――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

本講演では、以下の四つのポイントをお話します。　　　　　　　　　　　　　　　　　

1．実際の経営と経営学の遊離 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
私自身が二つのMBAを受講して博士後期課程に所属し、MBAの調査、自分自身の起業、年間120社を超える優良企業視察研究継続などを行ってきて感じることは、経営の現場と経営学が遊離していることです。
2．多様性が求められる経営人財
多くのMBAは、細分化された受講生のニーズに応えられていません。例えばオーナー会社と関連事業子会社の経営人財育成は似て非なるものです。
3．MBA教育は「知」中心、「徳」「志」が必要
経営リーダーシップを発揮するには、「知」に加え「徳」「志」が必要です。一方、従来のMBA教育は「知」に偏り、「徳」「志」の部分が不足しています。
4．聞き見て考え行動し結果を出す　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
理論の学習も重要ですが、優良企業訪問から多くの学びが得られます。さらに、見たことを自分事として考える。考えたことを実践する。そして結果を出す。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

弊社のキーワードは「いい会社づくり」「経営人財育成」です。いい会社とは、どのような会社でしょうか。私どもが考えるいい会社とは、その企業に関わる人全てが幸せを感じることのできる会社です。そのためのコンサルテーションや人財育成研修、組織診断、優良企業視察などをお客さまのご要望に合わせて行っています。

私は、企業のコンサルテーションや研修の合間に、『日本でいちばん大切にしたい会社』の著書である法政大学大学院の坂本光司先生とともに、年間120社以上の企業視察を行っています。実際に見てきた優良企業の共通点を踏まえ、「いい会社」にするにはどうしたらいいかという、経営者や管理者のマインドといった部分から、実際の事例を使ったハウツーの部分まで、多くの知識やコンサルテーションの経験を持っています。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

企業経営の目的は、企業活動に関わる人たちの永遠の幸せを追求することです。売上や利益は、目的を得るための手段です。目的を売上や利益を目的にすると、誰かが犠牲になりかねません。企業の不祥事、ブラック企業、メンタル疾患者の増加など、企業目的と手段のはき違えと無関係ではありません。しかしMBAでは、主に売上や利益、効果・効率を上げるための手段が中心になっています。企業経営に大きな影響を与える経営人財は、企業の目的を理解した上で、徳と志が不可欠です。一方、徳や志をどのように高めるのかは簡単ではありません。MBA教育の川幅を広げたいと考えている問題意識のある人と一緒に考えたいと思います。