企業人事部門
健康経営の普及・啓発を目的に2006年設立し企業、健保、地域等にて包括的取組みを実践
個の力を最大限に引き出す! 一人ひとりと徹底的に向き合う「1000人キャリア面談」
一人ひとりの選択が変革を生むワークスタイルとワークマインドセット両輪からのアプローチ「WAA」
(1) 株式会社アサツー ディ・ケイ:
「この人と働いてみたい」と感じる社員を探して指名し、選考を受けることができる「相棒採用」
新卒採用における「売り手市場化」を受け、アサツー ディ・ケイでは2017年度採用にて新施策「相棒採用」を導入した。
相棒社員候補として87名の社員が採用サイト上に登場。さまざまな方法で社員のリアルな姿を伝えるほか、各社員のプロフィールページからは、直接会えるイベントへ申込みも可能だ。応募者は「一緒に働いてみたい」と感じた社員を5名指名する。指名された社員の一人が書類選考と一次面接を担当し、通過者にはフィードバックを行う。なぜ評価されたのかを伝え、自社への質問を受け付けることで理解を深めてもらうことが目的だ。結果、昨年対比で内定受諾率が23%増加したほか、日経本紙をはじめ10以上のメディアでの掲載や、「採用広報のイメージが良い企業」として1位を獲得(楽天みんなの就職活動日記 調べ)と成果につながった。
企業が一方的に情報を伝え、選考を行う新卒採用活動の「あたりまえ」を排し、応募者と社員が真にフラットな関係を築きながらお互いを選び合う形は、採用市場における新たなソリューションと言えるだろう。
(2) イオン株式会社:
女性管理職の比率を2016年度までに30%、2020年度までに50%へ
イオングループは、2013年春の段階では、管理職に占める女性の比率が10%を切っていた。グループの入社する約60%が女性である同社では、この数字を危機的状況だと考え、2013年5月開催の株主総会において、「女性管理職の割合を2016年度までに30%、2020年度までに50%」にすると宣言し、さまざまな施策に取り組んでいる。
2013年7月には社長直轄組織として、グループ本社にダイバーシティ推進室を設置。翌年には国内の事業会社65社にもそれぞれ3名の推進体制を作り、ダイバーシティ推進メンバーはグループ全体で約200名。具体的には、女性活躍推進を含むダイバーシティに関する情報共有・連携を行うための「ダイ満足サミット」、取り組みの先進事例を表彰・共有する「ダイ満足アワード」を開催するなど、さまざまな活動を行う。まだ目標に遠いのが実状であるが、グループ全体で2020年度までに50%に到達するという目標を達成すべく活動する姿勢に、大きな注目が集まっている。
(3) 株式会社池田泉州銀行:
「ケア重視」で取り組む、育児休業からの「職場復帰支援」および「キャリア形成支援」
池田泉州銀行は人事制度拡充や事業所内託児所設置などの「手当重視策」とは違った、職員との接点拡大や配属部店の工夫など「ケア重視策」で、育児休業からの「職場復帰支援」や「キャリア形成支援」を行っている。同行は、139ある支店のうち9割超が本店所在地(大阪市北区)から公共交通機関を利用して1時間以内でアクセス可能。また、職員のほとんどがその沿線エリア内に居住しており、この特徴を活かした施策作りに知恵を絞っている。具体的には、出産前、育休中、復帰直後、復帰半年後の各職員を対象に、毎月「復帰応援ミーティング」を開催。キャリアプラン、ネットワーク作り、業務勉強会、保活攻略法、夫婦での両立法など対象ごとに様々なテーマを設定する他、参加者の居住地に近い会場で開催するなどアクセス面に工夫を凝らす。また復帰時には、本人の希望に基づき、自宅から30分程度(保育園の送迎を含めても1時間以内)で通勤できる部店へ配属。これにより、育児期間中の職員もフルタイムで活躍することが可能となり、キャリア形成に繋がっている。
【企業情報】http://www.sihd-bk.jp/
(4) 株式会社イトーキ:
働きながらオフィスで健康づくり 「Workcise(ワークサイズ)」
オフィスの環境づくりを事業とするイトーキでは、健康経営の実現を目指し、働き方の変革を通じて社員の健康づくりを促すワークサイズの取り組みを社内外に展開している。ワークサイズとは、「仕事の効率を高めつつ、健康面にも良い効果を与えられる行動」を意味する造語。社員が「働く」時間に着目し、オフィスでの働き方を工夫してできる健康活動を、環境整備や運用を通じて推進している。例えば、「立って作業や打合せができるスペースを設けることで、座りっぱなしの時間を減らし、運動不足を解消する」「定時になると照明が暖色で低照度の光に切り替わることで、早帰りを促進し、体内リズムの調整を行う」などの取り組みがある。
