講演者インタビュー
リーダーが発信する会社はなぜ強いのか
~メディアを活用したビジョン浸透・マーケティング~
久米繊維工業株式会社取締役会長/明治大学商学部 ベンチャービジネス論/起業プランニング論 講師
久米 信行氏
企業のトップやリーダーが企業理念や自社商品の長所を積極的に発信することが、ブランド力向上につながる時代です。
本講演は、ネット黎明期からオンラインショップで1着1万円以上するTシャツを販売したり、社員と共にSNSを活用したプロジェクトを多数成功させたほか、上梓したビジネス書のベストセラーを良質な人材の採用にも役立ててきた講師が、その舞台裏を紹介しつつ、情報発信を業績アップにつなげるコツを解説します。(協賛/株式会社かんき出版)
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
企業の理念が社員に浸透し、日々の行動へと結び付いていくには、まずは社員がその考えを理解し、共感していなければなりません。そのためには、皆が共有できるように理念の「言語化」が必要だと考えます。理念にかかわらず企業が発信する「言語」は、社員のみならず、お客様へのロイヤリティを高めることにもなるのではないでしょうか。スティーブ・ジョブズとアップルの例を見るまでもなく、企業の好感度は、経営者や社員の言動に左右されます。優れた事業パートナーや就転職希望者をひき付けるのは、経営者や社員自身による企業の情報発信なのです。自らが発する言葉の影響力は、コミュニケーションの主役が、マスメディアからソーシャルメディアへとシフトするほど増大します。
十年来、明治大学商学部で教えていますが、現在学生たちがマスメディアに触れる機会は減る一方で、企業広告を見ないか信用しない傾向が見られます。むしろソーシャルメディア上で見え隠れする経営者の人柄や、商品を買った顧客の口コミを重視しているのです。1997年に日経インターネットアワードを受賞して以来、私はネットでの情報発信を続けています。ネット連載から雑誌連載へと道が開かれ、書籍も十冊以上出版、ベストセラーも生まれました。その経験から、無名の中小企業でも自らが発信すれば、想像を超えるお客様やパートナーとの関係を築けると断言できます。今回は企業が情報発信するための極意と留意点をお話します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
私はもともと知名度の無い中小企業の経営者でした。バブル崩壊と国内産業空洞化で危機的な状況に見舞われ、文系なのにやむをえずインターネットでの情報発信と通販を始めました。絶滅危惧種の経営者でありながら、情報発信を通じてネットでのご縁が広がり、大学講師や著者として、観光協会やオーケストラなど公益法人の役員として活躍できるようになりました。こうした予期せぬ展開のおかげで、企業の知名度を高め、ファンを増やせたことは間違いありません。しかし見よう見まねからのスタートだったので、アクセスを増やすための苦労からネットでの炎上まで、ソーシャルメディアでの失敗はいろいろと体験してきました。新聞・雑誌の取材では偏った記事を書かれ、書籍の出版ではライターと意思疎通が図れずに苦労した辛い経験もあります。だからこそ、企業がネットや書籍で情報発信する大きな意義と同時に、トラブルを事前回避する体験談もお伝えすることができます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
企業が発信する内容は、会社や商品のことばかりではありません。その企業にしか書けない言葉があるはずです。発信する内容次第では、企業の知名度や信頼性、好感度を高めることもできるでしょう。さらには経営者や社員の考え、スキルやノウハウなどを文章にして共有することで、理念を社内外に広めたり、社員の知識や能力の向上が図れます。忙しい日々の業務のなかで大変なことのように見えますが、毎日少しずつ発信することを習慣にすれば、なんの苦労も問題もありません。社内に理念を浸透させたい、新入社員や就転職希望者など新しい出会いを結び、信頼関係を築きたいと考えている皆さまに、実体験に基づいた情報発信のコツをご紹介します。
- 久米 信行氏(くめ のぶゆき)
- 久米繊維工業株式会社取締役会長/明治大学商学部 ベンチャービジネス論/起業プランニング論 講師
- 1963年東京墨田区生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。イマジニア、日興證券勤務を経て、1994年に家業のTシャツメーカー久米繊維工業の代表取締役に就任。2012年より会長。同社は経済産業省IT経営百選最優秀賞など受賞多数。著書に『「すぐやる!」技術』『すぐやる人の「出会う」技術』などがある。
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