講演者インタビュー
企業の信頼を高めるために ~エラーの連鎖をくいとめる~
ANAビジネスソリューション株式会社 営業本部 人材・研修事業部 参与
宮崎 志郎氏
ひとつの事故が企業の存続すら危うくし、長年築きあげたお客様からの信頼を失ってしまう事もあります。ANAでは、過去の航空機事故を教訓とし、二度とこの様な事故を起こさないために対策に取り組んできました。今回は整備部門で培ったヒューマンエラーの再発防止対策を2時間という特別版でご紹介します。「エラーは連鎖する」という考えに基づいたワークショップをぜひご体験ください。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
皆さまの中には、「自分はエラーをしない」と断言できる方はいらっしゃるでしょうか。残念ながら、人間である限り、脳の情報処理過程で起きるエラーを防ぐことはできません。私たちの研修は、まさに「エラーをゼロにはできない」ことからスタートします。
航空界では、過去の事故の分析から、事故の要因の8割はヒューマンエラーによるものだったという事実を真摯に受け止め、教育や仕組みづくりを行ってきました。「エラーをコントロール」し、最悪の事故にならないようにする取り組みです。最近は命に係わる事故だけではなく、情報漏えいや品質事故など、企業の存続を危うくするケースも多く報道されています。事故の芽をヒヤリハットの段階でつみとり、万一事故につながった場合には、確かな再発防止策をとり、二度と同じ事故を起こさないようにすることが大切なのです。事故はひとつのヒューマンエラーだけで起きることはまれです。チェーンの様に連鎖して、切り取ることができないまま事故につながるのです。事故対策は、その一つひとつのチェーンに対し、シェルモデルという考え方で分析を行います。
本研修では、基本的な考え方をお伝えした後、実際に簡単な事例で、エラーチェーンをつくり、シェルモデルで分析するワークも体験することができます。まさに研修のタイトルである「企業の信頼を高めるために、エラーの連鎖をくいとめる」ANAの取り組みを体験してください。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
ヒューマンエラーについては、数多くの文献や、知識付与的な研修も多く存在します。弊社の研修はANAの整備部門で培った安全対策のノウハウを、他の業種の方にもご理解いただけるように、分かりやすく再編した内容です。単なる知識付与にとどまらず、実際に整備の現場で対策を実践してきた講師がご紹介する、現実に即した研修と言えるでしょう。研修先の企業では、経営トップである社長自らが受講し、社員の皆さまとともにエラー防止に努めているケースも多くあります。少しでも受講者の皆さまのお役にたてるよう、私どもも責任を強く感じながら研修をお勧めしています。講師陣は接遇&マナー研修と合わせて、全員がANAグループの出身者です。明るく誠実、失敗をしても立ちあがる現場力を持った力強いメンバーが皆さまをサポートいたします。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
安心して飛行機に乗りたい。そんなお客さまの要望に応えるために私たちが取り組んできたのが、本ワークショップでご紹介する内容です。「安全」は私たち航空会社にとって経営の基盤であり、社会への責務であります。21世紀に入ってから、多種多様な業種・業界で信頼を損なうような出来事が続き、社会を混乱させています。「安心して食べられない」「安心して住めない」「安心して乗れない」など、次から次へと後を絶ちません。その損害は計り知れなく、最悪の場合は企業の存続も危うくなります。
トップから一人ひとりの社員まで、全員が「安全・安心・信頼」を築いていくために必要な考え方と行動について、事例を交えながら考えていきたいと思います。
- 宮崎 志郎氏(みやざき しろう)
- ANAビジネスソリューション株式会社 営業本部 人材・研修事業部 参与
- 岐阜県出身。1974年全日本空輸株式会社入社、整備本部勤務。長年、航空機の心臓部にあたるエンジン整備に関わる。2003年より整備本部教育訓練部の教官として、ヒューマンファクターズ訓練など整備士の教育の傍ら、ANAグループ社員向けのコミュニケーション研修や、社外向けの講演活動を行っている。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社アイ・キューの登録商標です。
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