環境整備に併せて、社員の健康データを毎年分析し、結果を社内広報紙(イトーキ健康白書)で公表。課題意識を共有しながら、社員が日々、ワークサイズを実践し健康でイキイキと働くことを目指している。成果としては、社員の腹囲減少や生活習慣改善などの効果が上がっている。
【企業情報】http://www.itoki.jp/sustainability/environment/features/fea2016_01.html
(5) 伊藤忠商事株式会社:
「健康力 商社No.1」による永続的な企業価値向上を目指す『伊藤忠健康憲章』
健康力向上を重要な経営戦略として2016年6月に『伊藤忠健康憲章』を制定した。朝型勤務を中心とした働き方改革を先駆的に推進してきたが、今後は本憲章を核にさらなる健康増進策を実施する。全社員が健康状態を管理できる『健康マイページ』、生活習慣病予備軍への個別プログラム(健康ウェアラブル端末の配布、管理栄養士による食事指導など)、喫煙率低下への支援強化(禁煙治療費の全額補助化)など健康力増強を推進し、能力開発との両輪により社員一人ひとりが最大成果を発揮できる環境を整備していく。
2018年4月には、東京・港区にある東京本社まで30分圏内に、一棟当たりとしては業界最大規模(約360戸)の独身寮を新設予定。健康に留意した朝食・夕食の提供などを通じた食事指導や、サウナ・フィットネス機器の整備などを通じて、若手社員の健康に対する意識醸成を図ると共に、社員教育の場としても活用していく。
勝ち続けるための取り組みとして新たに打ち出した人材戦略としての健康経営がどれほどの効果をもたらすのか、注目される。
(6) グーグル株式会社:
「人材」と「働き方」の多様性がイノベーションを起こすインターンシップ
ユーザーの多様性に合わせた社員構成が不可欠と考えるグーグルでは、「gCareer」「gReach」「STEP」といった多様性を重視したインターンシップを実施している。個々のニーズに合わせて時短勤務などフレキシブルな就業環境を提供している。
「gCareer」:就労経験者の職場復帰をサポートするプロフェッショナル向けの 16 週間のインターンシップ。5 年以上の就労経験者で育児・介護・配偶者の転勤・起業などによって退職やキャリアを中断後、現場復帰を目指す方が対象となる。
「gReach」:障がい者向けインターンシップで、学生・就労経験者が共に対象となる。最短10週間から最長 1 年のプログラムで、実践的な業務やプロジェクトを通してスキルアップを目指す人材育成型のインターンシップ。
「STEP」:技術職においてマイノリティーとされる女性や障がい者の学部生を対象としたトレーニングプログラム。前半と後半の 2 部構成で、前半は社員による技術の教育プログラムで、後半は 8 週間前後の現場での実践型インターンシップ。
これらの活動は働きがいのある職場、ダイバーシティ&インクルージョンの実現にもつながるものであり、今後の同社の動向が注目される。
(7) 特定非営利活動法人健康経営研究会:
健康経営の普及・啓発を目的に2006年設立し企業、健保、地域等にて包括的取組みを実践
健康経営研究会は、「健康経営」を企業マネジメントの新たな手法として捉え、企業と従業員の双方に利点を見出せるような、より良い関係の構築を目指すことを目的に設立。同年商標を登録し、「健康経営セミナー」「健康経営フォーラム」など、様々な取り組みを実践。健康経営の普及・啓発を目的に活動してきた。
企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる、との考えのもと、従業員の健康管理を経営的視点で戦略的に考え実践し、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性や企業イメージの向上等の効果やリスクマネジメントとしても有効となっている。
政府は「健康寿命」の延伸を掲げ、経済産業省と東京証券取引所では、「健康経営銘柄」を選定、2016年の秋には中小企業や医療法人を対象とした「健康経営優良法人」の認定制度が創設。これらの国の施策により、企業による「健康経営」への取組みは、今後も増加していくものと思われる。
