講演者インタビュー
脳科学と心理学でマネジメントやコミュニケーションはこんなに変わる
株式会社スマートワークス 専務取締役
本多 佳苗氏
脳に関する多くの研究は、従来心理学の分野で知られていた感情や知性にかかわる現象を、メカニズムの面から少しずつ明らかにしています。人が考えたり、感じたり、判断しているとき、脳では何が起きているのか。そのことは、マネジメントやコミュニケーションにとって何を意味するのか。人材開発はどうあるべきか。近年の研究を踏まえて開発された研修プログラムの一端をご紹介します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
人の考えや行動を多少なりとも変化させようと思うなら、相手が心から納得して、やってみようとモチベーションが高くなることが重要です。加えて、その持続も一つのポイントになります。これまで心理学は、心のしくみを多くの実験データで解き明かそうとしてきました。他方、近年は脳に関する研究が進歩したため、脳の内側で起きている出来事も垣間見えるようになってきました。
そうしたことから、長年、主に心理学に立脚してきた研修プログラムの設計に、脳の研究から得られた情報も活用できるようになりました。それにより、人の心や行動に働きかける方法を、より納得しやすく、楽しく、効率的に学習できる好循環も生まれています。プログラム設計の際に、習得すると役に立つ重要な知識やスキルを、的確に選択することも可能になってきました。
マネジメントやリーダーシップ、コミュニケーション、ダイバーシティ推進やグローバル対応など、受講者の考え方や行動に働きかけて、従来とは違う行動を取ってもらうことが重要な分野は多々あります。今回の講演では、心理学と脳科学の融合から生まれてきたプログラムがどのように働きかけを行うのか、その一端をご紹介します。そうすることで、効果性の高い人材開発のあり方を一緒に考えてみたいと思います。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
スマートワークスは、業務パフォーマンスの向上を支援する研修プログラムをご紹介しています。
特に大きな特徴は、世界的に高い実績を持つ企業と提携し、特色のある研修を日本に紹介していることです。提携企業と協力して、一つの研修を世界各国の言語で展開することもあります。プログラム開発の専門家を有するパートナー企業は、心理学、脳科学、行動科学、統計学、経営学など、多分野の知識を総合的に取り入れて、日々、効果性の高いプログラム設計を行っています。科学的・統計的な裏付けを重視することで、効果が大きく、コストパフォーマンスのよい人材開発をめざしています。同様の分野を専門として活躍する日本国内のプロフェッショナルの皆さんとも協力をしています。
経営トップから新人まで、経営や人事部が求める行動変化を生み出すこと、また学習者の皆さんが成長の手応えとモチベーションを感じられることを大切に考えています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
「箱の外に出て自分を見つめる」という言葉があります。困った時、自分が置かれた世界や状況を外側から観察すること、とでも説明すればいいでしょうか。要は自己を客観視することですが、言うのは簡単でも、実行するのは難しいものです。
人間の心や行動を体系的に学習すれば、自己の客観視がとても簡単になります。そのことが、考え方や価値観が違う相手と一緒に何かをするときに役立ちます。会社はもちろんですが、家族や同好会サークルなど、人の考えや行動を変化させる難しさを痛感した体験も思い浮かべながら、一緒に考えていただきたいと思います。
- 本多 佳苗氏(ほんだ かなえ)
- 株式会社スマートワークス 専務取締役
- 製薬会社を経て、米系人材開発コンサルティング会社に勤務。研修からアセスメントまで、多岐にわたる人材開発サービスのローカライズやカスタマイズ、講師養成の責任者を務めたのち、スマートワークスを創業。専門家による長年の研究を通して開発された科学的な研修プログラムに長年携わり、国内外で講師として教えている。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社アイ・キューの登録商標です。
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