――　今回の講演のポイントについて、お聞かせください。

日本では人事プロフェッショナルが育ちにくいと、一般には言われています。しかし、私はそうではないと思います。人事プロフェッショナルとしてキャリアをデザインしようとする方々が、確実に増えていると感じているからです。今、必要なのは、何をどうやって学べばいいのかの方法論です。そこで今回の講演では、世界中の人事プロフェッショナルはどうやってそのキャリアやスキルを向上させてきたのかを考察し、これからの日本の人事が具体的にプロフェッショナルとしてのキャリアやスキルを高めるための方法を解説したいと思います。

例えば、米国人材マネジメント協会（SHRM）では、HRのコンピテンシーを定義して、人事プロフェッショナルの資格制度を実施しています。ここでは、米国に限らず世界中の人事プロフェッショナルがHRプロフェッショナルとしての資格を取得するために学んでいます。また、HRコンピテンシーの分野で長年研究を続けてきたウルリッチ博士が、2016年版の新しいHRコンピテンシーのモデルを提言しています。最新の世界の動きを知っておくことは、人事プロフェッショナルにとっては不可欠なことです。本講座では、世界の人事プロフェッショナルを育成するための動きを、どこよりも早く正確にご紹介したいと思っています。さらに、日本の人事プロフェッショナルが日本でも世界でも活躍するために、今からやるべきことについて提言します。

――　貴社の強みや特徴について、お聞かせください。

私は、世界人材マネジメント協会連盟（WFPMA）に日本代表として参加しています。また、アジアパシフィック人材マネジメント協会（APFHRM）の役員として、東アジア地区のVice Presidentを務めています。そのため、世界中の人事プロフェッショナルと議論する機会があり、世界中の人材マネジメント協会のカンファレンスに参加しています。世界の人材マネジメント協会が取組んでいる重要課題の一つが、人事プロフェショナルの育成です。アメリカの事例だけではなく、さまざまな国の情報に基づいて、日本の人事に役立つ内容を数多く入手していますので、日本の実情に合わせた提言をして参ります。また、私の経営する会社では「人事の大学」という人事プロフェッショナルのためのコミュニティーを世界中で運営しています。ここで語られている情報も、皆さまにシェアしたいと思っています。

――　講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

株式会社JIN-Gは「世界を愉しむビジネスパーソンを増やそう」というビジョンを持ち、組織人事戦略コンサルティングを行なっています。特定の方法論（メソドロジー）をおしつけない、お客さまの課題に対して「一緒に答えをつくる」という姿勢で、15年以上コンサルティングを行ってきました。企業がそれぞれの課題を解決していくために、事業や人材の状況に応じたアドバイスを行うことが特長です。特定商品をPRするために危機感をいたずらにあおるものが散見されますが、本講演では人事・人材開発の本質を追求していきたいと考えています。人事・人材開発分野のプロフェッショナルたちが、もっと広く世界で活躍する機会が増える。そのような講演を目指します。