(8) 株式会社資生堂:
資生堂の未来を考える専門部署「未来創造局」を創設
資生堂は、2015年に会社の未来を考える専門部署「未来創造局」を立ち上げた。その使命は、「社内風土変革」と「新規事業の創出」。まずは社内公募で集めたメンバーが中心となり、「未来創造マラソン」と題して工場、研究所、関係会社を含む、日本全国全てのオフィスを訪問した。4~5人の小グループで「未来のために何をすればいいか」をテーマに話し合う、対話会を開催。国内外に約4万人いる社員のうち、参加した国内約6300人の改革意識を引き出した。現場の声から具体的な課題や解決のヒントを集め、経営戦略に活用することが目的だ。
その後、役員らを交えた会議「未来創造サミット」を開催。資生堂が今後100年存続していくための指針や方策について議論した。2016年度には「未来創造サミット」から生まれた新規事業社内公募制度も始まった。同社は2014年4月に魚谷雅彦社長が就任してから、社内改革を加速しているが、未来創造局を通じた一連の取り組みがどのような成果を見せるのか、今後の動向が注目される。
(9) 株式会社SHIFT:
業界初、完全オンラインによる新卒採用活動「RIKEI-NOU(理系-脳)検定採用プログラム」
株式会社SHIFTは2017年の新卒採用において、業界初となる、オンラインで採用活動が完結する「RIKEI-NOU検定採用プログラム」を導入した。「RIKEI-NOU」とは「論理的思考力」「抽象化能力」「緻密性」の三つの資質で、ソフトウェアテストを実行・推進するうえで大切な資質のこと。本プログラムでは、「RIKEI-NOU」の資質を測るオンライン上の「RIKEI-NOU検定」に合格した人に対して即時に内定を通知。内定者には、「RIKEI-NOU支援金15万円」および「RIKEI-NOU一生内定」を提供するほか、キャリア相談会やスキルアップ講座なども開催し、全国の「RIKEI-NOU」就職活動生を応援してきた。
就職活動をする理系専攻学生の多くは、研究活動などに時間的制約を受け、卒業後のキャリア選択を短絡的に決めてしまう傾向があると言われている。このことを受け、SHIFTでは受検から内定までをオンラインで完結させることで、就職活動生が時間と空間を選ばず、また交通費をかけずに就職活動ができる本プログラムを導入した。
(10) 株式会社ディスコ:
短時間残業代の割増率を引き上げることで、長時間労働問題を改善
半導体製造装置メーカーのディスコは、2016年4月の勤務分から時間外労働(残業)の割増賃金について、月60時間までの場合、残業が短い方が割増率が高くなるように制度を改定した。
具体的には、月45時間までの時間外労働に関する割増賃金率を、従来の25%から35%に引き上げた。これにより、月45時間までの残業代割増率が、月45~60時間の割増率(30%)を上回ることになる。なお、60時間を超える分は従来通り50%としている。
同社では割増率を逆転させることで、月45時間の残業が意識され、社員の残業を減らす努力が経済的な不利益につながらずに、残業時間が減少することを期待している。長時間労働の改善を目的として多くの企業がさまざまな施策を行っているが、同社のような事例はほかにほとんど見られない。効率的で生産性の高い働き方の促進を目指す新たな施策として、今後の展開が注目される。
【企業情報】https://www.disco.co.jp/
(11) 日産自動車株式会社:
育児・介護などの理由に限定せず、全社員を対象に「在宅勤務」ができる制度を導入
日産自動車は全社員を対象に、在宅勤務ができる制度を導入している。制度導入の2006年では育児・介護による利用に限定していた。2010年に育児・介護型に加え、一般型として生産工程以外の全社員へ対象を広げ、目的を問わず取れるように変更したが、申請は前月末日までとした。2014年から利用の上限を月5日(40時間)に拡大(育児・介護型は所定労働時間の50%)すると同時に、前日申請を可能にした。2015年からは、40時間以内なら日数に制限はない。目的にかかわらず在宅勤務を行うことが可能なため、利用率が大きく向上している。
