ホワイトカラー・エグゼンプション 2005
ホワイトカラー・エグゼンプション 2005とは?
アメリカの労働時間制度において、一定の要件(職種・職務や賃金水準)を満たすホワイトカラー労働者を労働時間規制の適用除外(exempt)とする制度。日本でも導入が検討されています。
ホワイトカラーを労働時間規制の
適用から除外する制度
アメリカの公正労働基準法は法定労働時間を1週40時間と定めており、それを超えて労働者を使用する場合には、通常の1・5倍以上の割増賃金を支払うことを使用者に義務づけています。ただしコンピュータの関連専門職や外勤セールスマンなど特定の職種や職務で、一定の要件(俸給水準要件など)を満たしている労働者は規制から除外されており、週40時間を超えて働いても割増賃金はもらえません。業務の裁量性が高く、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないと見なされるからです。
雇用環境が急激に変化している日本においても、これまでの裁量労働制やフレックスタイム制などだけでは対応が不十分だとして、2004年3月、小泉内閣がホワイトカラーエグゼンプションの導入を決定しました。これを受けて2005年4月に厚生労働省の「今後の労働時間制度に関する研究会」が発足、2006年からは労働政策審議会で議論を深め、2007年をめどに労働基準法の改正案を国会に上程する予定です。
労働時間規制の緩和を主張してきた日本経団連も、2005年6月に「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を発表しました。それによると、現行の専門業務型裁量労働制で働いている者は、無条件でエグゼンプト(適用除外)とし、それ以外の業務についても、年収400万円以上であれば、法令で定めたり、労使協定を結ぶなどしてエグゼンプトに追加できるとしています。
これに対して、日本労働組合総連合会(連合)は「アメリカのエグゼンプション制度がそのまま日本に導入されれば、不払い残業が野放しになる」などと猛反発しています。また過労死弁護団連絡会議も「過労死が減らない状況にあるのに、逆に長時間労働を助長する制度は導入すべきでない」との反対声明を発表しました。昨今のホワイトカラーの多様な働き方に対応した、時間にとらわれない制度の整備は確かに必要ですが、その一方で労働者に過重労働を強いることにならないような配慮もすべきでしょう。
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