講演者インタビュー
日本の【障がい者雇用観】を塗り替える新しい考え方。その必要性を採用環境の実情から紐解く
株式会社エスプールプラス 副社長 執行役員
和田 一紀氏
昨今の雇用過熱化で身体障がい者が採用できなくなっている背景を、具体的な数字を用いて説明します。また、経験なく精神・知的障がい者を雇用することは大きな問題も生じさせています。本講演では、その解決策にもなる日本の障がい者雇用観を塗り替える【今必要な新しい考え方】を提唱。日本を牽引する上場企業等61社が利用、NHKにも取り上げられたスキームを企業事例と共にご紹介します。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」から55年が経過し、現在では民間企業に約36万人以上の障がい者が就業していますが、そのほとんどが身体障がい者です。2013年に法定雇用率が15年ぶりに上昇し、採用競争が激化しましたが、その対象は身体障がい者に集中しました。その結果、就業可能な身体障がい者が不足する事態となり、就業中の身体障がい者の「1年間の純増数」は、ここ3年間毎年約3割ずつ減少しています。直近の1年間では、障がい者の雇用義務のある企業約8万8000社に対して、身体障がい者の純増数はわずか5800名となっており、身体障がい者のこれ以上の採用は非常に困難な状況となっています。さらに、2018年には法定雇用率が最大で2.4%になる計画があり、企業が障がい者雇用をより拡大するには、これまでの身体障がい者中心の採用から発想の転換が必要になると考えています。
本講演では現在の雇用状況の「事実」を伝え、その上で、昨年NHKや日本経済新聞など多くのメディアにも取り上げられた「新しい障がい者雇用の形」を提唱いたします。日本をけん引する大手メーカーはじめ、上場企業や有名企業を中心に61社がサービスを利用し、事業開始から5年経過した現在でも解約企業が0社となっている、日本で唯一の障がい者雇用方法を、初めて公の場で公開いたします。
一人でも多くの障がい者の方々、1社でも多くの企業へ、心から笑顔をもたらす革新的な障がい者雇用の形をご提供できれば幸いです。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
「一人でも多くの障がい者雇用を創出し社会に貢献する」を経営理念に、働きたいけれど働けない障がい者と、雇用したいけれど雇用できない企業の橋渡しに愚直に取り組んでいます。
その形が「農業を通じた障がい者雇用」です。今まで知的障がい者の方々をメインに250名以上の就職が実現しましたが、事業開始から5年間での定着率は96%以上です。この実績の背景には、働きやすい雇用環境づくりから人材育成、企業への採用サポート、就職後の定着支援までを、ワンストップで支援していることがあります。農園で働く障がい者からは笑顔・元気があふれ、また雇用する企業からも、当社のサービスを利用して良かったとの感謝の言葉をいただいています。サービスを利用されている企業は、メーカー、サービス業、情報通信業、小売業など多岐に渡り、9割以上が農業とは縁がない企業です。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
ビニールハウス1棟、参画企業1社、障がい者スタッフ3名で2010年に事業をスタートしました。当時の福祉業界には民間企業の参入に障壁があり、事業の存続が危ういこともありました。しかし、企業の障がい者雇用への意欲も高まっていく中、多くの企業に当社の考え方に共感していただき、今につながっています。今では障がい者スタッフ250名の雇用が生まれ、61社に当社サービスをご利用いただいています。また全国の行政からも、協力要請のお声がけをいただけるまでになりました。世の中に無い新しい考え方を広めるには、志の高い理念を掲げ、試行錯誤を繰り返し、粛々と遂行する事が重要だと感じています。これからも新しい考え方をつくっていき、近い将来には「障がい者雇用と言えばエスプールプラス」と言ってもらえるようになりたいと、従業員一同本気で事業に日々取り組んでいます。当日皆さまとお会いできることを楽しみにしております。
- 和田 一紀氏(わだ かずのり)
- 株式会社エスプールプラス 副社長 執行役員
- 1996年(株)リクルート入社。新規事業立ち上げを経験。営業部門にて表彰を多数受賞。2006年米国のフリーペーパー企業へ副社長として経営参画(ハワイ在住)。業界No.1に押し上げ、ノーマライゼーションの精神を学ぶ。その後、当社社長と出会い『障がい者雇用×農業』に社会的意義を感じ、2011年創業期より参画。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社アイ・キューの登録商標です。
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