社員は前日までに在宅勤務の開始・終了時間や外出予定、業務内容をメールで上司に報告。当日は勤務の開始・終了をメールで報告する。PCに標準装備されているソフトウエアのプレゼンス機能により、在宅本人は仕事の状況ごとに「連絡可能」「会議中」「退席中」などと表示を切り替える。上司が状況を把握できるので、スムーズに在宅勤務を行うことが可能になっている。
(12) 有限会社原田左官工業所:
建築現場で、女性ならではの感性で活躍する職人グループ「ハラダサカンレディース」
現在、建築現場で働く女性が増えてきている。原田左官工業所では、平成元年から女性職人を育成。建築業界における女性活躍推進の先駆けとして、注目を集めている。
「ハラダサカンレディース」は、装飾壁床のアイデアを自ら企画し、営業・施工管理・材料配合などまでこなす8名の女性たち。男性の職人たちとともに、建築現場で活躍している。男性と比べると体力面では劣ることも多いが、女性ならではの感性を活かした仕上げなど、その特徴を活かした仕事への評価は高い。同社ではその特徴を伸ばすためのバックアップ体制を確立。女性が働きやすい環境も整備している。そのため、結婚・出産・育児をしながら、働いている女性職人も多いという。
企業における女性活用が注目される中、男性中心のイメージが強い建築業界において、実際に女性職人が活躍していることから注目され、さまざまなメディアでも取り上げられている。
(13) P&Gジャパン株式会社:
ダイバーシティ経営の普及を支援する、無償研修プログラム提供
P&Gジャパンでは、「P&Gダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」を2016年に発足。プロジェクトの一環として、自社のダイバーシティ&インクルージョンの研修を発展させた企業向けの研修プログラムを完成させ提供をはじめた。
同社で講師として認定された社員が企業を訪問し、講義やワークショップを実施。日々の業務の中で、多様性を尊重しビジネスに活かすスキルを学んでもらうことを目的としている。現在は、人事や管理職を対象とした研修が中心だが、将来は、若手社員などにも広げることも検討している。
P&Gジャパンの社員の国籍は19ヵ国におよび、課長級以上の管理職は女性が32%を占める。育児や介護など、社員が個々の状況に合わせて柔軟に働き方が選べる勤務制度にも早くから取り組む、またダイバーシティ&インクルージョンを業績に貢献する重要な企業戦略の一つとして位置付けるなど、ダイバーシティ経営の取り組みについては先進的企業である。今回の研修プログラムが他の企業にどのような効果をもたらすのか、注目される。
【企業情報】http://jp.pg.com/
(14) 株式会社三越伊勢丹ホールディングス:
個の力を最大限に引き出す! 一人ひとりと徹底的に向き合う「1000人キャリア面談」
三越伊勢丹では「百貨店は人こそすべて」という経営方針のもと、人事部が個と向き合う姿勢をベースに、意欲ある人財の自律的キャリア形成を支援。ラインと共に一人ひとりのパフォーマンス向上を図っている。その全ての取組みのベースとなっているのが「1000人キャリア面談」だ。
人事部が年間1000人以上(時給制契約社員から部長職まで)の従業員と直接面談し、現状の課題や悩みを受け止め、将来のキャリアイメージを聞き背中を押す。結果、個々のキャリア意識が高まり、正社員転換や管理職にチャレンジする従業員が増加している。また面談から得られた「生の声」により、人財データベースが蓄積されるほか、人事制度改革の仮説検証にもつなげ、納得度の高い制度改革を多数実現。年間1億人以上来店されるお客さまに最高のおもてなしを実現するには、従業員全員が「会社から大切にされている感」を抱くことが何よりも重要で、そこから「成長の意欲」や「企業へのロイヤルティ」が高まり、主体的に成長する風土の醸成をめざしていく。
【企業情報】http://www.imhds.co.jp/
(15) ユニ・チャーム株式会社:
人材育成の新制度「社内ドラフト制度」を導入
ユニ・チャーム株式会社は、2016年度から人材育成の新制度「社内ドラフト制度」を導入した。新入社員のうち営業職となる社員を対象にドラフト会議を開催し、営業支店が育成プランに基づき求める新入社員像を明確にした上で申請、10月からの配属先に反映させる。
