講演者インタビュー
【法改正対応】 男性育休を職場全体が取得しやすい風土を広げるために
セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
一之瀬 幸生氏
男性育休義務化に関する法改正が段階的に施行されています。その中でも人事の悩みどころは、制度周知や取得意向確認等を実施しても、男性育休の理解促進が進まないことではないでしょうか。その原因の多くは、「男性育休の本質を理解していないこと」と「組織風土」に起因しています。本講演では、男性育休の理解促進、そして男性育休を取得しやすい雰囲気作りを職場全体に広げていく施策について考えていきます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演は男性育休について次のような困りごとをお持ちの方におすすめします。
(1)管理職の理解が進んでいない
(2)育休取得対象者の意識が低い
(3)一般従業員の理解が進んでいない
上記により
(4)男性育休を取りやすい雰囲気でない
(5)育休取得率が低い
(6)育休取得期間が短い
2022年4月より、男性育休に関する法改正が段階的に施行されています。その中で重要なのは、「男性育休を取得しやすい雇用環境の整備」です。ここが進められていないために育休対象者へ制度周知や意向確認などを進めても男性育休を取得しやすい雰囲気とは言えない、取得期間が短く本来の役割を果たしていない、などの声が聞こえてきます。
これらを解決するためには2つのポイントがあります。一つは男性育休の本質的な理解促進。もう一つは管理職、育休取得対象者、一般社員など幅広い層への啓発です。本講演では、どのように男性育休を取得しやすい職場作りを進めていくかについて、施策例を交えながらご案内します。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
男性育休は人事が抱えている重要課題を次々と解決していくと感じています。例えば、ダイバーシティ推進、エンゲージメント向上、また、業務の見直しや属人化の廃止、そして自律型社員や次世代リーダー育成などがあげられます。その結果、採用や定着、生産性向上にも繋がるなどさまざまなメリットが考えられます。
しかし、男性育休の理解促進は簡単ではありません。例えば、管理職は、「自分に子供ができた時は妻が一人で育児した」、「子どもと接したかったが家庭を犠牲にしたからこそ今がある」、「男性育休は自分の人生を否定されたように感じる」などと思うことも多いようです。また、育休取得の対象者も、給料の懸念や、周囲に迷惑をかけるので気が引けるなどの理由から、取得を控える・取得期間を短くする傾向にあるようです。
しかし、企業・自治体などで男性育休研修を実施すると、管理職から「自分の時は子育てができなかったが、今後は部下に育休を勧めたい」などの声が出るようになります。男性育休の本質理解を進めること、そして育休取得者が出ても業務がまわった事例などを伝えていくことが必要です。今回は、その一例をご紹介します。
また、管理職への研修だけでは、男性育休を取得しやすい職場作りは進んでいかない可能性があります。研修を受講した管理職からは、業務負担が増える可能性のある一般社員へ理解促進のために研修を実施してほしい、との声が出ています。
人事担当者の労力やコスト面も考慮しつつ、管理職、育休対象者、一般社員の全員へ、どのように理解を進めていくかも考えていきます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
法改正により男性育休取得促進に取り組む企業が増えており、今後は男性育休を取得しやすい職場と、取得しづらい職場へ2極化していくことが考えられます。
取得しやすい職場は、従業員のエンゲージメントアップ、生産性向上、採用活動への好影響などさまざまな人事課題についてプラスの影響が期待できます。一方、取得しづらい職場は、従業員のモチベーション低下、場合によってはハラスメントの発生、男性育休離職、採用活動でも応募者減や辞退が増加することも考えられます。
3~5年後を見据えて、どちらに向かっていきますか?人材確保・定着と企業の持続的な成長に向けて、男性育休取得促進は重要な人材戦略として捉えていくことが大切です。
- 一之瀬 幸生氏(いちのせ さちお)
- セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
- 長時間労働を前提にした働き方に疑問を持ち、ワーク・ライフバランスを普及するため2013年セントワークス入社。残業削減と生産性向上を進める組織作りや両立支援に向けて、企業、自治体等で研修やコンサルティングを行っている。育休2回取得。株式会社ワーク・ライフバランス認定上級コンサルタント。
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