講演者インタビュー
「人的資本の最大化と情報開示」を実現
人事データの戦略的蓄積と活用方法とは?
法政大学 キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
田中 研之輔氏
今、企業に求められている「人的資本の最大化」と「人的資本の情報開示」。本講演では人的資本情報開示のガイドラインで示されている中でも、ダイバーシティ、リーダーシップ、組織文化、生産性の4項目にフォーカスをあて、人事データの戦略的蓄積と活用について深めます。また、人的資本の情報開示のためだけに人事データを蓄積するのではなく、人的資本の最大化を実現するための効果的な活用方法の最前線の取り組みを解説します。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「人的資本の最大化」と「人的資本の情報開示」に関心を持ち、人事制度設計や人事制度改定に取り組む、経営者や人事担当者に向けた内容となります。 本講演では、国際標準化機構(ISO)が人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)で示した11項目のうち、特にダイバーシティ、リーダーシップ、組織文化、生産性の4項目にフォーカスし、人事データの戦略的蓄積と活用について検討を深めていきます。「人的資本の情報開示」のためだけに人事データを蓄積するのではなく、「人的資本の最大化」を実現するための効果的な活用方法の最前線の取り組みを明らかにしていきます。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
本講演は、 組織内キャリアから自律型キャリアへのトランスフォーメーションの研究を続ける法政大学の田中研之輔教授、「人的資本の情報開示」に向けて戦略人事に取り組む株式会社サイバーエージェント社執行役員の石田裕子氏、さらに「人的資本の情報開示」を実現するHRテクノロジーのプログラム開発に取り組む株式会社ワン・オー・ワン代表取締役の矢野茂樹氏が登壇。「人的資本の最大化」についての、アカデミックと企業をクロスオーバーする3人のダイアローグが聞きどころです。
「人的資本の最大化」と「人的資本の情報開示」は企業の最重要課題であるにもかかわらず、現場では何から取り組んでいいのかわからず、身動きが取れていないように見受けられます。「人的資本の最大化」を実現するには、新人材戦略を策定し、段階的に戦略人事を実施していかなければなりません。また「人的資本の情報開示」へ向けては、ISO30414に定められた11項目の人事データを収集し、分析し、開示しなければなりません。そのためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)施策とCX(キャリアトランスフォーメーション)施策が不可欠なのです。サイバーエージェントはこれを実践し、社員の自律的なキャリア開発を促進することで事業をグロースさせてきました。「人的資本の情報開示」についてはどこまで準備が進んでいるのか。また、リアルな課題にも迫っていきます。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
「人的資本の情報開示」を「人的資本の最大化」と共に考えていくものです。DXが深化し「人的資本の情報開示」が進むと、人事データによる「管理」施策が強化される傾向にあります。しかし今人事部門に求められているのは「管理」部門としてではなく、「成長」部門としての戦略策定です。ISO30414の項目の中でも「成長」指標となりうる情報の収集と分析は、これからの人的資本経営の最重要事項だといえます。企業の生産性や競争力を向上させるための取り組みとして、「人的資本の最大化」と「人的資本の情報開示」が人事施策の両輪となっていかなければならないのです。この点を皆さんと一緒に考えていきたいです。
- 田中 研之輔氏(たなか けんのすけ)
- 法政大学 キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
- UC. Berkeley元客員研究員 University of Melbourne元客員研究員 日本学術振興会特別研究員SPD 東京大学 /博士:社会学。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外顧問を30社歴任。個人投資家。著書26冊。専門社会調査士。
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