セントワークス株式会社 ワーク・ライフバランスコンサルタント
一之瀬 幸生氏
男性新入社員の8割が育休を取りたいと答えています。一方で男性育休取得率は約7.5%。育休を取れるに越したことはありませんが実際は難しいようです。男性育休は若手男性だけでなく、多様な人材活躍、優秀な人材確保&定着、人材成長に繋がるなど多くのメリットがあります。今回は、働き方改革担当者が実際に1か月の育休取得を通して見えた育休の課題と推進のポイントをお伝えします。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
男性新入社員の約8割が「子どもが出来たら育休を取得したい」という調査結果もある今、人材採用・人材定着に課題を感じている企業にとって、男性の育休取得を促進することは、検討すべき施策の一つではないでしょうか。若手男性だけでなく、女性従業員のモチベーションアップにもつながります。さらには、本人とチームの成長にもつながります。一時的に大変なこともありますが、実はメリットが多いのが男性の育休なのです。
今回は、社内の働き方改革担当者として、私が実際に育休を取得した上でのリアルな声をお届けできればと考えています。多様な価値観を受け入れ、多様な働き方を実現していくことが重要視され始めている今、男性の育休が気になっている企業の方はぜひご参加ください。すぐに施策に移せなくても大丈夫です。まずは実情やメリット、職場での進め方のヒントなどを理解する機会になれば幸いです。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
本講演では、実体験から見えてきた、男性が育休を取得することによる企業にとってのメリットなどをお伝えします。
国は2020年度に男性の育休取得率13%を目標に掲げていますが、昨年度の取得率は7.48%で、目標と乖離しています。そこには、男性が育休は取るに越したことはないが、企業にとってメリットを感じにくく優先順位が低い、管理職が積極的ではない、若手は取得したいと思っても取りやすい空気でない、といった理由があるでしょう。
また、国は女性活躍推進にも力を入れていますが、思うように進んでいない企業もまだ多いように感じます。その理由の一つとして、女性自身がキャリアアップに積極的ではないから、という声があります。しかし、本当にそうでしょうか。私は2020年8月に1ヵ月間の育休を取得しました。産後の1ヵ月間を妻と一緒に過ごしたことで、女性活躍推進の壁になっている根っこの部分が見えてきました。理屈ではない生の女性の声に耳を傾け、働き方や今後のライフスタイルを考えることが、女性活躍推進につながると感じています。
また、男性が育休を取得することは、時間自律性、人材育成力、人間関係構築力など、さまざまな人間的成長にもつながることを実感しました。さらに職場で人材循環、業務の平準化が起こるなど、組織の活性化にもつながります。今、企業は人材確保、人材育成、組織開発に向けてさまざまに模索していることと思いますが、男性の育休取得がその有効な手段の一つであることをお伝えします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
男性の育休取得を実際に進めるとき、「取得中のどう仕事をまわす?」「人員補充は?」などと、躊躇する職場は多いかもしれません。しかし、大手はもちろん、中小企業でも取得している企業はあります。余裕があるからできるのではなく、「やる」と決めると解決策が見えてきます。もちろん、従業員同士の協力体制、会社の支援などは必要です。すぐに実行できなくても大丈夫です。考えていただきたいのは、今の状態をそのまま続けていく職場と、男性の育休取得などライフイベントを大切にするように変化した職場が、5年後にそれぞれどうなっているか、ということです。未来も見据えて、男性の育休取得に関心を持っていただけると幸いです。
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