講演者インタビュー
700社の事例から見えた事業を構想し、実行できる人材を育てる3つの原理原則
株式会社HRインスティテュート 取締役 シニアコンサルタント
櫻橋 淳氏
事業企画をする際、構想の段階で壁にぶつかる、推進していく人材がいないという声を伺います。約700社、1万件以上の事業企画に対し構想から実行までを支援してきた結果、成功する事業企画には「自己認知を超えたインプットやアイデア出し・ブレスト」をできる人材がいるという共通点があることが分かりました。本講演では、この共通点を兼ね備えた人材を育てる方法と仕組み、その連動のさせ方について紹介していきます。
―― 今回の貴社講演はどのような課題をお持ちの方向けの内容でしょうか?
「顧客ニーズを的確に把握して事業開発をおこなっていこう」といったことを良く聞きます。しかし、この成熟した時代において、顧客からどんな商品やサービスが必要かを聞き出してそのまま事業化しても、受け入れられる可能性は低いといえます。必要なのは「ニーズをシーズでウォンツにする力」です。
ニーズとは、人々の間ですでに顕在化されている要求のことです。一方ウォンツとは、人々がまだ気がついていない潜在的な欲求のことです。シーズとは、自分たちの持っている知恵や技術のことをいいます。事業を構想する人材に求められるのは、日ごろから問題意識を持ち、ニーズを把握した上で、自分たちのシーズを駆使して、人々のウォンツに働きかけることです。
「新しい価値創出がしたい、価値創出のできる人材を育成したい」とお考えの企業の経営者、事業責任者、人事担当者の皆さまに聞いていただきたいと思います。
―― 今回の講演の聞きどころ・注目すべきポイントをお聞かせください。
我々は、事業構想のプロセスを5フェーズ10ステップで捉えています。フェーズ1でビジネスモデルの背景・問題意識を明確にし、それを仮説化します。フェーズ2で仮説を検証していきます。フェーズ3でそれをビジョン化し、フェーズ4で実現のための戦略を描き出します。フェーズ5で事業シミュレーションをするという流れなのですが、そのなかでも特に大切なのがフェーズ1です。
つまり、アイデアを創出し、そのアイデアが生まれた背景・問題意識を整理するというところです。アイデアは、自分で考え尽くすよりも、ふとしたことから向こうからやってくることも多いものです。
安藤百福氏は、開発したインスタントラーメンを売り込もうと渡米しますが、アメリカにはどんぶりがなく、食べる器がないという根本的な問題にぶつかります。帰りの飛行機のなか、フライト・アテンダントがマカダミアンナッツを持ってきます。小さな丸い容器で、上ぶたがアルミ加工された紙をはがすタイプのものでした。このふたをめくり、ナッツを食べようとしたとき、「お湯を注いだときに保温するためのカップのふたにぴったりだ」とひらめきます。
多くのビジネスアイデアは、何かしらの偶然によります。アイデアは、それを捕らえる網がなければ、スッと通り過ぎてしまいます。その網こそが問題意識です。問題意識の高め方についてもお話していきたいと思います。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
HRインスティテュートの事業企画、商品企画セッションをご採用いただいたお客さまとは、長期にわたっておつきあいをさせていただくケースがほとんどです。長くご支援させていただいているお客さまは実に20年にわたりセッションを実施し、現実の新規事業や新商品を立ち上げて参りました。そして、その“卒業生”が今やお客さま企業を支える経営者となられています。
本講演には、ぜひ事業構想力を高めて企業を活性化したいという皆さまにお越しいただければと思います。自社の未来、自部門の未来は、事業を構想し、実行する力にかかっています。「本気で事業構想力を高めたい」という強い思いをもった皆さまとお目にかかれれば大変うれしく思います。
- 櫻橋 淳氏(さくらばし じゅん)
- 株式会社HRインスティテュート 取締役 シニアコンサルタント
- 浄土真宗(真宗大谷派)僧侶。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科後期博士課程満期退学。英国国立ウェールズ大学経営大学院修了(MBA)。大学卒業後、世界文化社にて女性誌などの編集、グロービスにて組織開発コンサルティング、日本IBMにて戦略コンサルティング業務に従事した後、当社に参画。
「日本の人事部」「HRカンファレンス」「HRアワード」は、すべて株式会社HRビジョンの登録商標です。
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