株式会社アントルビーンズ 取締役/敬愛大学 経済学部 経営学科 特任教授/キャリアセンター運営委員長
彌島 康朗氏
OJT、研修、1on1ミーティング等をより良くしたいと考える一方で、効果検証がはっきりしないと悩まれる方も多いようです。この突破口は日々の「気づき」の可視化と意識強化。本講演では、特に可視化に必要な振り返りシートの設計と持続的な成長を促すリフレクション・フィードバックに関して、大学や企業で得られたAIテキストデータの分析を元にした検証と活用のポイントを共有します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
本講演では、以下のような課題をお持ちの皆さまのお役に立つことができます。
・研修メニューは揃っているが、効果検証に手を焼いている
・研修レポートなどの取り組みを振り返るリフレクションシートを回収・集積できているが、自由記述部分の分析が進まず、読後は放置してしまっている
加えて、以下のような課題をお持ちの方にも参考にしていただけます。
・研修中は参加者の表情にも、取り組み姿勢にも変化が見られ、手応えを得たのに、現場に戻って数週間も経たないうちに元に戻ったように見え、戸惑っている
・部下との面談や指導でうまく伝えられない、伝えても効果が見えない
いずれの課題も、可視化・共有の不足が原因であることが多いようです。
原理原則に陥りがちな研修や指導の中で納得できたことも、例外の多い現場では各人の特性に合わせて必要な一工夫が壁となります。ここを埋めるには、研修の正否を問わず、結果に至るプロセスを分解し、可視化・共有していくことが有効です。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
仕事や研修に取り組んだ後の振り返りに人材育成の資源を見出した点です。
レポートやアンケートで回収されたシートが相当な数になっているケースは多いのではないでしょうか。選択式の回答集計はまだしも、自由記述となると手が回らない、というご相談もよく受けます。
また、回答者からみても何のフィードバックも得られない状態が続くと、次第に回答意欲が下がっていき、記述内容も大雑把なものになりがちです。時間と労力をかけて実施するレポートやアンケートで、このような悪循環に陥らないためには、記述部分の分析とフィードバックが肝となります。
手作業での分析には対象数の限界があり、当社では部分的なAIの活用に注目しました。大学と共同開発したテキストAI分析「TIARA」によって、作業時間は30分の1にまで短縮することができ、判断基準のブレの回避にもつながっています。短縮によって生まれた時間を分析結果の読解とフィードバックに充てれば、回答者の意欲喚起、行動変容にもつながり、好循環へと転換することができます。
本講演では限られたデータにはなりますが、分析結果をお示ししながら、できるだけ具体的に実践事例をご報告したいと思っています。
例えば、同一分析手法の中ではそれらしく見える指標も、別の指標と重ねると齟齬を生じることもあります。そこで、三つの異なった指標を重ねて分析を試みた事例なども織り交ぜてお話ししてまいります。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
これまで実施してきた人材育成プログラムに課題を抱えている方、中でも、「自ら考え、率先して取り組み、成長し続ける人材」の育成を目指しておられる方は、ぜひご参加ください。
一口に人材育成といっても、置かれている環境、保有する資源、獲得すべき成果は多様です。効率が最優先されるケースもあれば、新規性、独自性が求められるケースもあり、目指すモデルによって手法も指標も使い分けなくては効果も期待できません。
社会環境が大きく変化すると予測されている今、変化にチャンスを見出し、多様な選択肢を持ち寄るメンバーで構成されたチーム作りを目指していただければと思います。
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