株式会社リクシス 代表取締役副社長 CSO
酒井 穣氏
本講演では、仕事と介護の両立が「当たり前」化する次の数年を見据え、7000名を超える企業従業員のデータを紐解きます。その上で知られざる「ワーキングケアラー」問題の大きさと本質課題について言及。そして、本テーマに関する「企業間格差の拡大」についても徹底解説していきます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「仕事と介護の両立支援」は、多様性推進のための一つの施策として、多くの企業が長年にわたり講じてきました。決して新しくはないテーマですが、介護に直面している社員の実態が把握しにくく、施策効果が測りにくい人事領域と言われています。実際、「介護が始まったら人事に相談する」と答える従業員割合は約半分(弊社調べ)。リクルートワークス研究所の最新論文には、既存の「介護支援制度」がむしろ両立負担を上げる方向に作用してきた可能性がある、という分析が出ています。
団塊世代が後期高齢者ゾーンに突入する「2025年問題」が目前に迫る今、次の20年のサステナブル経営に向けて、この課題との向き合い方を再整理するタイミングに来ているのかもしれません。あらためて「仕事と介護の両立支援」に関する方針を整理したい企業や、把握しにくい従業員の介護実態データを踏まえた先進企業事例を知りたい企業の皆さまは 、ぜひご参加ください。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
多くの企業が事業モデルの変革を余儀なくされ、従業員の働き方・価値観も劇的に変化した2020年。ここから先の20年は、「従業員の自律性とウェルビーイング」を確保し、多様な個の力を総合的に発揮できるかが、サステナブル経営の焦点になるでしょう。
もう一つの大きな構造変化が「高齢化」です。超高齢社会先進国である日本では、2025年に人口最大のボリュームゾーンである「団塊の世代」がいよいよ後期高齢者層に突入します。当 社の調査結果では、3年以内に介護との両立が迫っているにもかかわらず、両立準備が進んでいない従業員の割合は約3割。多くの従業員が「介護が始まっても通常通り働き続けたい」と考えているのに、7割以上が「介護が始まったら仕事を続けられない、わからない」と答えているのが実態です。
今後20年のサステナブル経営のためには、「介護期間に休むことで離職を防ぐ」のではなく、「介護中でも働き続け、パフォーマンスを落とさない」という、仕事と介護の両立方法の実現が鍵となります。
本講演では、今後20年の人口構造変化を確認しつつ、8000名を超える企業従業員データをもとに、「普通に仕事を続ける両立実現」に向けて、どのような施策をどのターゲットに講じていくべきか、最新企業事例を交えながら具体的・実践的に深堀りしていきます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
企業人事の多様性推進の「焦点」は、従業員に占める対象者の割合が「閾値」を超えることによって変わってきました。企業の女性採用比率が増え、共働き家庭比率が閾値を超えることにより「育児両立支援」「男性育休」「働き方改革」が焦点となり、採用した女性が経験を積み上げていくにつれて「女性管理職比率」が焦点となる、という具合です。
今後20年で閾値を超える現象は、間違いなく「超高齢化」です。人事の皆さまとともに「仕事と介護の両立支援策」の議論を通じて、超高齢社会も豊かな世の中である、というモデルを、日本から創出したいと考えています。
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