エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長
山下 知之氏
貴社では自社の給与/報酬制度について、どのような戦略に基づいて設計しているか、それらは会社の戦略と整合的か否かについて、自信を持って説明できますでしょうか。ジョブ型雇用の導入が進むと言われる中、報酬戦略が定まっていない会社が大半であると弊社では考えています。本講演ではデジタル化等を通じ成長する企業の戦略的な報酬設計について、具体的な事例紹介も交えてご案内します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
給与/報酬制度のあり方について問題意識を持つ人事担当者、経営者の方々に向けた講演となります。日本の大手企業を中心とする歴史の長い企業では、報酬の担当部署が設置されていないことがほとんどで、一度決めた給与/報酬テーブルを職能資格制度にひもづけて運用しています。また、スタートアップ企業や中小企業では前職の水準を参考にして決定しており、報酬に関するポリシーが設定されていないケースが大半です。
ここ最近、日本人の報酬水準が 世界的に見てかなり低いと 指摘されることが増えてきました。実際に我々の運営する報酬データベースを見ても、明らかな傾向です。これらの低い報酬水準は、短期的な利益確保には整合的であっても、長期的な成長や株主価値向上には極めて不向きな制度であると言えます。給与や報酬について語るのはタブーとの見方も一部ではあ りますが、当社は報酬の専門家集団として、具体的なデータや事例を数多く盛り込んだ講演を行う予定です。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
ジョブ型を導入した、もしくは導入予定だ、という企業の皆さまに特にお聞きいただきたいと思います。給与/報酬制度改革なきジョブ型雇用というのは、本質的な部分を後回しにした制度改革と言えるでしょう。ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成して、場合によってはジョブエバリュエーション(職務価値評価)を実施し、部下との1 on 1をルール化したという変革に過ぎないのではないかと思います。既存従業員の職務内容を整理し、各ジョブの価値を計算しても、企業変革に必要な外部の人材は採用できませんし、本来大きな役割を担うことのできる実力ある優秀な若手人材から他社に移っていくことになります。
報酬水準について、職務やポジションに値段を付けるという考え方もこれまでの日本的な「人に値段を付ける」という職能的な考え方の対極的なものとして整理されているに留まり、実践的な取り組みであるとは言えません。ポジションに値段(報酬水準)が張り付くと、フレキシビリティの極めて低い制度が出来上がります。実際、運用に支障を来たしている多くの企業から弊社に問い合わせがここ数か月でも多くいただいています。「ジョブ型制度では報酬制度設計が難しい」などと言っているコンサルティング会社もあるようです。戦略的な報酬/給与制度のあり方について、共に考える機会となればと思います。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
我々は日本において報酬水準が低すぎることを通じ、国際競争力がさらに落ちていく可能性について強い危機感を持っています。もちろん、報酬水準を上げることだけが重要であるとは考えていません。ただ、自社の報酬ポリシーを自信を持って語ることのできる会社に、多くの人材は魅力を感じると思います。日本経済に大きく貢献していくべく、当社も高い意識を持って 講演に臨みたいと思います。講演にはぜひ、お気軽にご参加ください。どうぞよろしくお願いいたします。
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