人の採用・育成・マネジメントに携わる皆さまを対象とした日本最大のHRイベント

日本の人事部「HRカンファレンス2020 -秋-」 
2020年11月17日(火)・18日(水)・19日(木)・20日(金)・25日(水)開催 [主催]日本の人事部「HRカンファレンス」運営委員会
[後援]厚生労働省

講演者インタビュー

日本の人事部「HRカンファレンス2020-秋-」トップ 講演者インタビュー 山本 寛氏(青山学院大学 経営学部 教授)インタビュー

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コロナ終息後の人材不足に向けて
~社員の定着に組織は何をすべきか~

山本 寛氏 photo

青山学院大学 経営学部 教授

山本 寛氏

コロナ禍の元、求人倍率は低下しています。しかし収束後、転職が増加し、少子高齢化による採用難を背景に人材の獲得競争が再燃すると考えられます。本講演では、社員に長く働き続けてもらうリテンション(定着)のため組織は何をすべきかについて、高業績社員のリテンションに失敗したら何が起こるか、社員と組織のリテンションを巡る意識の違い等の観点から業種横断的な事例も交えお話しします。(協賛/株式会社パソナ(厚生労働省委託事業:キャリア形成サポートセンター))

―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?

組織の人事部門の皆さまは、苦労して採用した人が内定を辞退する、転職するという経験をお持ちだと思います。また、職場で若手社員の指導に当たっている先輩社員や管理職の方々も、苦労して指導、OJTを行った社員に退職された経験をお持ちの方も多いかと思います。さらに、同業他社と比較して退職者が多い、社員が定着しないという悩みをお持ちの経営者の方もいらっしゃると思われます。

本講演では、このように重要性を増している社員のリテンション(定着)をどのように促進していくか、およびそのための具体的な組織のマネジメントや職場の上司の方々に求められるリーダーシップを取り上げます。

これらを知ることにより、社員の転職を防ぐヒントをつかんでいただければと思います。また、最終的に退職したとしてもその社員が組織に悪い印象を持たないようにすることで、連鎖退職の火種を防いだり、将来的な出戻り採用につながったりする可能性も生じるのです。

―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。

構造的な少子高齢化による採用難を背景に、多くの組織で質量ともに、人材不足が深刻化しています。さらに転職の増加により、高業績人材の獲得競争はますます激化しています。このような状況下、多くの組織で社員のリテンション(定着)をの重要性が高まっています。

同業他社などと比較して、リテンションがうまくいっていない企業には、どのような特徴があるのでしょうか。例えば、業種横断的な調査結果からは、退職率の高さは全体として組織業績(売上高・経常利益)の低さと関連することがわかっています。

また、リテンションの失敗とは何を意味するのでしょうか。これは、転職した高業績者の技能・知識の代替は可能か、または埋め合わせられるまでの時間/コストがどれだけかかるかという問題です。短期的には、別の社員の採用・配置転換や教育訓練や生産性低下というコストが増大します。長期的には、長年勤続した社員がもつ知識・技能の喪失、具体的には顧客との人間関係を効果的に構築するスキルなどの喪失や、残った従業員のモチベーション低下などを招くことになります。

しかし、高業績者の完全なリテンションはあり得ません。憲法の職業選択の自由が保障されているからです。そこで、最低でもどれくらいの期間組織に残留してもらう必要があるのかがポイントになります。ただし、それは業種、職種、業績、景気などによっても異なります。

―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

現在、多くの組織で働き方改革が実施されていますが、そのための施策である長時間労働是正や、正規社員と非正規社員の不合理な差別の禁止などは、リテンションのためのマネジメントとの連動性が高いものです。なぜなら、働き方改革の成果指標である勤続期間長期化などはリテンション・マネジメントの重要な成果指標でもあるからです。

多くの時間とコストをかけて働き方改革を実施するのであれば、同時にリテンション・マネジメントとの連動性を考慮してリテンションの向上につなげることが重要です。例えば、ネット上で多く参照できる他業界の働き方改革の成功例を取り入れていくことは、有効なリテンション・マネジメントにつながります。

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講演者プロフィール
山本 寛氏(やまもと ひろし)
青山学院大学 経営学部 教授
人的資源管理論担当。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。働く人のキャリアとそれに関わる組織のマネジメントの問題が専門。日本経営協会・経営科学文献賞など受賞。著作は『なぜ、御社は若手が辞めるのか』『「中だるみ社員」の罠』(以上単著:ともに日本経済新聞出版社)、『人材定着のマネジメント』(単著:中央経済社)、『自分のキャリアを磨く方法』『転職とキャリアの研究[改訂版]』『働く人のためのエンプロイアビリティ』『昇進の研究[増補改訂版]』(以上単著:ともに創成社)、『働く人のキャリアの停滞』(編著:創成社)など。

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