同社では、人事部門が要員計画に基づいて新入社員の配属先を決定していたが、より適所で成長スピードを上げること、営業支店同士が競争意識を高めて早期育成に積極的に取り組み、業績貢献度の高い社員を継続して輩出する環境を作っていくことを目的に、この制度を導入した。毎年4月~7月に行われる営業研修と研修成果報告の内容を通じて、各支店長などが配属してほしい社員を具体化していくという。
「社内ドラフト制度」の対象となる新入社員には、ドラフト会議から3年半後の2020年に「フリーエージェント権」を与えることも計画。社員の自己成長意欲の向上を促し、高いパフォーマンスを発揮できるまでの期間を短縮することも目指している。
(16) ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社:
一人ひとりの選択が変革を生むワークスタイルとワークマインドセット両輪からのアプローチ「WAA」
ユニリーバは、ダイバーシティ(多様性)の推進を重要な経営戦略の一つと位置づけている。2016年7月に、すべての社員がそれぞれのライフスタイルを継続して楽しむことで自分らしく働き、生産性を高められるよう、新人事制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)を導入した。
「WAA」は働く場所・時間を社員が自由に選べる制度で、以下のような特徴がある。
- 上司に申請すれば、理由を問わず、会社以外の場所(自宅、カフェ、図書館など)でも勤務できる
- 平日の6時~21時の間で自由に勤務時間や休憩時間を決められる
- 工場以外の全社員が対象で、期間や日数の制限はない
従来の在宅勤務制度やフレックスタイム制度を見直し、新たに「WAA」を導入することで、働き方の多様性を高め、社員一人ひとりが自分の能力を最大限発揮できるよう支援している。制度の整備というワークスタイルの変更とともにそれを活用する社員のマインドセットの変更がより大切であると捉え、成果につながらない時間を減らし、業務効率の改善を図ることで、生産性を高め、企業として持続的成長を目指している。
(17) 株式会社リクルートホールディングス:
つくる みなおす かんがえる 働き方変革プロジェクト
近年、働き方の見直しや多様な働き方を実践する動きが広がっているが、リクルートグループでも、場所にとらわれない働き方の導入や、時間当たりの生産性を向上させる施策など、働き方変革に積極的に取り組んでいる。「働き方変革プロジェクト」と題して、個人が自律的に柔軟な働き方を実践できるよう、さまざまな働き方を実践・検討している。
例えば同社ではリモートワークに取り組んでいるが、起案から導入までのプロセス、実践していく上でどのような課題があり、それをどのように解決していこうとしているのか、その詳細をWEBサイトの中で公開している。働き方変革に向けたプロセスは、多くの企業にとって、自社の制度構築のために大変参考になることだろう。
さまざまな施策をつくり、導入後も随時その内容を見直していきながら、新しい価値を生み出す「働き方変革」を実現する――。果たしてどのような「新しい価値」を創造することができるのか、今後の展開が注目される。
【企業情報】http://re-recruit.jp/
(18) 株式会社ローソン:
「男性が変わる」イクメン促進活動により、男性の育児休職取得率が70%にアップ
株式会社ローソンは女性社員の育児休職取得率がほぼ100%で、女性の育児休職取得・復職は当たり前になったが、男性の育児休職取得者がいない状態が続いていた。これを受け、男性社員比率が8割を超える同社では、男性社員の意識改革を目的に2014年度から「イクメン促進活動」を展開した。
主な取り組みは(1)男性社員が取得しやすい「短期間育児休職制度」の新設、(2)取得促進ポスターを作成し全事業所に掲示、(3)対象男性社員の上司への取得促進の声かけ、(4)取得した男性社員の上司・同僚など休職中の仕事をシェアしたチームを「褒める」ために子供の名前入りどら焼きを贈呈、(5)社内報(社内ウェブ・冊子)でイクメンをほめる施策の実施、(6)社員の自律的な活動を促進する「社内部活動」など。
これらの取り組みにより、男性社員の育児休職取得率は、2013年度0%(0名)⇒2014年度16.1%(23名)⇒2015年度70.4%(93名)と大きく飛躍。2016年度はさらに「取得率80%」を目標に掲げている。
【企業情報】http://www.lawson.co.jp/