人と組織を学ぶ 日本最大のHRイベント

日本の人事部「HRカンファレンス2022-春-」 
	2022年5月18(水)・19(木)・20(金)・24(火)・25(水)・26(木)開催 [主催]日本の人事部「HRカンファレンス」運営委員会[後援]厚生労働省

講演者インタビュー

日本の人事部「HRカンファレンス2022-春-」トップ 講演者インタビュー 山下 知之氏(エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長/パートナー 公認会計士)インタビュー

「大退職時代」におけるサステナブルな給与戦略とは
-専門人材の獲得とリテンションに必要な具体的施策

山下 知之氏 photo

エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長/パートナー 公認会計士

山下 知之氏

COVID-19の影響が続く中、積極的な採用をする企業が多く存在します。これは、優秀な人材確保の必要性が高まっていることを意味します。大企業でも中途採用者には前職での水準を尊重して報酬を決め、既存の人材との格差を許容するケースが見られますが、持続的な成長が求められる時代において望ましい報酬戦略とは言えません。大退職時代において再構築すべき企業の処遇戦略について、具体的な事例を交えてご紹介します。

―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?

昨秋の「ジョブ型新時代における報酬/給与戦略とは」に続き、報酬・処遇全般について問題意識を持つ大企業の人事担当者、経営者に向けた講演となります。

米国の大退職時代のような状況は日本ではまだ見られていませんが、弊社が知る限りでもコンサルティング業界やテクノロジー・金融業界など専門性の高い職種で積極的な採用が見られ、特に若手の優秀な人材が退職してしまう、自社の報酬・処遇水準は競争力があるのか、という問題意識を持つ大企業から多数のご相談を頂いています。問題の根底にあるのは、競合マーケットにおける報酬・処遇水準について把握しようという意識が乏しいことです。優秀な人材に「この会社でずっと働きたい、この事業の成長に当事者として貢献していきたい」という気持ちを促すために必要なのは高い給与水準だけではありません。しかし総合的に見て、魅力的な処遇を提供していこうという考え方は必要であると弊社では考えています。

―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。

昨秋の講演では大きな反響を頂き感謝しています。ジョブ型制度の設計において職務記述書 (ジョブ・ディスクリプション) の作成や椅子に値段を付けるための職務価値評価 (ジョブ・エバリュエーション) といった作業に多くの時間とコストを割いており、提供していくべき処遇の在り方、自社が目指す報酬戦略とは何だろうか、といった本質的な議論に辿り着いていない企業の皆さまと、多くの議論を重ねてきました。

職務記述書の作成や職務価値評価の実施が不要だということではありません。ただそれらは目的であってはならず、あくまでサステナブルな事業成長をしていくための手段として明確に位置付ける必要があるということだと弊社では考えています。人的資本に関するディスクロージャーの要請も高まる中、人事政策上重要だと考えるKPIについても再構築する必要があります。自己都合退職率の低減、一人当たり売上高の成長、エンゲージメントスコアの向上などは当然として、コンパレシオ (マーケット報酬水準を100とした場合の自社報酬水準の比率) の目標値の設定と維持、ハイパフォーマー (5段階評価で4以上の従業員) の職位別の自己都合退職率なども注視していく必要があります。
これらの議論に関する、最新の事例を含む諸論点について、参加者の皆さまとインタラクティブなやり取りを通じて共に考える機会になればと思います。

―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。

大切な部下の方やメンバーが退職し、つらい経験やもどかしい思いを持たれた方はご来場の皆さまの中にも多くいらっしゃると思います。自身が入社された時のように、大企業に就職することが大切だという価値観は大きく変化しています。

人事の役割も変化が見られます。人事異動や人事評価を主導することや、タレントマネジメントに重きを置いた人材育成ではなく、自社が何のために存在していくのかというパーパスや企業理念に即した人材の採用、育成が出来ているか、ステークホルダーに支持される人的資本KPIは何かといった経営的な観点も必要となります。これらについて取り組んでいく上で、本講演を一つのきっかけとして頂ければ幸いです。

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講演者プロフィール
山下 知之氏(やました ともゆき)
エーオンソリューションズジャパン株式会社 代表取締役社長/パートナー 公認会計士
組織・人事コンサルティング業界世界最大手の一角であるAonグループにおける人事コンサルティング日本法人の代表を務める。2012年にAonグループに参画する以前はゴールドマン・サックス証券、タワーズワトソン 、東京三菱銀行に在籍。一橋大学卒。ライフネット生命 社外取締役(監査等委員)を務める。

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