災害見舞金
災害見舞金とは?
震災や火災などの災害に遭った被災者に対して、個人や企業、地方自治体から贈られる見舞金を、「災害見舞金」といいます。企業が、被災した自社の従業員などに対して支給する災害見舞金は、一般に慶弔・災害給付の一環として制度化され、就業規則で定められた給付額などの規定にしたがって支給されます。福利厚生費のため、全額を経費に算入でき、所得税の源泉徴収の対象にもなりません。また会社とは別に、労組や共済会が独自に給付主体となって支給する災害見舞金もあります。
東日本大震災では8割超の企業が支給
4社に1社が規定の金額に“上乗せ”も
3月11日に発生した東日本大震災は、その後の計画停電や物資不足、各種インフラの混乱なども含め、日本企業の事業活動にはかりしれない影響を与え続けています。人事労務管理面でも、被災によって事業所を休業した場合の賃金の取り扱いや、被災した従業員への見舞金の支給など、イレギュラーな問題が多岐にわたって生じ、慣れない対応に混乱している現場は少なくありません。当サイトの「匿名相談掲示板」にも企業の人事担当者から「災害見舞金の相場は?」といった問い合わせが寄せられています。
そうしたなか、民間調査機関の労務行政研究所が3月末に、東京・大阪・神奈川などの事業所に勤務する民間企業の人事労務担当者5,500人余を対象に「【緊急アンケート】東日本大震災への企業の対応」を実施、4月12日にその結果を発表しました。
それによると、災害見舞金の支給状況は以下のとおりです。「見舞金の対象になるような被災者はいない」や「わからない・未定」の答えを除く“見舞金の取り扱いについて決定した企業”に限ると、「従来の規定に基づき支給した(する)」企業が51.2%と半数以上。「従来の基準に上乗せして支給した(する)」が25.1%で、被害の実情に照らして金額を“上乗せ”する企業も4分の1に達しました。「新たに災害見舞金制度を設けた(設ける)」(5.4%)と併せると、災害見舞金の支給企業は8割を超えています。
また支給水準は、被災状況に応じて異なり、損害保険などでいう「全損失」「半損失」「一部損失」などの区分を設けて支給することが多いようです。同アンケートによると、全損失の場合の平均給付額は26.5万円。最も多いのは「10万円台」で38.6%、以下「20万円台」が18.9%、「30万円台」が10.1%と続いています。半損失の場合は平均で15.5万円。分布は「5万~9万円台」が最も多くて32.3%、以下「10万円台」が31.0%、「20万円台」が12.8%となっています。
こうした被害の度合いを確認する場合、被災した従業員本人が市町村などに「罹災証明書」か、それに準ずる証明書の交付を申請し、その提出を受けた企業や共済会などの給付主体が、記載された内容に基づいて被災認定を行うのが一般的です。ただし従業員本人による手続きが困難な状況も当然想定されますから、企業側が従業員の同意を得た上で自治体に直接被害状況を照会したり、支給を優先して事後申請にしたりするなど、柔軟な対応が求められます。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。