株式会社 コーポレート戦略本部人財部 マネージャー
- 研究開発職と経営企画部内のプロジェクトチームを経て、2016年より人財開発・育成業務を担当。かつてアメリカ国籍上司の元で勤務した際に得た学びを活かしグローバル人財育成に奮闘、語学以外の切り口で新たに育成施策を導入。このほか、D&I推進・階層別研修・社内表彰等を担当。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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